フリーゲージトレイン導入計画と断念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 06:38 UTC 版)
「北陸新幹線」の記事における「フリーゲージトレイン導入計画と断念」の解説
金沢駅以西については、フリーゲージトレイン(FGT)による在来線乗り入れとする案が検討されてきた。これは、金沢駅 - 敦賀駅開業後、在来線である湖西線に乗り入れて京都駅経由で大阪(新大阪駅または大阪駅)へ至るというもので、敦賀駅以西の建設の見通しが立たないことにより、2012年2月に国土交通省が提案したものであった。FGTが導入されると、北陸本線・東海道本線経由で米原・名古屋方面への直通も可能になるというメリットもあった。 金沢 - 敦賀間の着工に向けた試算では、金沢 - 敦賀間のフル規格整備に加えて、富山 - 大阪間に軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の導入した場合についても想定されていた。 2013年6月からFGTのプロジェクトチームを拡大して開発を本格化するとした。JR西日本もこの案を前向きに検討し、同社は2014年9月、敦賀市において模擬台車による軌間変換試験を同年10月から開始すること、また、北陸ルートに対応したFGT試験車(6両編成)の設計・製作にも取りかかり、2016年度から試験車両による試験を始めることを表明していた。 しかし、FGTは開発途上で技術的な課題があるとともに、仮に実現しても在来線では従来の特急列車と同じ速度でしか運転できない、通常の新幹線より重くなることにより線路の保守費用が膨らみ、車両の製造費が高くなるというデメリットが指摘された。さらに、金沢 - 敦賀間の開業が当初予定の2025年度から2022年度に3年繰り上げられたことで、JR西日本は開業が前倒しされた場合には、導入が間に合わないとの見解を示した。 なお、2012年5月には沿線の富山・石川・福井・滋賀・京都・大阪の各府県と関西広域連合、JR西日本はFGT導入について、新幹線の大阪延伸までの暫定措置として認めるとの申し入れを国土交通省に行っているが、福井県の市民団体は高価なFGT車両の導入により敦賀以西のフル規格での整備が進まなくなる、料金が割高になるとして、導入を見送るように県に対して申し入れを行っている。 2015年(平成27年)1月14日の「整備新幹線の取扱いについて」の中で「沿線地方公共団体の最大限の取組を前提に、完成・開業時期の前倒しを図る。」とする方針が示された。北陸新幹線においては金沢 - 福井 - 敦賀間の「完成・開業時期を平成37(2025)年度から3年前倒しし、平成34(2022)年度末の完成・開業を目指す」とされた。また、在来線との乗換利便性を確保し、十分な開業効果をできる限り早期に発揮する観点から、別途与党において、整備が先行している福井駅の早期活用等について、今夏までに検討を行うこと。金沢 - 敦賀間には、フリーゲージトレインを導入することが予定されているが、フル規格を前提とする整備計画に影響を与えるものではないことも示された。 2017年6月17日の定期会見で福井県知事は九州新幹線(西九州ルート)(JR九州)でのFGT導入見送りを受けて、在来線特急の調整を行う都合から、採用の結論を求めていた一方で、同年6月20日のJR西日本の定期記者会見においては、技術的な問題が解決するまで動向を注視するとして、FGT導入について明言を避けていたが、2018年8月24日の政府与党とJR西日本の会合で「技術的課題があり、開発が難航している」との理由により、導入を断念せざるを得なくなった。
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