セカンド・ターニングポイント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:02 UTC 版)
「三幕構成」の記事における「セカンド・ターニングポイント」の解説
セカンド・ターニングポイントまたはプロットポイント II (Second turning point または Plot point II ) は、第三幕への分かれ目であり、通常、全体のおよそ3/4、開始から80-90分頃に配置される。このポイントは、ファースト・ターニングポイントと同じく、ストーリーをより危険な方向へ転換させ、新たな幕に進ませる。その結果、主人公の危険度は次の第三幕で最も高くなる。最悪の状況にある主人公は、ここで敵対者に大きく立ち向かい、決戦のために新しい舞台へと移る。そのクライマックスに向けてストーリーのテンポはここで上がる。実際にタイムリミットが設定されるケースもある ("ticking clock")。代表的な例としては、『アナと雪の女王』('13) で、瀕死のアナがクリストフに会うために宮殿から脱出しようとするシーンがセカンド・ターニングポイントにあたる (p. 102.)。 セカンド・ターニングポイントでは、登場人物はこのまま変化し続けるか、それとも後戻りするかの選択を求められる。デイヴィッド・トロティエは、このポイントをクライシス (Crisis) と呼び、ここでは主人公が最悪の状態に陥り、最後の障害に勝つための決断を強いられるとしている。主人公は大きな変化、試練を乗り越えることで、精神的にさらに成長していく。主人公が希望を捨てようとした瞬間、目的を達成する方法が見つかるという展開になる場合もある ("good news, bad news")。競技をテーマとした作品であれば、セカンド・ターニングポイントから最後の競技が始まり、第二幕におけるトレーニングなどの結果が次の第三幕において示される。 このシーンは一般的に、「死」に関するシーンであり、このシーンから主人公が生まれ変わり始める。主人公は敵対者のエリアで彼(ら)のしていることを目撃する。それにより敵対者の真実が明らかになり、主人公の主張 (最終目的) や考え方が徹底的に破壊されて、主人公は苦しめられる。これまでの映画全体がこの真実を知るシーンに向かって動いていたのである。セカンド・ターニングポイントは死と関係するため、この直前か直後では、主人公側のメインキャラクターの死ぬことがよく見られるが、ウェンデル・ウェルマンによれば、それは既に陳腐な展開であり、登場人物の犠牲はストーリーに欠かせないと考えられる場合のみに限るべきであるとしている。 ブレイク・スナイダー(英語版)によれば、セカンド・ターニングポイントでメインプロットとサブプロット (B-ストーリー) がからみ合い、それによって問題を解決するヒントが見つかるという (例: ヒロインが敵対者の弱点を教えてくれるなど)。 セカンド・ターニングポイントの例としては、『アメリカン・スナイパー』('14) で、出征していた主人公が家族と再会するが戦場の記憶に苦しめられるシーン、『ゴーン・ガール』('14) で、行方不明となっていた妻が戻り、主人公がテレビ番組のインタビューにこたえるシーン、『ベイマックス』('14) では、復讐しようとするキャラハン教授を止めるため、主人公たちが出動するシーン、『ゼロ・グラビティ』('13) で、主人公が地球に着陸するための作業を始めるシーン、『英国王のスピーチ』('10) では、ジョージ6世が戴冠式のスピーチの準備を始めるシーン、『ソーシャル・ネットワーク』('10) で、麻薬所持で逮捕されたパーカーと、ザッカーバーグが決別するシーン、『借りぐらしのアリエッティ』('10) では、アリエッティの母親が家政婦に捕まるシーン、『塔の上のラプンツェル』('10) で、再び塔の中に閉じ込められたラプンツェルが、王女としての記憶を思い出すシーン、『アバター』('09) では、主人公が巨大な翼竜を手なづけることで、もう一度ナヴィたちの信頼を取り戻そうと決意するシーン、『第9地区』('09) で、捕らえられて移送中の主人公がギャングに拉致(らち)されるシーンなどが挙げられる。 他には、『マトリックス』('99) で、主人公のネオが拘束された船長モーフィアスを救出することを決断するシーン、『タイタニック』('97) では、ローズがジャックのところへ行くために救命ボートから降りるシーン、『テルマ&ルイーズ』('91) では、テルマとルイーズが車中で最後の夜を静かに過ごすシーン、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』('85) で、主人公のマーティが落雷を利用して元の時代に戻ろうと準備するシーン、『幸福の黄色いハンカチ』('77) で、勇作 (高倉健) が妻との過去を明かし、約束を果たすために3人で夕張に向かおうとするシーンなどが、セカンド・ターニングポイントである。
※この「セカンド・ターニングポイント」の解説は、「三幕構成」の解説の一部です。
「セカンド・ターニングポイント」を含む「三幕構成」の記事については、「三幕構成」の概要を参照ください。
- セカンド・ターニングポイントのページへのリンク