プログレスMとは? わかりやすく解説

プログレス-M

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 17:59 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
プログレス-M
プログレス-Mの図
所属 ソビエト連邦
ロシア連邦
ソビエト連邦
ロシア連邦
運用者 ロシア連邦宇宙局
状態 退役
目的 宇宙ステーションの補給
設計寿命 6ヶ月
製造数 11F615A55: 67
11F615A60: 29
打ち上げ数 11F615A55: 66
11F615A60: 28
運用中 11F615A60: 1(M-29M
退役 11F615A55: M-UM (2021)
11F615A60: M-29M (2015)
軌道 低軌道
テンプレートを表示

プログレス-M (ロシア語: Прогресс-М, GRAU indices 11F615A55 and 11F615A60)はソビエト連邦およびロシア連邦宇宙ステーション補給用の宇宙機。プログレス7K-TGMとも称される。 プログレス補給船の派生型であり、もともとは1980年代後半にソユーズ-Tソユーズ-TM用に開発された新システムを利用したプログレス 7K-TG英語版の近代化版として作られた。

プログレス-Mには元の型式の11F615A55型とより新しい11F615A60型の2つの型式が存在する。11F615A60型は更なる近代化が行われ、アナログであった飛行制御系がデジタルに切り替えられている。旧型の11F615A55型は新型導入に伴って段階的に廃止されることとなり、2009年7月以降打ち上げが途絶えていたが、2021年11月24日にM-UMが打ち上げられ、約12年ぶりの打ち上げとなった。。飛行の際には旧型はM-XX、新型はM-XXMという名称がつけられる。

運用

ISSから見たプログレスM-47

プログレスは宇宙ステーションの補給のために利用されており、最初の43機のプログレス補給船はミールの補給に使われ、その後は国際宇宙ステーションへの輸送などに利用されている。2015年7月時点では94機のプログレス-M系列の宇宙機が打ち上げられている。このうち67機は近代化前の型式で、それ以降は改良型の11F615A60型に切り替えられた。改良型の打ち上げは2015年10月1日のプログレスM-29Mで終了し、2015年12月21日にはさらなる改良を施したプログレス-MSが打ち上げられた。

2011年8月のプログレスM-12Mは打ち上げ中に失われた。2015年4月28日に打ち上げられたプログレスM-27Mは打ち上げ後にプログレスとの通信が失われ、機体制御ができなくなり、軌道減衰英語版によって大気圏に再突入したとされる[1]

プログレスM-14とプログレスM-38の2基はミール宇宙ステーションにVDU(高度制御用ユニット)を輸送するために改造されていた。

派生型

プログレス-M1はプログレス-Mから水とドライカーゴを減らしてより多くの燃料を輸送するために最適化して開発された。2000年に運用を開始したが、2004年に引退しており、その近代化版のプログレス-M1(11F615A70)は2011年の打ち上げを見込んでいたが、最初の飛行を行う前にキャンセルされた。

プログレス-MS

プログレス-MSはプログレス-Mの後継機で、2015年12月21日に打ち上げられた[2]。以下のような改良が施されている[3][4]

  • 衛星放出用の外部区画が新たに追加された。放出区画には4つのコンテナが備えられている。
  • ISSとのドッキング機構にバックアップのモーターが追加され、冗長性が向上した。
  • 貨物区画に保護パネルが追加され、スペースデブリ宇宙塵に対する防御が改善された。
  • ロシアの中継衛星ルチ英語版を経由して、地上局の見通し範囲内になくても制御やテレメトリが行えるようになった。
  • GNSSを用いた自律航法により宇宙機がリアルタイムで軌道要素を決定できるようになり、地上局での軌道要素決定が不要になった。
  • ISSとの直接無線データ通信によりリアルタイム相対航法が可能になった。
  • ドッキング操作用のTVカメラの性能を向上するため新型のディジタル無線システムが搭載された。
  • ウクライナ製のChezara Kvant-V 無線システムとアンテナ/フィーダーシステムが ロシア製のUnified Command Telemetry System (UCTS) に換装された。
  • ドッキングシステムがウクライナ製のクルス A からディジタル化されたロシア製のクルス NA に更新された。
  • スラスターが1基配置から4基配置になり冗長性が向上した。
  • ヘッドライトがLEDに変更された。

ウクライナとの関係悪化を受けて細部の部品も含めてウクライナの関与が排除され、完全にロシア製となっている。

  1. ^ Unmanned Russian spacecraft 'plunging to Earth'”. Yahoo News (2015年4月29日). 2015年4月29日閲覧。
  2. ^ http://sputniknews.com/russia/20151114/1030108241/roscosmos-progress-spacecraft.html
  3. ^ Upgraded Progress Transport Cargo Spacecraft Getting Ready for Launch”. Yuzhny Space Center (2015年8月10日). 2015年8月13日閲覧。
  4. ^ 鳥嶋, 真也 (2015年8月16日). “ロシアの新型補給船「プログレスMS」、11月の打ち上げに向け準備開始”. 2016年3月9日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年2月13日閲覧。

関連項目


プログレスM (11F615A55)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/11 10:01 UTC 版)

プログレス補給船」の記事における「プログレスM (11F615A55)」の解説

改良版プログレスMは、1989年8月初め打ち上げられた。最初43回はすべてミール飛行ミール運用終了後国際宇宙ステーションへ飛行した2009年7月プログレスM-67最後の飛行となった。 プログレスMは、基本的にプログレスと同じ宇宙船だが、ソユーズTTMから導入され改良特徴である。太陽電池パネル装備するようになり、最高30日まで自律飛行ができ、ミール運搬できる貨物は100kg増えている。また、古いプログレスとは違ってVBKラドゥガ (Raduga) カプセルで150kgまでの貨物地球持ち帰ることができる。このカプセル長さが1.5m、直径60cmで、乾燥重量は350kg、与圧モジュールハッチ挿入し再突入時に分離回収される。プログレスMは、ソユーズTMと同じ新しいクルスランデブーシステムを装備軌道上寿命は180日間打上重量 7,130 kg 貨物重量 2,600 kg 乾貨重量 1,500 kg 液体貨物重量 1,540 kg 全長 7.23 m 太陽電池板の長さ 10.6 m 乾貨区画容積 7.6 m³ 貨物モジュール直径 2.2 m 最大径 2.72 m

※この「プログレスM (11F615A55)」の解説は、「プログレス補給船」の解説の一部です。
「プログレスM (11F615A55)」を含む「プログレス補給船」の記事については、「プログレス補給船」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「プログレスM」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「プログレスM」の関連用語

プログレスMのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



プログレスMのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのプログレス-M (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのプログレス補給船 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS