ジャンルの確立と記念碑的なアルバムと初期シーン (1996年–2002年)
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コンヴァージはもともとエクストリームメタル、クロスオーヴァー・スラッシュ、ハードコア・パンクの融合でできていたが、1990年代中頃には、Rorschach, Universal Order of Armageddon and Starkweatherなどの初期メタルコアやポスト・ハードコアバンドに強く影響を受けるようになった。1996年に発表されたセカンド・アルバム『Petitioning the Empty Sky』、1998年に発表されたサード・アルバム『When Forever Comes Crashing』で、彼らはよりテクニカルで暗い音楽性を取っている。 初期の頃は、CoalesceとBotchはシラキュース出身のメタルコアバンドで、ヴィーガン・ストレートエッジのパイオニアでもあるアース・クライシスから影響を受けていた。のちにCoalesceのボーカリストを務めるSean Ingramはシーンの近くにいくためシラキュースへ引っ越しているが、シーンの排外的なアティテュードに幻滅する結果となり、ミズーリに戻ってCoalesceを結成している。彼らはプログレッシブ・メタル・バンドのトゥールから影響を受けているが、創設者でドラマーのJim Reddは、トゥールから「静寂パートを抜いて」、「ヘヴィなギター、ヘヴィなドラム、変拍子、うるさいパートと静かなパートのダイナミクス」だけを使っているようなバンドに「なりたかった」と述べている。彼らが1998年にリリースしたセカンド・アルバム『Functioning on Impatience』はジャンルの金字塔になった。 Botchは最初、政治的で、ストレートエッジなバンドになろうとしていたが、参加者の多くが持っている攻撃的なスタンスや「エリート主義者」的な意識に嫌気がさしたという。セカンド・アルバムで1999年発表の『We Are the Romans』はDrive Like Jehu、セパルトゥラ、メシュガーから影響を受けている。このアルバムは何年にも渡って数多くのバンドに影響を与え、評論家からも高い評価を得た。2015年のTeamRockでは、「ヘヴィミュージックの歴史でもっとも偉大なアルバムの一つ」として賞賛されている。 1997年には、ザ・ディリンジャー・エスケイプ・プランが政治的志向を持ったバンドArcaneを母体にして生まれたが、それは彼らが再び"派閥"の一員にになるのが嫌だったからであった。彼らは、1998年発表のセカンドEPの『Under the Running Board』で音楽性を大きく変え、1999年リリースのデビュー・アルバムの『Calculating Infinity』では、シニックやメシュガー、デスなどのプログレッシブ・デスメタル・バンドや、キング・クリムゾン、数多くのフュージョン・アーティストから影響を受けた作風になっている。どちらの作品も極度にテクニカルで速いマスコアの特徴を作り上げており、「メタリックハードコアシーンでの激しい競争を開始し」、このサブジャンルの特徴を定義づけることになったといわれている。リラプスは『Calculating Infinity』のサウンドとアルバムタイトルが「数学的だった」ので、「マスメタル」として売り出したが、これはバンドの意図するところではなかった。 1999年にはコンヴァージはスプリットアルバム『The Poacher Diaries』をリリースしており、テクニカル要素を劇的に発展させテイルが、その後メインの作曲者であったKurt Ballou はこの作品を「失敗した実験作品」だとしている。この体験から、彼は音楽に惹きつけられるきっかけだった曲構成や「記憶に残る」要素に焦点をうつすようになり、2001年にアルバム『Jane Doe』を作り上げた。このアルバムはドラマーのBen KollerとベーシストのNate Newtonとの初めての作品だが、二人は作曲に大いに貢献したという。 『Jane Doe』はエクストリームメタル・シーンに多大な影響を与えた上、カルトな人気を得てフォロワーを生み出した。 その他、この時期の重要なアルバムにはCableが1996年に発表した『Variable Speed Drive』、1998年にCave Inがリリースした『Until Your Heart Stops』、2000年にDrowningmanが発表した『Rock and Roll Killing Machine』、2002年にKnutが発表した『Challenger』などがある。
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