わいせつをめぐる最高裁判例の推移
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「わいせつ物頒布等の罪」の記事における「わいせつをめぐる最高裁判例の推移」の解説
チャタレー事件、最高裁大法廷判決、1957年(昭和32年)3月13日、刑集11巻3号997頁「わいせつ文書」に当たるかどうかは、法解釈の問題であり、その判断は裁判官に委ねられている わいせつ三要件通常人の羞恥心を害すること 性欲の興奮、刺激を来すこと 善良な性的道義観念に反すること 悪徳の栄え事件、最高裁大法廷判決、1969年(昭和44年)10月15日、刑集23巻10号1239頁芸術的・思想的価値のある文書でもわいせつの文書として取り扱うことは免れない 四畳半襖の下張事件、最高裁第二小法廷判決、1980年(昭和55年)11月18日、刑集34巻6号432頁わいせつ性の判断に当たっては、文書全体としてみたとき、読者の好色的興味に訴えるものであるかどうか否かなどの諸点を検討することが必要で、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、チャタレー事件で示したわいせつ三要件に該当するといえるかどうか判断すべきである。 本判決で、全体的考察という手法を取り入れるとともに、「その時代の」社会通念に照らして判断することを要求することにより、わいせつ概念の無制限な拡大防止を図ったものとされている。 松文館事件、最高裁判所第一小法廷、2007年(平成19年)6月14日、平成17年(あ)1508号チャタレー事件の最高裁判決等を判例として、憲法における表現の自由の侵犯には当たらないと判断、上告不受理を決定。これにより、二審判決の漫画もわいせつ物に当たるという判断を支持し、二審判決が確定した。 メイプルソープ事件、最高裁判所第三小法廷、2008年(平成20年)2月19日、平成15年(行ツ)157号アメリカ合衆国の写真家、ロバート・メイプルソープの写真集の内容に男性器が写っていた事から、東京税関成田税関支署にて「わいせつ図画」と認定された判断を、取り消す訴えを起こした行政訴訟。 我が国において既に頒布され、販売されているわいせつ表現物を税関検査による輸入規制の対象とすることは、日本国憲法第21条1項に違反しない。 写真芸術家の主要な作品を収録した写真集が関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍、図画」等に該当しないとされた事例。
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わいせつをめぐる最高裁判例の推移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:30 UTC 版)
「公然わいせつ罪」の記事における「わいせつをめぐる最高裁判例の推移」の解説
チャタレー事件、最高裁大法廷判決、1957年(昭和32年)3月13日、刑集11巻3号997頁「わいせつ文書」に当たるかどうかは、法解釈の問題であり、その判断は裁判官に委ねられている わいせつ三要件通常人の羞恥心を害すること 性欲の興奮、刺激を来すこと 善良な性的道義観念に反すること 悪徳の栄え事件、最高裁大法廷判決、1969年(昭和44年)10月15日、刑集23巻10号1239頁芸術的・思想的価値のある文書でもわいせつの文書として取り扱うことは免れない 四畳半襖の下張事件、最高裁第二小法廷判決、1980年(昭和55年)11月18日、刑集34巻6号432頁わいせつ性の判断に当たっては、文書全体としてみたとき、読者の好色的興味に訴えるものであるかどうか否かなどの諸点を検討することが必要で、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、チャタレー事件で示したわいせつ三要件に該当するといえるかどうか判断すべきである。 本判決で、全体的考察という手法を取り入れるとともに、「その時代の」社会通念に照らして判断することを要求することにより、わいせつ概念の無制限な拡大防止を図ったものとされている。 松文館事件、最高裁判所第一小法廷、2007年(平成19年)6月14日、平成17年(あ)1508号チャタレー事件の最高裁判決等を判例として、憲法における表現の自由の侵犯には当たらないと判断、上告不受理を決定。これにより、二審判決の漫画もわいせつ物に当たるという判断を支持し、二審判決が確定した。 メイプルソープ事件、最高裁判所第三小法廷、2008年(平成20年)2月19日、平成15年(行ツ)157号アメリカ合衆国の写真家、ロバート・メイプルソープの写真集の内容に男性器が写っていた事から、東京税関成田税関支署にて「わいせつ図画」と認定された判断を、取り消す訴えを起こした行政訴訟。 我が国において既に頒布され、販売されているわいせつ表現物を税関検査による輸入規制の対象とすることは、日本国憲法第21条1項に違反しない。 写真芸術家の主要な作品を収録した写真集が関税定率法(平成17年法律第22号による改正前のもの)21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍、図画」等に該当しないとされた事例。
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