コンピュータによるレタリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/30 11:04 UTC 版)
「レタラー」の記事における「コンピュータによるレタリング」の解説
1980年代に普及したコンピュータ、特にアップル製品がデスクトップ・パブリッシング革命の幕を開いてから、コミックのレタリングも徐々に影響を受け始めた。最初にコンピュータを用いてレタリングを行い始めた一人にライター兼アーティストのジョン・バーン(英語版)がいる。バーンは既存のレタリングからフォントを生成していた(ついでながら、当初バーンはデイブ・ギボンズ(英語版)などが作成したレタリングを無許可で使用していたが、現在では許可を得た上でジャック・モレリ(英語版)の書き文字をフォント化している)。ほかに早くからコンピュータでレタリングを行っていた人物にはデイヴィッド・コーディ・ワイスやロクサン・スター(英語版)がいる。後者はボブ・バーデン(英語版)の作品『フレーミング・キャロット・コミックス(英語版)』のレタリングで実験的にコンピュータを使用した。 コンピュータ・レタリングの使用が本格化し始めたのは、1990年ごろにコミックブック専用フォント「ウィズバン (Whizbang)」(スタジオ・デダロス作)が発売されてからである。 1990年代の初め、レタラーのリチャード・スターキングスとパートナーのジョン・ロシェル(元の姓はゴーシェル)はコミックブック用フォントの作成を開始し、コミックラフト (en:Comicraft)社を設立した。現在まで同社はコミック用フォントの開発では大手である(ただしBlambotのような競合社も存在する)。 初期のコンピュータ・レタリングは従来の方式に合わせたもので、プリントアウトした文字を原画に貼りこんでいた。しかし数年のうちに、カラーリング作業がデスクトップ・パブリッシングに移行するのと軌を一にして、デジタルファイル上で直接レタリングとアートを統合する方法が取られるようになり、手間がかかる物理的な貼り付け作業は姿を消した。ワイルドストーム・コミックス(英語版)はこの風潮を先取りしており、数年遅れてマーベルが続いた。DCは最後まで伝統的な制作方式を続けていたが、現在ではほぼすべてのレタリングをデジタルファイル上で行うようになった。 21世紀はじめの数年間、メインストリームのコミック出版社はレタリング業務をほぼ完全にデジタル化して自社で行うようになり、フリーランスのレタラーを事実上消滅させた。マーベルの社内レタリング素材はクリス・イリオパウロス(英語版)が、DCではケン・ロペス(英語版)がデザインを行った。その後趨勢は逆に傾き、ほとんどのコミック出版社は再び社内スタッフではなくフリーのレタラーに業務を委託するようになった。現在のレタラーはほとんどがコンピュータとコミックブック用のデジタルフォントで作業を行っている。
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コンピュータによるレタリング
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「レタラー」の記事における「コンピュータによるレタリング」の解説
現在、マーベルとDCのメジャー二社のコミックブックは、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopのような画像編集ソフト上で、書き文字に似せたフォントを用いてレタリングされたものがほとんどである。コンピュータによるレタリングでは多くの作業工程を省くことが可能で、特にデジタル画像ファイルを直接加工することにより、手間のかかる物理的な貼り付け作業は完全に過去のものとなった。 現在でも原稿に直接レタリングすることを好むアーティストやインカーは存在する。理由の一つとしては、後からキャプションが置かれる場所には絵を描かなくてもいいので時間が節約できる。もう一つには、コミックは物語を伝えるものだが、文字のない絵だけの原稿は物語の半分でしかないためである。 ベテランのレタラーであるジョン・ワークマン(英語版)のように、手書きとデジタルの合間で作業する者もいる。ワークマンは紙上での作業に加え、ワコムのペンタブレットを用いてデジタルの手書きレタリングも行っている。
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