クリーン設計とIPL-ROM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 01:03 UTC 版)
「X1 (コンピュータ)」の記事における「クリーン設計とIPL-ROM」の解説
電源投入直後、最初にIPL (Initial Program Loader) が起動し、FDD、拡張ROMボード、CMTの順にブートを試みる。それらの応答がない場合やユーザー操作によるキャンセルによりメニュー画面に切り替わり、ブートするデバイス3つとテレビタイマーのエディタの計4つから選択する画面へと遷移する。 基本設計は同社のMZシリーズ同様、本体にROMでシステムプログラムを直接を持たない、クリーン設計になっている。MZとよく似た仕組みでありながら、X1のIPLでは読み込み時はROM、書き込み時はRAMにCPUがアクセスするようにし、Z80のメインメモリのフルサイズである64KiBのデータを一度にRAMへ書き込む事を可能にしている。 初期の本体に標準搭載された二次記憶装置はデータレコーダのみであり、標準の構成では当時の一般的なシステムであったBASICの起動まで数分を要するというデメリットがあった。しかし、FDDとDISK-BASIC (CZ-8FB01) の利用や、拡張ボードとしてあらかじめBASICの書き込まれたROMを搭載したCZ-8RB01等の利用により、その時間を短縮することが可能だった。ROMボードを用いた場合でも直接メモリ空間にマッピングされるのではなく、IPLによってボード上のデータがRAMに展開されてから起動した。 本体内蔵のデータレコーダーの速度は2700bpsで、同時期の競合製品の2〜3倍という転送速度を誇り、同社MZシリーズの一部に由来する電磁制御の可能なデッキはプログラムで頭出しやデッキオープンなどの制御が可能になっている。これらの機能を活かすことで、競合機種ではFD版のみで提供されたソフトが、X1では廉価なテープ版でも提供されることが多い傾向にあった。但し、フロッピーディスクと比較した場合高速とは言いがたいシーケンシャルデバイスのテープ版のゲームがFD版と同様の快適さで遊べるかどうかは別問題であり、テープ版ではデータを減らすために仕様が異なる実装のゲームもあった。 比較的初期のX1D(第3世代)に標準搭載された3インチフロッピーディスクが国際的にも(8インチFDに代わり)大幅にシェアを伸ばした5.25インチミニフロッピーディスクに押され、X1D及び外付け3インチFDDは廃止、X1turboの登場時に5インチFDDを採用するといった紆余曲折や、純正FDDの価格が高価だったことなどの要因があり、FDによるソフトウェア資産が出そろうのを遅らせ、カセットテープとFDで分散、あるいは両方の媒体で提供されることとなった。 これらはMZシリーズでも同様の傾向があり、標準搭載のデバイスがデータレコーダの時期が長く、割高なFDDへの移行は緩やかなものとなっていた。
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