トマス 独断主義との対決とは? わかりやすく解説

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トマス 独断主義との対決

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 16:16 UTC 版)

「真理」記事における「トマス 独断主義との対決」の解説

トマス・アクィナスは、アリストテレスロゴス中心に認識論存在論一体化した真理論キリスト教神学統合した人物であり、真とは思惟事物一致であるとして対応説をとる。トマス生きた時代は、十字軍きっかけに、アラブ世界との文物問わない広汎交流始まったことにより、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス異教活動禁止のため、一度途絶したギリシア哲学伝統アラブ世界から西欧莫大な勢いで流入し度重なる禁止令にもかかわらず、これをとどめることはできなくなっていた。また、同様に商業めざましい勢いで発展し都市繁栄による豊かさの中で、イスラム教徒であるとユダヤ教徒であるとキリスト教徒であるとを問わず大衆堕落していくという風潮と、これに対す反感渦巻き哲学者アリストテレス註釈家と呼ばれていたアヴィケンナアヴェロエスとは、キリスト教真理弁証する護教家として理論的に対決する必要に迫られていた。また、トマスは、同様にアビケブロンのみならず多くユダヤ人思想家とも対決をしなければならなかった。異教徒との対決懐疑主義との対決というより、(それが異教徒に向くか自身足元に向くかはともかく)独断主義との対決であったトマスは、異教徒であったアリストテレス真理論承継しつつも、その上でキリスト教神学調和し難い部分については、新たな考え付け加えてキリスト教神学の「宗教的真理」との調和図ろうとしたのであり、哲学は「神学の婢」(ancilla theologiaeであったアリストテレスは、すべての存在者の究極原因である「神」不動の動者)は質料もたない純粋形相としていた。しかし、トマスにとって、神は、万物の根源であるが、純粋形相ではあり得なかった。旧約聖書の『出エジプト記第3章14節で、神は「私は在りて在るのである」との啓示モーセ与えているからである。そこで、彼は、アリストテレス存在論修正加え、「存在本質」(esse-essentia)を加えたまた、アリストテレスは、世界根源を神と第一質量二元的考え世界始まりと終わりのない永遠なものとしていた。しかし、トマスにとって、世界は神によって無から創造されたものであった。そこで、彼は、アリストテレスが神を自らを思惟するのみで、他者認識しいとしていた点を修正し、神は自らと他者イデアによって認識するとし、世界第一質量とともに神のみ創造したものとして一元的把握したトマスによれば、魂は不滅であり、人間は、理性によって永遠普遍神の存在認識できるいわゆる宇宙論的証明)。しかし、有限である人間は無限である神の本質認識することはできず、理性には限界があり、人間認識できる真理にも限界がある。もっとも、人間は神から「恩寵の光」と「栄光の光」を与えられることによって知性成長し神を認識できるうになるが、生きている間は恩寵の光のみ与えられるので、人には信仰・愛・希望導き必要になる。人は死して初めて「栄光の光」を得て神の本質を完全に認識するものであり、真の幸福が得られる

※この「トマス 独断主義との対決」の解説は、「真理」の解説の一部です。
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