『スウィート・ドリームズ 』とは? わかりやすく解説

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『スウィート・ドリームズ 』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 15:32 UTC 版)

ダニエル・デネット」の記事における「『スウィート・ドリームズ 』」の解説

本書90年代後半から2003年までに書かれデネット論文・講演編纂し一冊にまとめたもので、心の科学と哲学対す『解明される意識』以来デネット主張を見渡すことができるようになっているゾンビ的直感(the Zombic Hunch) デイヴィッド・チャーマーズはじめとする心の哲学たずさわる者たちの間で広く行われてきた哲学的ゾンビ思考実験に対してデネット一貫してそれを無意味なものだとしている。哲学的ゾンビとは、定義によれば第三者にとっては意識をもつ普通の人間行動的に区別することが出来ないにもかかわらず意識クオリア持たないものだとされている。しかし、ヘテロ現象学掲げデネットにとっては、行動的客観的アプローチによって接近できない主観性といったものは意味を持たない。それでも哲学的ゾンビ論理的な存在可能性をもっているとする哲学者らの姿勢をさして、デネットゾンビ的直感名づけのであるクオリア再批判 デネットが、それの持ち主である第一者によってのみ接近可能だとされるクオリアを心の科学において不必要なものだとする根拠は、認知科学者らによって行われた次のような実験の結果によっている。以下その概要を記す。 被験者らに2枚写真を、それぞれきわめて短い時間0.25秒〉、繰り返し見せる。それらは台所写したもので、ただ一箇所の色の違いキャビネットの扉が白から茶色に変わる)をのぞいては全く同じものである被験者は普通2030秒数十回の反復を経なければ2枚写真差異に気づけない。そこでデネット問いかける。その2030秒のあいだ、被験者の色のクオリアは、彼らが白//白/という色の変化気づく前に変化していたのだろうか可能な回答次のうになる。(p.85) A.イエス B.ノー C.わからない なぜなら今となって自分クオリアという言葉何を意味していたか分からなくなってしまったから 自分クオリアという言葉何を意味してきたかは分かっているが、この実験場合では私自身クオリア第一人者的にアクセスできなかったから。(もちろん第三者にとってもこのクオリア接近することは不可能だ!) いずれの回答においても、第一者の主観性(the first-person subjectivity)の下にクオリア位置づける前提失われており、それゆえヘテロ現象学クオリア扱えないと考える必要もないのだとデネットは言う。 「マリーの部屋」批判 色のない環境育った色彩科学者マリーについての、1982年論文 "Epiphenomenal Qualia"でフランク・ジャクソン提唱した思考実験に対しては、『解明される意識』以来デネット批判的であったデネットにとって、マリーの部屋哲学者たちを誤った結論マリーがどれだけ色彩について知りえたとしても、実際に色を見るまでは「色を見るとはどのようなことか」を知ることはできない)に導く悪い思考実験のであるデネット従えば色彩について知りうるすべてのデータ知っている科学者マリーが、色を見るのはどのようなことかを、実際に色を見て経験する前に知ることは十分可能なのである。この結論をさらに強固にするためにデネットは、マリーロボット(ロボマリー)に置きかえてみることを提案する。ロボマリーは、色彩について知りうるデータをすべて持ってはいるものの、彼女の目であるカメラ白黒である。このロボマリーが、カラーカメラ取り付けられる前に自前データ駆使して「色を見るとはどのようなことか」を推論し経験することは可能だろうデネットは言う。 意識の「評判」(fame)モデル この著作では、意識多元的草稿モデル(パンデモニアム・モデル)に対して意識評判モデルという新たなイメージ追加されている。人間意識は、多数ニューロン自己主張する錯綜した関係の中から生み出されるのであるが、この混乱した状況の中から、特定の内容人間意識範囲内現れ出るプロセスを、デネット社会の中で特定の人物事件評判(fame)となって人々の目に付くようになるプロセスなぞらえているのである実際社会において、そのように評判となった事柄は、他の事件評判によって速やかに忘れられていくが、それと同様に意識中に現れ出た内容も、他の多数ニューロン自己主張する喧騒の中で、つねに忘却への淵に瀕している。以上のように、特定の内容意識注意を引こうとしてせめぎ合う状況を、デネットは「注意引ったくり」(attention-grabbing)と名づけている。

※この「『スウィート・ドリームズ 』」の解説は、「ダニエル・デネット」の解説の一部です。
「『スウィート・ドリームズ 』」を含む「ダニエル・デネット」の記事については、「ダニエル・デネット」の概要を参照ください。

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