マクパーランドが組織の「内輪」に潜入する
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「モリー・マグワイアズ」の記事における「マクパーランドが組織の「内輪」に潜入する」の解説
何ヶ月もの間、小さな進捗を積み重ねたマクパーランドは、「内輪」による様々な計画について報告するようになった。モリーズのひとりを銃撃して負傷させた、ウェールズ系のゴーマー・ジェームズ (Gomer James) を、復讐として殺害する計画ができていた。しかし、報復の輪の回転は緩やかだった。そのうちに、別の暴力が起きてしまう。 坑夫たちがストライキを打っていた11月は、血なまぐさい月だった。11月18日前後の3日間に、スクラントン (Scranton) の北のカーボンデール (Carbondale) の街頭でモリーズのひとりが死体で発見され、別の男が喉を切り裂かれ、身元不明の男が森の中で磷付にされており、炭鉱の親方のひとりが袋だたきにされ、スクラントンでも1人殺された。ある老婦人に対する脅迫と、モリーズのひとりであったダウアティ (Dougherty) の暗殺未遂が、(別のモリーズのグループの)3人の仕業だと明らかになったが、(ダウアティは)ただちに、この計画を企てたとしてW・M・トマス (W.M. Thomas) の殺害を求めた。 月末の日、ゴウエン配下のスト破りが襲来し、サミットの電報局が焼かれ、鉄道の線路が外される事態となり、マクパーランドは(ピンカートン探偵社の上司に)秩序回復のために制服警官を派遣するよう進言した。 鉄道橋の破壊は、外部者が居合わせたので中止された。マハノイ・シティ (Mahanoy City) の公共広場は、イングランド系とウェールズ系によって、アイルランド系の立ち入りが禁じられた。アイルランド系は実力で広場を占拠する事も検討したが、結局その考えは放棄された。 一方、モリーズのひとりを殺害したと目されたトマスが、働いていた職場で殺されたという知らせが伝えられた。マクパーランドは報告の中で、マクパーランド自身が、身を潜めている実行犯たちに食べ物とウィスキーを持って行くよう頼まれた、と記した。ホランとスウィゲットは次のように記している。 おそらく、ひとりの人間としてのブリー・ビル・トマス(Bully Bill Thomas)は、ウェールズ系で、その仇敵たちよりマシとは言えない人物だったのであろうが、ある意味では驚くべき存在だった。彼を殺そうとした連中は、職場のドアに死体を放置して現場を立ち去ったが、2日後になるまで、実は彼が生きていたということに気づかなかったのである。 また、パット・マッカロン (Pat McCarron) と地域巡査だったベンジャミン・ヨストという2人の夜警を狙った別の計画も進行していた。モリーズとされたジミー・ケリガン (Jimmy Kerrigan) とトマス・ダフィ (Thomas Duffy) は、彼らを何度も逮捕していたヨストを軽蔑していたと言われている。ヨストは、街灯(ガス灯)を消そうとしていたときに銃撃された。当時この作業は、街灯の柱に上って行なわなければならなかった。ヨストは死亡する前に、自分を撃ったのはアイルランド系だったが、ケリガンでもダフィでもなかった、と報告を残した。 マクパーランドの記録には、ウィリアム・ラブ (William Love) という名のモリーズのひとりが、ジラードビル (Girardville) で、グウィザー (Gwyther) という治安判事を殺したことが記されている。シャナンドー (Shenandoah) では、正体不明のモリーズが、酒場の主人を店の前で負傷させた。ゴーマー・ジェームズは、バーにいたところを襲われて、殺された。さらに、記録によれは、トマス・サンガー (Thomas Sanger) という名の炭鉱の親方を、一緒にいたウィリアム・ユーレン (William Uren) という男ともども殺した、とマクパーランドにモリーズたちが話したという。事前にこの計画を知っていたマクパーランドは、この親方を保護する手配を試みていたが、それは成功しなかったのである。 繰り返される殺人、暗殺に対して、十分に証拠が集まっているのか、また、十分な数のモリーズが逮捕できるのかには、懸念が残っており、マクパーランドは、依然として正体を明かさないまま活動した。
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