くつろぎ_(札幌鉄道管理局)とは? わかりやすく解説

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くつろぎ (札幌鉄道管理局)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/29 13:18 UTC 版)

国鉄キハ56系気動車 > くつろぎ (札幌鉄道管理局)
国鉄キハ40系気動車 (2代) > くつろぎ (札幌鉄道管理局)
国鉄キハ183系気動車 > くつろぎ (札幌鉄道管理局)

くつろぎは、日本国有鉄道(国鉄)・北海道旅客鉄道1973年以降に保有している鉄道車両気動車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。

概要

1973年にキハ27形気動車から3両が改造された車両に端を発する。北海道地区の列車運転上、特急を除く全ての列車と連結を可能にするとともに、少人数での需要にも応じられることなどの理由で、気動車方式となったものである。

1984年にはキハ56形気動車から2両が改造された。その後、老朽化に伴い、キハ56系気動車からの改造車は1997年から1999年までに順次廃車となり、代わりとしてキハ400形気動車キハ183系気動車から各3両が改造されている。

本項では、国鉄北海道総局・JR北海道のお座敷車両の歴史も踏まえて、時系列順に各車両形式について記述する。

車両

キロ29形0番台

登場当時の塗装デザイン(キロ29形)

1973年に改造された、国鉄では初めての和式気動車である[1]。いずれの車両もキハ27形気動車より改造されており、形式はキロ29形である。改造は1が旭川工場、2が苗穂工場、3が五稜郭工場である。

  • キロ29 1(旧キハ27 122)「支笏」- 定員44人
  • キロ29 2(旧キハ27 123)「摩周」- 定員44人
  • キロ29 3(旧キハ27 124)「サロマ」- 定員44人

客室は固定されたが18畳、跳ね上げ式の畳が10畳となっている。天井は客車よりも25cm低いことから舟底天井の形状でアルミ化粧板仕上げとした。客室には欄間があり、3分割することもできる。サービス機器は当初はマイク設備のみで、空調装置は作り付けの機器ではなく、家庭用の座敷用扇風機を使用する。物置の設置のため、乗務員室助士席直後の客用扉を閉鎖した。

外部塗装デザインは、クリーム4号をベースカラーとし、赤11号の帯を窓周りに入れる「気動車急行色」である。

キロ59形0番台

キロ29(1986年8月頃、臨時急行「天売」に併結)
 
「くつろぎ」登場後の塗装デザイン(キロ29形)
分割民営化後の塗装デザイン(キロ29形)

キロ29形の増備車として、1984年に登場した。2両ともキハ56形気動車より改造されており、形式はキロ59形である。

  • キロ59 1(旧キハ56 134)「大沼」- 定員44人
  • キロ59 2(旧キハ56 135)「洞爺」- 定員44人

客室は固定された畳が18畳、跳ね上げ式の畳が10畳となっており、基本的にはキロ29形と同様である。天井は舟底天井ではなく原形車両のままで、木目化粧板仕上げとした。空調装置はラインフロー式換気装置(ラインデリア)を設置したが、冷房装置は設置されていない。物置の設置に際しては、キロ29形とは逆に乗務員室運転席直後の客用扉を閉鎖した。

外部塗装デザインは、クリーム1号をベースカラーとし、赤2号の帯をストライプ状に入れた。正面の帯はV字型となった。キロ59形の登場により、キロ29形も同様の塗装デザインに変更され、同時に各車両に愛称がつけられた。

国鉄分割民営化後も非冷房であったが、車体色はコーポレートカラー萌黄色を使用したものに変更された。

キハ56形550番台

キハ56 552(1991年頃)
 
「ミッドナイト」と同様の塗装デザイン(キロ29形) 窓上の帯の色が異なる

1990年に登場した。2両ともキハ56形気動車より改造されており、形式はキハ56形のままであるが、550番台に改番された。快速ミッドナイト」用のカーペットカーとほぼ同一仕様で、2両とも普通車扱いとなった。

