タンパク質を構成するもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 05:17 UTC 版)
「アミノ酸」の記事における「タンパク質を構成するもの」の解説
詳細は「タンパク質を構成するアミノ酸」を参照 一部の特殊なものを除き、ヒトのタンパク質は5種類の元素 (炭素、水素、酸素、窒素、硫黄) から構成される20種類のアミノ酸が結合して作られている。これらのアミノ酸にはそれぞれ一文字表記、または三文字表記のアルファベットからなる略号が付与されており、一次構造の記述に使用される。 それぞれのアミノ酸は、構造によって異なる酸・塩基性を持つ。構造内に2つのカルボキシル基を持つアミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸)は酸性を、2つ以上のアミノ基を持つアミノ酸(リシン・アルギニン・ヒスチジン)は塩基性を、その他のアミノ酸はほぼ中性を示す。また、それぞれのアミノ酸は等電点が実験的に決定されており、電気泳動などの分離時に意味を持つ。 中性アミノ酸は、カルボキシル基およびアミノ基以外に持つ特徴的な基によって、幾つかに分類される。主に、アルキル鎖を持つグリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン、ヒドロキシ基を持つセリン・トレオニン、硫黄を含むシステイン・メチオニン、アミド基を持つアスパラギン・グルタミン、イミノ基を持つプロリン、芳香族基を持つフェニルアラニン・チロシン・トリプトファンに分類され、タンパク質の持つ疎水性や立体配座はこれらの分類を考慮しながら考察される。 アミノ酸三文字表記一文字表記構造式コドン(IUPAC 表記) 分子量等電点ファンデルワールス半径タンパク質の豊富(%)アラニン Ala A GCN 89.09 6.00 67 8.76 アルギニン Arg R MGN, CGY(時々CGN、AGR) 174.20 10.76 148 5.78 アスパラギン Asn N AAY 132.12 5.41 96 3.93 アスパラギン酸 Asp D GAY 133.10 2.77 91 5.49 システイン Cys C UGY 121.16 5.05 86 1.38 グルタミン Gln Q CAR 146.15 5.65 114 3.9 グルタミン酸 Glu E GAR 147.13 3.22 109 6.32 グリシン Gly G GGN 75.07 5.97 48 7.03 ヒスチジン His H CAY 155.15 7.59 118 2.26 イソロイシン Ile I AUH 131.17 6.05 124 5.49 ロイシン Leu L YUR, CUY(時々UUR、CUN) 131.17 5.98 124 9.68 リシン Lys K AAR 146.19 9.75 135 5.19 メチオニン Met M AUG 149.21 5.74 124 2.32 フェニルアラニン Phe F UUY 165.19 5.48 135 3.87 プロリン Pro P CCN 115.13 6.30 90 5.02 セリン Ser S UCN, AGY 105.09 5.68 73 7.14 トレオニン Thr T ACN 119.12 6.16 93 5.53 トリプトファン Trp W UGG 204.23 5.89 163 1.25 チロシン Tyr Y UAY 181.19 5.66 141 2.91 バリン Val V GUN 117.15 5.96 105 6.73 上に挙げた20種類のアミノ酸は、タンパク質合成時に遺伝情報に基づいて連結される。多くのタンパク質は上記の20種類のアミノ酸残基からなるが、ある種のタンパク質にはセレノシステイン残基、N-ホルミルメチオニン残基、ピロリシン残基、ピログルタミン酸残基などの特殊なものも含まれる。 上記のほかにタンパク質合成後に修飾を受けるアミノ酸残基も存在する。例えば以下のようなものである。 シスチン — システイン2分子が酸化されて生成する。 ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン — ゼラチン、コラーゲンに含まれる。 チロキシン — 甲状腺タンパク質に含まれる。 O-ホスホセリン — カゼインなど、多くのリンタンパク質に含まれる。 デスモシン — エラスチンやコラーゲンに含まれる。 タンパク質に含まれないアミノ酸として、以下のようなものも存在する(こうしたアミノ酸を総称して異常アミノ酸と呼ぶこともあるが、必ずしも適切な命名ではないという批判もある)。 β-アラニン — 筋肉中に存在する。 サルコシン — ある種の抗生物質に含まれる。N-メチルグリシンに相当する。 オルニチン — 尿素回路の中間体。 シトルリン — 尿素回路の中間体。 γ-アミノ酪酸 — 神経伝達物質。GABA とも呼ばれる。 オパイン — アグロバクテリウムのエネルギー源に利用される。 トリメチルグリシン —
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