クナールとは? わかりやすく解説

クナール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 14:53 UTC 版)

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クナールの模型

クナール英語: knaarまたはknarr,knorr,knörr)は9世紀ヴァイキングが使っていた船である。クナールは、ロングシップカーヴ英語版フェーリング英語版と同じく鎧張り英語版で造られていた。

クナールは、元々セイウチ羊毛木材小麦毛皮、生皮、奴隷蜂蜜、それに武器などの貿易品を運ぶために使われた。また、バルト海地中海、その他の海を行く戦士や商人に食料、飲料、武器、鎧を供給するためにも使われた。クナールは北大西洋を幾度も横断してノルウェーの植民地であったアイスランドグリーンランドに家畜やその他の資材を運び、またブリテン諸島ヨーロッパ大陸、さらにおそらくは中東の貿易拠点に貿易品を運んだ。

構造

クナールの船体は戦闘に使われたノルウェーのロングシップよりも短く、幅が広く、船梁が広く、また喫水が深かった。ヴァイキングのロングシップに比べると重量があった。クナールは1本マストの貿易船で、その推進力は単に1枚の横帆に頼っていた。甲板は半分だけあり、通常は伝統的な組立式の船尾楼と丸い船尾、船尾柱があった。横帆船であること、及び竜骨がないことは間切り(風上に向かって帆走すること)時に弱点となったが、推進力としてオールに頼らないで済んだ。

それぞれの船にまつわる逸話がある。サガによれば、レイフ・エリクソン北アメリカに航海した時、彼はビアルニ・ヘリオルフソン英語版の船を買った。この船はビアルニが風に流されてグリーンランドから西に北アメリカに運ばれた時と同じものであるという。ある船の竜骨が何代もの間受け継がれ、それを元に新たな船が再度造られた、というようなことが海洋を行く特別の船の神話となっている。別の考え方をすれば、ある船の竜骨を使うことは造船の時間、金、エネルギーを節約することになったのかもしれない。

クナールは、ハンザ同盟によってバルト海で使われたコグ船の構造にも影響を与えた。ただし、コグ船の全体構造はかなり異なっている。

クナールの歴史

クナールは、1962年デンマークロスキレ・フィヨルドの浅い海峡で、保存状態も良く発見された。このときは他にも2隻の戦闘艦、バルト海の商船および瀬渡し船が発見されている。考古学者の見解では、これらの船は敵の来襲に備えて海峡を封鎖するために沈められたということである。スカルデレフ船英語版として知られるこの5隻の船は、ロスキレヴァイキング船博物館英語版に保管されている。

クナールはアイスランド、グリーンランド、およびニューファンドランド島への植民に使われた可能性がある。北アメリカに渡った最初のヨーロッパ人が使ったのもおそらく同じタイプの帆船であろう。

現代のクナール (Knarr)

現代のクナールは、バミューダ帆装で長い竜骨のヨットである。1943年にノルウェーのエアリング・L・クリストファーセンによって設計された。伝統的に木造であり、船体を完成させた後に固定枠の上に上下をひっくり返して置き、鉄製の竜骨を取り付けられた。船腹の板材は端を凹凸溝にしておき、突き合わせて接着される。1973年以降はガラス繊維強化プラスチック(FRP)で造られている。ただし、木製のクナールと同じ重量分布になるように施されている。クナールの多くはノルウェー、デンマーク、およびアメリカ合衆国サンフランシスコで見ることができる。北ドイツには年代物のクナールがあり、歴史的なスカンジナビアの帆船番号クラシックスを付けている。1969年以来、毎年国際大会が開かれている。現在、クナールはドイツの造船会社により作られている。

仕様:

全長 9.28 m
喫水線長さ 6.21 m
全幅 2.12 m
喫水 1.30 m
乾舷 0.60 m
全重量 2,250 kg
竜骨重量 1,300 kg
帆の広さ(ジブ) 9.00 m2
帆の広さ(主帆) 17.60 m2

外部リンク


クナール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 07:25 UTC 版)

ヴァイキング船」の記事における「クナール」の解説

詳細は「クナール」を参照 クナールとは、大西洋航海のために作られた船を指すノルウェー語言葉である。クナールは貨物輸送目的とした船で、平均して長さ54フィート (16 m),幅15フィート (4.6 m), 最大122トンまで運ぶことができる。全体排水量50トン程度である。クナールは何世紀前に家畜必需品北大西洋からグリーンランドへと運んでいた。一日75マイル (121 km) 航海することが可能で、およそ20から30人船員乗せることができた。 クナールはゴクスタ船代表される比較小型ロングシップ(カーヴ英語版))よりも長く危険な航海使われた。それはゴクスタ船より短く丈夫なものであった。それは船自身の帆の力に頼っており、オールは開水域で風が全くないときに補助として使った。その船はコグ船というバルト海ハンザ同盟によって使われた船の様式にも影響与えた

※この「クナール」の解説は、「ヴァイキング船」の解説の一部です。
「クナール」を含む「ヴァイキング船」の記事については、「ヴァイキング船」の概要を参照ください。

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