第二幕後半
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:02 UTC 版)
第二幕の後半も、引き続き、主人公が目的の障害に立ち向かうことになるが、ほとんどの映画では、主人公にとって困難がますます大きなものとなってくる [まれに『美女と野獣』('91) のように、第二幕の前半のほうがハードで、後半から順調になる例もある]。ウェンデル・ウェルマンによれば、第二幕の後半では、主人公が急降下する以外に原則はとくにない。ここでは、主人公が混沌へと急降下し、また、少なくとももう一人、別の主要人物の下降も追って始まる。主人公などの陥るカオスを徹底的に描く場合も、軽く触れるだけの場合もある。 シド・フィールドは、この第二幕の後半 (second half) の中間点に起こる重要な出来事 (75分) を、ピンチ II (Pinch II) と呼んでいる。ピンチ II は、第二幕後半の中心となるイベントである。それは、第二幕の後半を一つにまとめ、ミッドポイントからセカンド・ターニングポイントまでのストーリーをつなぐ。『テルマ&ルイーズ』('91) では、警察に逮捕されたヒッチハイカーの J.D. が、ピンチ II でテルマとルイーズの逃亡先を明かしてしまう。『アナと雪の女王』('13) では、アナが心臓を傷めてから (p. 70., 前述)、宮殿に戻って真実の愛に目覚めるまで (p. 102., 後述) の中間点で、トロールの長老が、アナの心臓を癒やすには真実の愛が必要であると教えてくれる (p. 87.)。 バッドガイズ・クローズ・イン (※スナイダーの分類)バッドガイズ・クローズ・イン (bad guys close in, 迫り来る悪い奴ら) は、ブレイク・スナイダー(英語版)によれば、パワーアップした敵対者が逆襲してくるセクションである (第二幕の後半)。一方で、主人公の側にも内輪もめが起こる。シド・フィールドの言うピンチ II (75分) はここで起こる。『アナと雪の女王』('13) では、アナたちがエルサ女王の作った雪の巨人に追われる。また、アナは心臓に受けたダメージにより死に向かう。そしてエルサも、ハンス王子とその兵士などによって城を襲撃され、捕らえられる (いずれも pp. 70-96.)。 オール・イズ・ロスト (※スナイダーの分類)オール・イズ・ロスト (all is lost, 全てを失って) は、スナイダーによれば、主人公が一時的に最悪の状況に陥ることであり、失意のどん底まで落とされる (全体の約2/3)。ヒット作では、よく何かしら死に関することが示され、観客にインパクトを与える。実際に指導者が死ぬことが多いが、植木鉢の花が枯れるなど象徴的なものもある。指導者が死んだ場合には、もはや指導者を必要としないほどの力が自分にあることを、主人公が理解する。これまでの世界、キャラクターおよび考えが「死んでいく」ことで、次の世界である第三幕へと移ることができる。『スター・ウォーズ』('77) では、オビ=ワン・ケノービが亡くなる。『アナと雪の女王』('13) では、凍死寸前のアナが、ハンス王子から婚約が王位のための道具であったことを告げられた後、冷たい部屋に一人で閉じ込められる。また、エルサ女王も、ハンスによって反逆罪で死刑を宣告される (いずれも pp. 96-98.)。 ダークナイト・オブ・ザ・ソウル (※スナイダーの分類)ダークナイト・オブ・ザ・ソウル (dark night of the soul, 心の暗闇) は、スナイダーによれば、全てを失った主人公が解決策を深く考え、自分や仲間を救う方法を悟るシーンである。5秒で終わることもあれば、5分続くこともある。『アナと雪の女王』('13) では、オラフが暖炉の火で溶けそうになりながら真実の愛を語る。アナは、ハンス王子ではなく、クリストフが「運命の人」なのではないかと気づく (pp. 99-102.)。
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