  • キハ56 551(旧キハ56 124)
  • キハ56 552(旧キハ56 145)

この頃に、キロ29形・キロ59形とも、快速「ミッドナイト」と同様の車体色に変更されており、多客時にはカーペットカーの増結車として使用されることもあった。同時に各車両とも機関直結式冷房装置独立機関式冷房装置の搭載により冷房化された。

1997年にはキロ29 2・3とキロ59 2は廃車となり、キロ29 2とキロ59 2については同年の苗穂工場におけるイベント「車両解体教室」で使用された[2]

キハ400形500番台

キハ400-502「くつろぎ」
 
キハ400-502・車内

キロ29形・キロ59形により運用されていた和式気動車が、車両の老朽化や客室設備の陳腐化が目立ってきたため、車両改善への対応を行なうことになり、1997年末から1998年初頭にかけて登場した。3両ともキハ400形気動車から改造されており、形式はキハ400形のままであるが、500番台に改番された。全車両とも普通車扱いである。

  • キハ400-501(旧キハ400-141)- 定員32人
  • キハ400-502(旧キハ400-142)- 定員32人
  • キハ400-503(旧キハ400-149)- 定員32人

外部塗装デザインは、窓より上を濃いグレー、窓から下を赤とした上で、客室部分の窓周りをライトグレーとしているが、これは掘り炬燵をイメージしたものである。また、機器室の部分には、室内の仕切り壁を図案化したマークを入れた。

客室内は深さ300mmの掘り炬燵構造となり、座椅子を使用することで、正座やあぐらではなく、通常の椅子に座るのと同様にくつろげるようにした。室内は全てカーペット敷きとなり、テーブルの収納を行なうことで、床面全体をフラットなカーペット敷きにもできるようにした。通路側は跳ね上げ式の床板とした。また、通路と反対側の窓下には蓋つきの荷物収納スペースが設けられた。壁面は土壁調の化粧板仕上げで、前後の仕切り壁は深い赤色としている。また、窓のロールカーテンは暖簾模様とした。

サービス機器として、カラオケ機器・衛星放送に対応したビデオ装置・電子レンジ冷蔵庫電気ポットを搭載した。また、トイレは真空式に改造された。

キハ400形500番台の導入後、キハ56 551・552も同一の塗装デザインに変更された。

キハ400-502,503は2015年3月に廃車となり、5月中〜下旬に苗穂工場で解体された。

キハ183系6000番台

車両正面(2008年10月)
車内(2008年12月)

キハ400形の登場によりサービス向上が図られた和式気動車であるが、最高速度は時速95kmのままであり、ダイヤ構成上のネックとなっていた。この問題を解決するために1999年に登場した車両である。3両ともキハ183系気動車から改造されており、6000番台に改番された。全車両とも普通車扱いである。

  • キハ183-6001(旧キハ183-507)- 定員46人
  • キハ182-6001(旧キハ182-514)- 定員56人
  • キハ183-6101(旧キハ183-1557)- 定員46人

外装デザインはキハ400形500番台と同様のデザインとなった。最高時速130km走行に対応しており、キハ183系4550番台と同様に時速120km対応車両との切り替えスイッチを設置しており、全てのキハ183系との連結が可能である。これを生かし、北斗などの定期列車にも組み込まれることがある(この場合、普通車指定席扱いとなる)。

本車両の登場により、キロ29 1・キロ59 1は廃車となり、キハ56形550番台も2001年までに廃車となった。

2015年3月31日付でキハ182-6001が廃車となっている[3]

:キハ183-6101(2009年9月 札幌運転所
:キハ182-6001(2009年9月 札幌運転所)

脚注

  1. ^ 福井敦美「お座敷気動車の内部」『鉄道工場』 24巻、5号、1973年5月、29-31頁。doi:10.11501/2360247https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2360247/16 
  2. ^ 交友社鉄道ファン』1997年11月号 通巻439号 p.130
  3. ^ 交友社鉄道ファン』 2015年7月号「JR旅客会社の車両配置表」

関連項目

参考文献


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