アウトドアに用いる調理用ストーブ(ポータブルストーブ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:47 UTC 版)
「ストーブ」の記事における「アウトドアに用いる調理用ストーブ(ポータブルストーブ)」の解説
詳細は「ポータブルストーブ」を参照 アウトドアに用いる調理用ストーブは、燃料によってナフサを主成分とするホワイトガソリンなどの液体燃料式とガス式に分かれる。 ホワイトガソリンを燃料とする液体燃料式は、軍需品としてスウェーデンのオプティマスやアメリカ合衆国のコールマンが軍に納入したストーブが発祥である。このようなストーブはタンクを手動ポンプで加圧して燃料を気化器へ送り込み、バーナー自体の熱で燃料を気化させながら燃焼が継続される。点火の際はアルコールなどの着火剤を用いるか、燃料を少量燃焼して気化器を事前加熱し、気化が開始されたことを気化器から発する噴射音の開始で確認してからバーナーへ着火を行う。ホワイトガソリンのほかに、燃料として赤ガスと俗称される一般のガソリンや灯油を兼用できる製品も存在する。 液体燃料式は気化器を充分に加熱しなければ燃料の気化が行なえず、液体燃料が周囲に飛散したり火柱が上がるなどして火災にいたる危険性もあり、プレヒートに失敗したガソリンストーブによるテント火災事故も多く、点火作業は手順の熟知とある程度の経験を要す。燃料を用いたプレヒートは、気化状態までに大きな炎と煤煙がバーナー部分から立ち上ることから山小屋やテント内など屋内の着火作業に難があり、プレヒートが不要で取り扱いが容易なガスカートリッジ式のストーブが普及すると液体燃料式はアウトドア用ストーブの主流から外れた。しかし機構が単純なためにある程度の知識を有すれば分解整備を行うことで同一ストーブを長期間使用でき、厳冬期の冬山などでも安定した火力を発生し、タンク加圧やプレヒートなどの点火工程やジェットエンジンにも似た激しい燃焼音などに魅力があり、液体燃料式のみを愛用し続ける者も多い。 ガスカートリッジ式のストーブはプレヒートが不要で燃焼音が穏やかなこと、燃料交換がボンベの取り替えのみで済む簡便さから、初心者から熟練の登山者まで幅広く利用されている。しかし液体燃料式に比べランニングコストが高いことや使い捨てボンベのゴミ問題、蒸発熱でボンベが冷えることで特に極寒冷地で液化しているガスの気化がうまく行えないこともあることが欠点である。 液体燃料式のストーブは多くの場合、五徳の上若しくはバーナー部分に取り付ける遠赤外線による放射熱を利用したヒーターユニットがオプションで用意されており、これを利用することで暖房器具としても利用可能である。ガスカートリッジ式の場合はヒーターによる放射熱でカートリッジが過熱されて破裂の恐れがあるため、液体燃料式・ガスカートリッジ式の両方をラインナップするメーカーであってもヒーターユニットに関してはガスカートリッジ式ストーブに使用しない旨但し書きがされていることが多い。この点も液体燃料式を愛用する者が多い理由の一つとなっている。 Coleman stove プリムス製(後にオプティマスに吸収)灯油ストーブ。ポータブルストーブの元祖であり、世界中で無数の類似品が製造された マウンテンセーフティーリサーチ製ガソリンストーブ。別体タンク式の代表例 イワタニ・プリムス製ガスカートリッジ式ストーブ マウンテンセーフティーリサーチ液体燃料ストーブのプレヒート アルコールストーブ アルコールを燃料とするストーブで、構造は単純である。軍需品としても使用されたトランギア製のものが有名であるが、各社の製品もあり自作する者もいる。固形燃料ストーブのように軽量かつコンパクトであるため、登山者の中にこのストーブを持ち歩く者も多い。 軍需品としての調理用ストーブ 各国の軍隊で用いられるストーブは前述の液体燃料式のストーブや固形燃料を使用する簡易なストーブが利用されており、戦闘糧食の付属品として供給されることも多い。部隊の備品として配属されるストーブは今日[いつ?]ではガスカートリッジ式のものも普及しており、液体燃料式は次第に少数派となってきている。
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