スターン (地名)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > スターン (地名)の意味・解説 

スターン (地名)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/15 04:59 UTC 版)

国名に「スタン」が付く国(濃緑)、国内の地方名に「スタン」が付く国(薄緑)

スターン (stān、станـستان) は、ペルシアの文化的な影響の強い中央アジアから中東にかけて地方の名称を形成する語尾(地名接尾辞)として用いられるペルシア語由来の言葉。一般的に、その地方の多数派を占める民族の名称の語尾に接続して、地名を形成する。語源は、インド・ヨーロッパ祖語の *steh₂- (古い時代の再建案では *stā-)に由来する[1]

現代ペルシア語では、「~が多い場所」を意味する接辞として用いられるエスターン (estān、ـستان) であり、他の言語でも-istan、-estanの形で用いられることが多いが、-i-、-e-が付かず単に-stanの形で用いられているものもある。また、現在の各地域の言葉では、ペルシア語由来の長母音アーを長母音のまま発音する場合と短母音化して発音する場合があり、同様に日本語カタカナ表記では「スタン」と「スターン」の両者が用いられる。概して、現地の支配的な言語で長母音が維持されている地名の場合、研究者には圧倒的にスターン表記が好まれるが、一般にはスタン表記も広範に用いられる傾向がみられる[2]

国名

日本語名及び英語名

以下の各国はソビエト連邦構成国時代、「ウズベク」「カザフ」「タジク」「トルクメン」「キルギス」と呼ばれていた。

  • ウズベキスタンУзбекистан/Uzbekistan(ロシア語英語名。ウズベク語自称はO'zbekiston / Ўзбекистон。なお、ペルシア語名はازبکستان/Ozbakestān)
  • カザフスタンКазахстан/Kazakhstan(ロシア語、英語名。カザフ語自称はҚазақстан / Qazaqstan。なお、ペルシア語名はقزاقستان/Qazzāqestān)
  • タジキスタンТаджикистан/Tajikistan(ロシア語、英語名。タジク語自称はТоҷикистон/Tojikiston。ペルシア語名はتاجیکستان/Tājikestān)
  • トルクメニスタンТуркменистан/Turkmenistan(ロシア語、英語名。トルクメン語自称はTürkmenistan。なお、ペルシア語名はترکمنستان/Torkamanestān)
  • キルギスタン(クルグズスタン):Кыргызста́н/Kyrgyzstan(キルギスの旧正式国名。現在も公式に認められている自称。キルギス語自称はКыргызстан。なお、ペルシア語名はقرقیزستان/Qerqizestān)

中央アジア〜中東圏における呼称

  • عربستان/Arabestan:アラベスターン(アラビアのペルシア語名)
  • ارمنستان/Armenestan:アルメネスターン(アルメニアのペルシア語名。現代トルコ語ではErmenistanアゼルバイジャン語ではErmənistan
  • بلغارستان/Bulgaristan:ブルガリスターン(ブルガリアのペルシア語名)
  • Չինաստան/Chinastan:チナスタン(中国のアルメニア語名)
  • Հայաստան/Hayastan:ハヤスタン(アルメニアのアルメニア語による自称国名。アルメニア人の自称民族名ハイに由来)
  • هندوستان/Hindustan:ヒンドゥスタン、ヒンドスタン、ヒンディスターン(本来インド亜大陸インダス川流域をペルシア語文化圏からみた際の呼称。今日ではインド全体を指して多くの言語で用いられる。例:トルコ語・アゼルバイジャン語ではHindistan、アルメニア語ではՀնդկաստան/Hndkastan)
  • Hırvatistan:フルヴァティスタン(クロアチアのトルコ語名)
  • Հունաստան/Hunastan:フナスタン(ギリシアのアルメニア語名)
  • گرجستان/Gorjestan:グルジスターン(ジョージアのペルシア語名。現代トルコ語ではGürcistan、アゼルバイジャン語ではGürcüstan
  • Լեհաստան/Lehastan:レハスタン(ポーランドのアルメニア語名)
  • Lehistan / Лехистан:レヒスタン(ポーランドのオスマン語名。クリミア・タタール語では今日も使われている)
  • مجارستان/Macaristan:マジャリスターン(ハンガリーのペルシア語、トルコ語名。アゼルバイジャン語ではMacarıstanハンガリー人の自称民族名マジャルに由来)
  • Moğolistan:モオリスタン(モンゴルのトルコ語名。アゼルバイジャン語ではMonqolustan
  • Պարսկաստան/Parsqastan:パルスカスタン(ペルシアのアルメニア語名)
  • Ռուսաստան/Rusastan:ルサスタン(ロシアのアルメニア語名)
  • صربستان/Sırbistan:スルビスタン(セルビアのトルコ語、ペルシア語名)
  • Վրաստան/Vrastan:ヴラスタン(ジョージアのアルメニア語名)
  • Yunanistan:ユナニスタン(ギリシアのトルコ語名。アゼルバイジャン語ではYunanıstan

地方名

比喩の地域呼称

脚注

  1. ^ 2つの再建案について、リンク先を参照。再建案① *steh₂- wiktionary:-stan 再建案② *stā- Appendix I Indo-European Roots”. 2009年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月29日閲覧。
  2. ^ なお、その地名接尾辞を国名に用いる地域に生まれ住む現地人に対し「-スタン人」と言い表したり書き記すことがあるが、「スタン」は国に住む民族固有の名詞ではなくあくまで接辞としての役割を担う言葉である為、民族全体を指し示す使い方としては正しくない。
  3. ^ “日本とクルドや中東との架け橋に 「ワラビスタン」次世代に託す希望”. 朝日新聞. (2023年3月26日). https://www.asahi.com/articles/ASR3Q5FD4R33UHBI01X.html 
  4. ^ 室橋裕和 (2019年7月14日). “埼玉県八潮市に、どうして「ヤシオスタン」ができたのか?”. 現代新書. 講談社. 2021年2月6日閲覧。
  5. ^ シェフケンゴ (2019年11月18日). “カレーでもビリヤニでもなく……パキスタン人の朝メシ「ハリーム」を追って【イミズスタン】”. HOT PEPPER グルメ. 2021年2月6日閲覧。
  6. ^ 부카니스탄とは”. Kpedia. 2021年2月6日閲覧。

関連項目


「スターン (地名)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「スターン (地名)」の関連用語

スターン (地名)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



スターン (地名)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのスターン (地名) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS