バスケットボール指導者としての考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 09:28 UTC 版)
「尺野将太」の記事における「バスケットボール指導者としての考え方」の解説
尺野は、バスケットボールにおける「数値」は、指導者が気づきにくい点も含めて多くの視点から選手やチームの現状を捉えることにつながる大事な指標であるが、日本のバスケットボール指導の現場では「時間がない」「人がいない」「分析方法がわからない」といったマンパワー不足や知識不足、あるいは「本当に有益な情報なのか?」といった分析の軽視がまかり通っているという点に強い問題意識を持っている。また、バスケットボールにおける「分析」とは、単に対戦チームのシステムの把握ではなく、敵味方の双方において「いつ、どういう時に、どれぐらいの頻度で、どのフォーメーションが選択され、それがどれぐらいの確率で成功するか」までを明らかにすることであると指導している。 尺野の考える現代バスケットボールのヘッドコーチの役割とは、European Sport Coaching FrameworkにおけるChapter 3 Coaching Practiceの「Primary Functions of the Coach」で定義されている以下の6項目だと語っている。1)構想と戦略を立てる(Set the Vision and Strategy)(2)環境を整える(Shape the Environment)(3)様々な関係性を構築する(Build Relationships)(4)練習を実施し、試合の準備を整え、試合に臨む(Conduct Practices and Prepare and Manage Competitions)(5)現場で起こっていることを察知し、それに対処する(Read and React to the Field)(6)振り返りと学び(Reflect and Learn) この6つの役割を果たすためにヘッドコーチに求められる資質では、バスケットボールの競技知識、戦術知識だけではなく、様々な関係機関と良好な関係を構築するコミュニケーション能力や人間性が求められる点を強調している。また自らがアシスタントコーチからヘッドコーチに急遽昇格した時の実感として、情報を収集・整理したうえで「決断」ができる事が重要だとも語っている。 尺野は自身にトップレベルのプレイヤー経験のない中で、プロ選手を指導してゆく上での自身の根幹とは「バスケットボールを見る目」と「信頼関係」であると述べている。尺野は自身のバスケを見る目には強い自信を持っている。まずはその目で試合や練習をしっかり分析、研究して選手に情報や指示を提供することが大事である。しかしそれだけでは選手に話を聞いてもらうのは難しい。たとえ選手にその時は納得してもらえなくても『やったら何か良いことあるな』と思ってもらえるだけの信頼関係を築いてゆくことは指導の根底である。 尺野が作るチームでは、攻撃では切り替えの早さを重視しスピード感のある速攻を重んじる傾向にある。守備では前から相手チームに強いプレッシャーをかけて試合を支配するチームディフェンスを重視している。 ヘッドコーチ就任以後の尺野は選手に対して「闘志」を強く求める傾向にあり、「最後は相手に勝る強い気持ちを持つ事が試合を決める」「最後は気合と根性」との趣旨の発言を多くの試合後会見などで口にしている。 尺野の持論として、バスケットボールのアシスタントコーチが持つべき重要な資質とは「ヘッドコーチのイエスマンになるのではなく、自分の意見を持つ事」としている。その上で「自分の意見を持った上で、最終的に自分の意見が採用されない時も、選手の前で話すときは、ヘッドコーチの意見をチーム(自分)の意見として選手に伝える」というヘッドコーチに対する忠誠心が非常に大切だとも教えている。 尺野が学生の時に、日本代表元ヘッドコーチの中川文一に練習の見学をお願いし、バスケの試合の見方や練習の意図を丁寧に説明してもらい、また試合観戦にも同行させてもらっている。その時にコーチングにおける重要な事項の多くは本やビデオを通してではなく、直接話しを聞くからこそ伝わる事が多いと強く感じたため、自身も特に意欲のある学生やコーチから指導を求められた場合には、自分の持ってる知識や経験を惜しみなく自分の言葉として直接伝える事が自分なりの恩返しだと考えている。
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