エンジンの点火装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 20:51 UTC 版)
火花点火内燃機関においては点火装置を構成する部品のうち、イグニッションコイルへの一次電圧をトランジスタによって制御する電気回路部品を指す。ポイント(接点)式のディストリビューター(分配器)やマグネトーにおけるコンタクトブレーカーの断接機能をトランジスタを用いた電気回路に置き換えた物であり、イグニッションコイルをはじめとするシステムの基本原理はポイント式と同じである。ポイント式で課題とされていた機械的な電気接点の摩耗や焼損を排除、あるいは軽減することができる。トランジスタのコレクタ電流をイグニッションコイルの一次電流とし、トランジスタにベース電流を流すことで一次電圧がかかるが、ベース電流の断接をホール素子などを利用した機構で行い、機械的な電気接点を排したものをフル・トランジスタ式、ベース電流を機械的な電気接点で断接するものをセミ・トランジスタ式と言う。セミ・トランジスタ式ではコンタクトブレーカーと同様に接点同士が接触を繰り返すため摩耗は発生しうるが、接点を通過する電流が小さいため焼損は少なくなる。 自動車ではポイント式ディストリビューターからイグナイター式へと変遷したのち、ディストリビューターとプラグコードを必要としないダイレクトイグニッションへの移行が進んでいった。オートバイではポイント式マグネトーからイグナイター式へと変遷し、キャパシター・ディスチャージド・イグニッション(CDI)への移行が進んでいった。オートバイの場合、厳密にはトランジスタ式点火としてCDIとは区別されていて、CDIではイグニッションコイルの一次電圧をコンデンサーの蓄電圧で発生させる点が異なる。
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エンジンの点火装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 19:49 UTC 版)
マグネトーを用いた点火装置はマグネトー式点火装置あるいは磁気点火方式と呼ばれ、バッテリーを搭載しなくても点火プラグに電源を供給できるため、機器の重量を軽くすることができる。こうした利点から、草刈機やチェーンソーなど内燃機関を動力源とする可搬式の作業機械や、オフロードレース用のオートバイなどで広く用いられている。 マグネトーの内「シャトル式」と呼ばれるタイプは、2つの磁石に挟まれたコイルを回転させて発電を行う。「インダクタ式」のマグネトーの場合はシャトル式とは逆に、コイルは静止したままで磁石が回転することで発電を行う。いずれも今日でも用途に応じて使い分けられている。 マグネトーで発電された電力は点火コイルに送られて点火用の電気として使用される。この時エンジンが1回転すると、カムシャフトはコンタクトブレーカーを必ず1回以上断続するようになっている。コンタクトブレーカーの断続により、点火コイル内部の一次コイル(ソレノイド)の電流が断続され、ファラデーの電磁誘導の法則に従って二次コイル(高電圧コイル)内に電圧が誘起される。コンタクトブレーカーが開く時、コンタクトポイントにはアーク放電が発生するため、この放電を抑制するためにコンデンサが設置される。 二次コイルは一次コイルと同じ鉄芯を共有しながらも、より多くの巻数を持っており、変圧器として作用している。この一次コイルと二次コイルの巻数比は、電圧の増幅率に大きな影響を与える要素となる。巻数比が大きくなればなるほど、増幅量が大きくなる。 近代のマグネトー点火装置では電気的なロスの大きいコンタクトブレーカーに代わって、イグナイターを持つフルトランジスタ式ディストリビューターやCDI式の点火装置と組み合わされ、より効率と信頼性が増すようになった。 点火電圧を鉛電池からの供給に頼るバッテリー点火方式よりも信頼性が高いことから、航空用エンジンでも最も一般的に使用されている。
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