タンパク質フォールディングのモデリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 14:02 UTC 版)
「フォールディング」の記事における「タンパク質フォールディングのモデリング」の解説
計算によるタンパク質構造予測のためのデ・ノボ (de novo) または第一原理 (ap initio) 的手法は、どちらもタンパク質フォールディングの実験的研究に関連しているが、厳密には区別されるものである。分子動力学法 (MD) は、タンパク質のフォールディングと動力学をイン・シリコ (in silico) で研究するための重要なツールである。最初の平衡フォールディング・シミュレーションは、暗黙の溶媒モデルとアンブレラ・サンプリング法を用いて行われた。計算コストが高いため、明示的な水を用いた第一原理計算によるフォールディング・シミュレーションは、ペプチドや非常に小さなタンパク質に限定される。より大きなタンパク質のMDシミュレーションは、実験的な構造の動力学、または、その高温アンフォールディングに限定される。小さなサイズのタンパク質 (約50残基以上) のフォールディングのような長時間のフォールディングプロセス (約1ミリ秒を超える) は、粗視化モデル(英語版)を用いて解析することができる。 スタンフォード大学教授のビジェイ・S・パンデのグループが作成した100ペタFLOP級の分散コンピューティングプロジェクト Folding@home は、ボランティアのパーソナルコンピュータのCPUとGPUのアイドル処理時間を利用して、タンパク質のフォールディングをシミュレーションする。このプロジェクトは、タンパク質のフォールディングのミスフォールディング(誤った折りたたみ)を理解し、疾患研究のための創薬ドラッグデザインを加速することを目的としている。 D. E. Shaw Research社 (英語版) のカスタムASICと相互接続を中心に設計・構築された超並列スーパーコンピュータAnton(アントン)で、長時間の連続軌道シミュレーションが実行された。Antonを使用して実行されたシミュレーションの公開された最長の結果は、355KでのNTL9の2.936ミリ秒のシミュレーションである。
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