『空飛ぶ円盤は実在する』
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「ドナルド・キーホー」の記事における「『空飛ぶ円盤は実在する』」の解説
ケネス・アーノルド事件が世間に知られるようになった1947年の夏、いわゆる「空飛ぶ円盤(flying disks / flying saucers)」に関する興味が大々的に盛り上がり、最初は懐疑的であったキーホーもこの主題に惹かれていくようになった。 男性向け人気雑誌『トゥルー(True)』誌は、この問題に関して“当局”に対する問い合わせを何度も行っていた。 1949年5月、キーホーは『トゥルー』誌の編集長ケン・パーディー(Ken Purdy)から、空飛ぶ円盤と政府の陰謀について、軍とペンタゴンにいる多くの友人・知人から得たという情報をキーホーに提供して記事の依頼を受ける。 それによって空飛ぶ円盤の実在をさらに強めたキーホーは、様々な“当局”に空飛ぶ円盤についての質問を行ったが、彼らは「お渡しできる資料はなにもない」として空飛ぶ円盤に関連した文書への接触、接近を認めなかった。こうした当局の反応からキーホーは、「空飛ぶ円盤は、その形状、飛行特性、速度、発光などから見て、高度な知性と地球上のどの国家にもなしとげることが出来ないテクノロジーの産物であり、合衆国政府はそれに関するあらゆる情報を隠蔽しようとしている」との結論に達した。 キーホーの記事「空飛ぶ円盤は実在する(Flying Saucers Are Real)」は、1949年12月26日に発売された『トゥルー』誌1950年1月号に掲載され、一大センセーションを引き起こす。また1950年に出版されたペーパーバック版『空飛ぶ円盤は実在する(The Flying Saucers are Real)』は当時としては破格の50万部を売り上げる大ヒットとなった。 これによってキーホーはUFO研究者として有名になり、「空軍は空飛ぶ円盤は地球外生命体の乗る宇宙船であることを知りながら、大衆がパニックを起こすことを恐れてその事実を隠蔽している」「アメリカ政府はUFOについて適切な研究を実施すべきであり、全てのUFO事件についての調査ファイルを公表しなければならない」「異星人たちは友好的(少なくとも敵対的ではなく)で、200年以上にわたって地球を観察し続けてきた」などと主張。いわゆる「空飛ぶ円盤=宇宙人の乗り物」説や「空軍とアメリカ政府はUFOに関する秘密を隠している」といった陰謀論的UFO観を一般に広める大きな役割を果たした。 『空飛ぶ円盤は実在する』(The Flying Saucers are Real 、1950) 『外宇宙からの空飛ぶ円盤』(Flying Saucers From Outer Space、1953) 『空飛ぶ円盤の陰謀』(1955) 1953年の『外宇宙からの空飛ぶ円盤(Flying Saucers From Outer Space)』はおそらく最も印象的な本であり、主にインタビューと空軍の公式レポートに基づいている。この本にはペンタゴンの空軍報道官アルバート・M・チョップ(Albert M. Chop)による紹介文が掲載されていた。チョップはキーホーを「信頼性があり、正確な報告者」としており、この紹介文によって「UFOは宇宙人の乗り物である」というキーホーの仮説に対してあたかも公的な認可が与えられているかのような印象を強めている。 1955年の著書『空飛ぶ円盤の陰謀』では、エドワード・J・ルッペルト空軍大尉(Edward J. Ruppelt、プロジェクト・ブルーブックの初代機関長)が「空軍には、隠し事は一切ない」こと、また「The problem was tackled with organized confusion」と宣言している。
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