ディズニーとピクサーの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 12:58 UTC 版)
「ピクサー・アニメーション・スタジオ」の記事における「ディズニーとピクサーの関係」の解説
ピクサーのすべての主要作品は、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズと共同制作している。開発やアニメーション制作、ポストプロダクションなどの制作面はピクサーによって行われ、配給や販売促進の配給面はディズニーによって行われ、またそのコストを負担している。ピクサー最初の長編作品『トイ・ストーリー』公開後の1997年、両社は今後10年間5作品の映画で制作費と興行収入を均等に2分配する契約を行った。また契約の際、映画およびキャラクターの著作権はディズニーが有し、分配後の10%から15%の興行収入をディズニーに支払うことも契約内容に含まれた。両社にとってこの契約は非常に有益であり、ピクサーの契約後の主要5作品は合計で25億ドル以上の利益を上げている。これは1作品当たりの興行でもっとも高い平均総収入に相当する。また、ディズニー本体の映画制作が振るわなかったこともあり、ディズニーの総売上の半分近くをピクサー関連が占めるまでになった。ディズニーとの不調和は、1999年に公開された『トイ・ストーリー2』の制作時から始まった。この作品はもともとビデオ作品として作られていたが、制作中に劇場用作品に昇格された。そのため当初契約に含まれる5作品とは考えられておらず、ピクサーはこの作品を5作品のうちの1つと数えるよう要求したが、ディズニーはこれを拒否した。 2004年の早い時期に、両社は新たな契約合意に向けて協議を始めた。ピクサーは制作した作品の著作権管理を目指していたが、協議は配給に関することのみであった。ディズニーとの配給交渉の局面で、ピクサーは『Mr.インクレディブル』や『カーズ』を含め、過去に制作した作品の著作権を引き渡すよう要求した。さらに、ピクサーは経済的自立を望んでおり、自社が制作した作品に対する融資と興行収入のうち、ディズニーに対する配給料15%を除くすべてをピクサーの収入とすることを要求した。ディズニー、特に当時のCEOであったアイズナーはこれを受け入れなかったが、これにピクサーも譲歩せず他のスタジオとの提携も模索していた。 これで両者の関係は終局するかと思われたが、すでに稼ぎ頭となっていたピクサーを手放すことにディズニーの株主たちが反発、2004年にアイズナーが2006年の任期切れをもってディズニーのCEOを退任することを表明した。実際にはアイズナーの退任は2005年に前倒しされ、2006年に後任のボブ・アイガーとジョブズが、ディズニーが同年夏までにピクサーを買収することで同意したと発表した。5月5日、買収金額74億ドルでピクサーはディズニーの完全子会社となり、経済的自立という自社の思惑とは裏腹にディズニーの傘下に入った。結果ジョブズはディズニーの個人筆頭株主となり、同時に役員に就任した。また、ピクサーの社長であったキャットマルはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの社長を兼務することになり、ラセターはCCOとして両社のアニメーション作品を統括することになった。さらに、ピクサー作品の著作権はディズニーが所有することになり、これにともないディズニーが独自に企画していた『トイ・ストーリー3』もピクサーにより制作された。一方、『カーズ』のスピンオフ作品である『プレーンズ』および『プレーンズ2/ファイヤー&レスキュー』はディズニートゥーン・スタジオによって制作された。
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