ごうせいかいこうれーだーとは? わかりやすく解説

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ごうせいかいこう‐レーダー〔ガフセイカイコウ‐〕【合成開口レーダー】

読み方:ごうせいかいこうれーだー

地表観測装置一種アンテナ搭載した人工衛星航空機動きによって得られ多数画像開口合成法用いて合成し、高い分解能画像を得る。SARsynthetic aperture radar)。


【合成開口レーダー】(ごうせいかいこうれーだー)

Synthetic Aperture Radar(SAR).
電磁波マイクロ波)を利用し高解像度地形イメージ作り出すレーダー
可視光赤外線画像比べ天候左右されない利点を持つ。

一般にレーダー解像度大きく影響する指向性ビーム幅)」は、「λ/D(λ:波長 D:アンテナ直径)」で表される
アンテナ大きければ大きいほど、波長短ければ短い(周波数高)ほど、高解像度得られることになる。
すなわち同じアンテナであれば、超高周波数の光(≒0.5μm)に比べてミリ波(≒8.5mm)は解像度低くレーダー用いられるマイクロ波(≒10cm以上)はさらに低いことになる。
動物の眼という小型受信機でも、大型レーダー越え解像度得られるのはこのためである。

マイクロ波可視光同等解像度を得るためには、理論上アンテナ径を10万以上になければならないが、これはもちろん不可能である。
しかし、可視光カメラ用いると、今度高周波数なために大気中では減衰大きく探知距離が落ちてしまう問題がある。
そこで、マイクロ波用いて複数アンテナないしは自機の移動使って見かけ上のアンテナ径を上げ技術が合成開口レーダーである。

原理

自機の移動利用する、合成開口レーダーの原理について説明する

原理は、フェイズドアレイレーダーによく似ている
フェイズドアレイレーダーにおける各素子代わりに自機移動してポイント(最低でも"波長/2=標本化定理")ごとにレーダー波を送受信その結果記録する
フェイズドアレイレーダーにおける「アンテナ径」は、端から端までの素子の距離であったので、理論上自機移動する限り見かけとてつもなく巨大なアンテナ作ることが出来のである

しかし、実際にフェイズドアレイレーダー比べて難し技術である。
フェイズドアレイレーダーでは各素子受信同時になり、位相変換素子用いて簡単に位相重ねあわせを行うことが出来る。
しかしながら合成開口レーダーでは、受信時間的なズレがあるため、コンピュータによる処理を行わなければならない
コンピュータ上で高周波数のマイクロ波受信結果正確に記録し位相重ねあわせを行うには非常に多くの処理量(膨大な数のフーリエ変換等)を要する
そのため、十分な性能を持つコンピュータ登場するまで実現不可能な技術であったし、現在でも高性能コンピュータを必要となる(場合によっては多少解像度落としてでも処理量を減らすことがある)。

欠点としては、広範囲レーダー波を照射して必要なデータのみを浮かび上がらせる方法であるため、一点集中するより雑音拾いやすいこと、予め地上高データ必要になること、自機精度良い航法装置を必要とすること、真下死角となることなどがある。
電波干渉用いるため"Interferometric Synthetic Aperture Radar干渉合成開口レーダ(InSAR)"とも呼ばれる

実用例

移動する物体搭載される例としては、観測機人工衛星攻撃機偵察機があり、測量観測偵察攻撃機ターゲティング用いられる地表の状態を数十cm~数m単位で知ることが出来る。
また、地上にある巨大な電波望遠鏡複数組み合わせて(フェイズドアレイの素子に対応)、見かけ上更に巨大な電波望遠鏡作り出し深宇宙を探る用途にも用いられる
国立天文台・野辺山宇宙電波観測所では、直径45メートル高精度電波望遠鏡と、直径10メートルパラボラアンテナ5基を最長600m程度範囲配置し信号開口合成して直径600m相当の解像度達成している。

参考リンク:http://homepage3.nifty.com/murasakigawa/tech/sar/ (合成開口レーダー)



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