パブリックドメイン化、再出版へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 15:28 UTC 版)
「我が闘争」の記事における「パブリックドメイン化、再出版へ」の解説
2015年12月31日までドイツ国内で流通していた『我が闘争』は、ドイツ語の古書と他言語版のみであったが、ヒトラーの没後70年に当たり、著作権の保護期間が終了する2016年1月1日以降はパブリックドメインとなることから、ネオナチズム主義者やホロコースト否認論者に喧伝されない様に、歴史学者による学術的な注釈を付けた書籍としての復刊が、2012年からミュンヘンの現代史研究所(ドイツ語版、英語版) (IfZ) によって計画されていた。 しかし、ホロコースト生存者からの反対を受け、2013年にバイエルン州政府は出版を取りやめ、現代史研究所への資金提供を停止し、注釈付きでも出版した者は民衆扇動罪で取り締ることを発表したが、2014年1月24日に至り、州政府は学術的な注釈を付けた『我が闘争』の発行を認める方針に転換した。 ヒトラー没後70年が経過した2016年1月8日、注釈付きの『我が闘争』が現代史研究所より上下巻に分けて出版され、ドイツで戦後初めてドイツ語で書かれた『我が闘争』が公式に出版され、誰もが読めるようになった。解禁後の同書はドイツのAmazon.co.deで初刷4,000部が数時間の内に完売し、1年間で約85,000部という予想外のベストセラーとなった。ドイツにいるユダヤ人の一部は、『我が闘争』の販売が「ネオナチズムの新たな波を生み出す」とし、不快感を示した。中立の歴史家は、この再発行を支持している。 フランスでは、2021年6月2日にパリの社会科学高等研究院とミュンヘンの現代史研究所の研究者の協力の下、『我が闘争』の新しい注釈付きで出版された。この新版は、1934年に翻訳されたフランスの初版とは異なり、1925年と1926年のドイツ版をベースに、ヒトラーの文法的な誤りや曖昧な文章を出来るだけフランスの読者が感じられるように、ドイツ語の原文に沿って書かれている。この新しいフランス語版のタイトルは『我が闘争』ではなく、『悪を歴史化する—マイン・カンプの注釈版』であり、表紙にもヒトラーの名前はなく、二人の研究者の名が記されている。ナチズムやホロコーストを専門とする11人の歴史学者が書いた注釈は、訳文と同じぐらいの長さで、序文のほか、各章の冒頭にも序説がつけられているため、全体でおよそ1,000ページにもなっている。注釈版の目的は『我が闘争』を細かく分析することによって、ナチズムの根本に遡ることだと出版者は述べている。
※この「パブリックドメイン化、再出版へ」の解説は、「我が闘争」の解説の一部です。
「パブリックドメイン化、再出版へ」を含む「我が闘争」の記事については、「我が闘争」の概要を参照ください。
- パブリックドメイン化、再出版へのページへのリンク