ウツクシマツの樹形と遺伝様式とは? わかりやすく解説

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ウツクシマツの樹形と遺伝様式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 07:54 UTC 版)

平松のウツクシマツ自生地」の記事における「ウツクシマツの樹形と遺伝様式」の解説

平松のウツクシマツ自生地 大津市 平松のウツクシマツ自生地位置 平松のウツクシマツ自生地滋賀県南部湖南市平松地区小高い丘陵地にある美松山(びしょうざん、標高227メートル)の南東側斜面にあり、標高180メートルから225メートルにかけた山腹斜面の約1.89ヘクタールが国の天然記念物指定されている。この場所はJR草津線甲西駅南方東西方向に走る旧東海道から南西側美松山方面へ1キロメートルほど登った、丘陵地造成し新興住宅地隣接した位置にある。 ウツクシマツアカマツ変種で、型や樹皮通常のアカマツとほぼ同じであるが、根元に近い位置から複数本に分かれた幹が上方高く伸び上部樹冠全体が傘を広げたように見える珍しい樹形をしている。高さは約7 - 10メートル幹囲2.5 - 2.8メートルほどのものが大半占めており、中には樹高15メートル達す個体もある。なお、樹形類似するもの多行松タギョウショウ)があるが、これは接ぎ木による園芸品種であり、新宿御苑兼六園などの公園庭園植樹されているが、樹高高く成長するウツクシマツ異なり、高さは5メートル未満低木がほとんどである。 平松ウツクシマツ樹形には、いくつかのバリエーションがあり、湖南市教育委員会作成した現地解説によれば扇型上方山形根元から約1.5 - 2メートル付近複数の幹に分岐し扇状になり、樹冠上部山形になっているもの。 扇形上方やや円形1.同型樹冠上部丸みがかったもの。 傘型 地表付近から幹が多数分岐し樹冠が傘状に広がったもの。 ホウキ型 幹の分岐は3.と同じであるが、樹冠広がりが狭いため全体的に箒状に見えるもの。 以上の4タイプ分類されている。 このような樹形になる要因長らく不明で、当地土質砂礫混ざった赤土で、一部には岩盤露出するような層の浅い土壌影響など考えられてきたが、確定的なものは無いままであった。 滋賀県庁出先機関である滋賀県森林センターでは、平松ウツクシマツ遺伝様式解明するため1973年昭和48年)より研究開始した。 まず最初に自生するウツクシマツから採種して育てた複数実生木(第1世代、F1、雑種第一代)は、普通のアカマツウツクシマツ2種類分かれた。これらを用いて人工交配行い第2世代(F2)以降交配検証重ねた結果第2世代以降個体には、普通のアカマツのもつ「主幹1本だけを伸ばす機能」が崩れた遺伝子含まれており、独特の樹形をもつ要因劣性遺伝よるものであることが判明した人工交配試験 1親ウツクシマツウツクシマツ子ウツクシマツ100%人工交配試験 2親ウツクシマツアカマツ子アカマツ型F1(100%人工交配試験 3親アカマツ型F1アカマツ型F1子ウツクシマツ25%アカマツ型F2(75%) 人工交配試験 4親アカマツ型F1ウツクシマツウツクシマツ50%アカマツ型F2(50%) 以上の結果ウツクシマツ同士交配すると、その子100%ウツクシマツウツクシマツと普通のアカマツ交配すると、その子100%アカマツ (F1)。 アカマツ型F1同士交配すると、その孫は25%ウツクシマツ75%がアカマツ 。 これらの事実2002年平成14年)に突き止められウツクシマツ樹形メンデルの法則にしたがって劣性遺伝することが証明された。 マツ数十年かけ成長するため、第1世代第2世代と続く交配研究には数十単位長期間が必要であり、ウツクシマツ全てがその形状に育つのではなく、その見極めには7年ほどかかるため、滋賀県森林センター1973年調査開始から30年弱をかけて解明したことになったウツクシマツ遺伝様式劣性遺伝であったことは、後述する松くい虫対す抵抗性高め研究有用な知見となった

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