プログレス4、推進システムのトラブル、地球への帰還
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 02:43 UTC 版)
「ソユーズ29号」の記事における「プログレス4、推進システムのトラブル、地球への帰還」の解説
乗組員にとって3度目のプログレス補給船が10月6日にサリュート6号の後方ポートに到着した。プログレス4は、空気の缶、衣服、雑誌、食物等を含む1300kgの装備を積んでいた。イワンチェンコフの妻はブランデー入りのチョコレートを入れたキャンディの箱をこっそり持ち込んだ。乗組員が箱を開けるとチョコレートが流れ出て、回収するのに2時間を要した。 燃料補給は10月13日に終了し、10月20日にステーションの軌道を上昇させるため、2回の燃焼が行われた。10月26日にプログレスは軌道投棄された。 ミッションの終了に向けて、乗組員はステーションのエンジンの異常に気づき、地上管制に報告した。 ミッションが終わりに近づくと、さらに多くの実験が行われた。10月7日には月食が観測され、10月17日から18日には大規模な医学試験が行われた。10月22日には、Kristall火炉及びSplav火炉でさらに材料実験が行われた。 最後の月には、乗組員は毎日3時間の運動を行った。10月30日には実験がソユーズ31号に移され、エンジンが試験され、ステーションの内部の清掃が行われた。彼らは11月2日に地球に帰還し、ジェスカズガンの南東180kmに着陸した。着陸は、ソビエト連邦のテレビでライブ中継された。帰還後、乗組員は5日でほぼ回復し、25日で完全に回復した。彼らは、地球帰還後に話すのが困難となった最初の乗組員となったが、以前の長期滞在乗組員と比べ、体調は若干良かった。彼らは合計139日間を軌道上で過ごした。 居住が終わりサリュート6号が密閉モードに戻った後、テレメトリーデータの解析によって、推進システムに生じた問題の解明が行われた。その結果、非対称ジメチルヒドラジンのタンクの1つに漏れがあり、推進剤をエンジンに送り込む窒素加圧送風機を汚染していたと結論付けられた。さらにメインエンジンを使い続けると漏れを悪化させ、高度制御スラスタを含む推進システム全体を破壊する恐れがあった。この結果、ステーションの残りの運用寿命の間、メインエンジンの点火を行わないことが決定された。このサリュート6号の高度制御スラスタの制限のため、それ以降の全ての軌道マヌーバは、訪れた宇宙船で行うこととなった。 乗組員が比較的良好な体系を維持していたのは、ミッション終盤に行われた激しい運動プログラムのおかげと考えられ、さらに長期の宇宙滞在への道が拓けた。
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