おぼこい

実用日本語表現辞典

おぼこい

別表記：未通女い、童女い

「おぼこい」とは、幼いことやあどけないことを意味する表現である。

「おぼこい」とは・「おぼこい」の意味

「おぼこい」には、「異性知らずで無垢な女性」という意味もあることから、漢字では「未通女い」や「童女い」と書く。しかしこれは当て字であり、ひらがなで「おぼこい」と表記するのが一般的だ。「おぼこい」の語源には2つの説がある。一つ目は、出世魚が由来という説だ。出世魚にはイワシやボラ、ブリなどがあるが、その内ボラの稚魚は「おぼこ」と呼ばれている。ボラの稚魚は体長10センチ程度で小さい。この「ボラの稚魚」という意味の名詞「おぼこ」が、形容詞となり「おぼこい」になったと言われている。

もう一つ、「おぼこい」は「産子」が語源だという説もある。「産子」は「うぶこ」と読み、「生まれたばかりの子ども」という意味だ。この「産子」が変化し「おぼこ」となり、「おぼこい」になったと言われている。「おぼこい」はもともと、関西弁や大阪弁、名古屋弁として使われる方言であった。しかし現在は幅広い地域で使われるようになったため、どこの方言かという問いに対する明確な答えはない。ほとんど標準語として考えていいだろう。「おぼこい」は年代や性別などを問わず老若男女に対して、初々しいやあどけない、幼い、可愛らしいという意味で使用できる言葉だ。

外見だけでなく、考え方や言動などにも使われる。他にも「おぼこい服」や「おぼこい髪型」「おぼこい猫」など、人以外にも使用する場合がある。しかし、「おぼこい」は「年齢の割に」という意味合いも含むため、褒め言葉としてだけでなく悪口や嫌みとしても使われるので注意が必要だ。特に子どもや若者以外に「おぼこい」と言うと、嫌みになる場合が多い。いい意味の「おぼこい」は、「すれていない」「世の中の悪いものに染まっていない」「素直」といった意味合いを含んでいる。「子どものように純粋で可愛らしい」という意味にもなる。

例えば「あなたはおぼこいから相手を信じることができる」という使い方は、褒め言葉と捉えて問題ないだろう。一方悪口としての「おぼこい」には、「世間知らず」や「考えが浅い」といった意味合いが含まれる。例えば「彼女の話を聞くとまだまだおぼこいと感じる」といった使い方をすれば、悪口になる可能性が高い。他にも「まだまだあなたはおぼこい」といったように、 褒め言葉なのか悪口なのか判断が難しい使い方もある。しかし、「おぼこい」はいい意味で使われる場合が多いため、基本的には褒め言葉として考えるのが無難だ。

「おぼこい」の熟語・言い回し

おぼこい女性とは

「おぼこい女性」とは、あどけなさのある女性に対して使う言い回しである。童顔で実年齢よりも若く見える場合など、外見に対しても使われるが、基本的には内面に対して使われる。例えば感情表現豊かで、子どものように無邪気な女性は「おぼこい女性」だろう。愛嬌があり好奇心旺盛な天真爛漫と言われるような女性も「おぼこい女性」に当てはまる。これらは褒め言葉だが、嫌みや悪口として使われる場合もある。例えば自己中心的でわがままな女性に対して、「おぼこい女性」と使うことは多い。

おぼこい顔とは

「おぼこい顔」とは、実年齢よりも若く見える幼い顔をした人に対して使われる言い回しだ。「童顔」と言い換えることもできる。女性だけでなく、男性にも使われる。「おぼこい顔」には、丸くて大きな目、顔の輪郭が丸い、目や鼻などのパーツが小さいといった特徴がある。パーツが顔の下に寄っている場合も、「おぼこい顔」になりやすい。「おぼこい顔」は可愛らしい、純粋、優しいといった好印象な顔だ。褒め言葉として使用できるが、相手は「おぼこい顔」をコンプレックスに感じている場合もあるため、使い方には注意が必要である。

（2023年2月6日更新）

名古屋弁辞典

おぼこい

名古屋弁	共通語	用法
おぼこい	初な・子供っぽい	まんだまんだ　おぼこいなあ （まだまだ　子供っぽいですね）

四日市市四郷地区方言

おぼこい

方言	共通語・該当漢字	語意解説または【使用例】
おぼこい	幼おさない	世間せけんずれしていない、＜おぼこ＞の形容詞けいようし化か

大阪弁

おぼこい

大阪弁	訳語	解説
おぼこい	幼い、子供っぽい	「おぼこ」は「うぶこ（産子）」の転で、処女の意味。未成熟な女の子。おぼこい顔、あの子おぼこいなぁ。首里で「あてぃってーんそーる」という。