ひったくり
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 14:27 UTC 版)

ひったくり(引っ手繰り、引ったくり)は、物を持ち歩いている歩行者や、前カゴに荷物を入れている自転車に近づき、すれ違ったり追い抜いたりする瞬間にその物を奪って(ひったくって)逃げる行為である[1][2][3]。窃盗の一種。
手法
オートバイ・自転車・徒歩で後ろから近づき、手に持っていたり、自転車の前カゴに入れていたりするバッグを奪って逃走する行為が多い[1][2][3][4][5][6]。また、歩きながらスマートフォンを操作している人がスマートフォンをひったくられる例もある[7]。
被害者の多くが女性である[1][8][3][5]。女性は現金・カード類の入った財布や貴重品などをバッグに入れて行動することが多いためであるといわれている[9]。発生時間帯としては、夕方から深夜が多い[1][2][4][5]。
処罰
日本では窃盗罪が適用されるが、被害者がはずみで転倒したり、抵抗したりするなどで死傷した場合は、強盗致死傷罪が適用される[8][10][11][12]。
対策
- バッグを車道と反対側に持つ。
- ショルダーバッグをたすき掛けにする。
- リュックサックを使用する。
- 防犯ブザーを携行する。
- 自転車の前カゴにひったくり防止カバーやネットをかぶせる。
- 車両が左側通行の国・地域に於いては道路の右側を歩く(対面交通)。
日本の状況
発生件数
日本のひったくりの認知件数は、2002年の5万2919件をピークに減少、2019年には1553件(うち秋田県、富山県、鳥取県、島根県では発生件数がゼロ)を記録した。一時は、全国一の発生件数から「名物」とまで言われた大阪府のひったくりも激減しており、2000年の1万973件から2019年には254件となった[15]。
労災保険
女性労働者が午後8時30分頃駅を降りたのち大都市周辺の暗いほうれん草畑の周辺で自動車によるひったくりに遭い、ハンドバッグ、革袋を奪い取られ負傷した事件では、「大都市周辺の寂しいところに住居を有し、かつ午後8時30分頃という時間に退勤する場合、その途上で「ひったくり」にあうことは、一般に発生しうる危険である。また、『ひったくり』の場合に、自動車による接触、転倒負傷することも一般にあり得ること。すなわち、通勤に通常伴う危険が具体化したものと認められる」として、通勤災害による労災保険の適用が認められた(昭和49年3月4日 基収69号)。
出典
- ^ a b c d 「さいたまで女性標的のひったくり7件、計14万円被害」『読売新聞』読売新聞社、2004年10月14日。オリジナルの2004年10月16日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ a b c 「車の助手席からひったくり、女性狙い連続10件…埼玉」『読売新聞』読売新聞社、2004年10月19日。オリジナルの2004年10月21日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ a b c 「現金500万円入りバッグ、ひったくり 大阪・豊中」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月10日。オリジナルの2006年8月12日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ a b 「名古屋市内でひったくり8件相次ぐ」『朝日新聞』朝日新聞社、2007年12月9日。オリジナルの2007年12月9日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ a b c 「名古屋の連続ひったくり関与か バイク盗容疑で逮捕の男」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2019年1月28日。オリジナルの2025年8月1日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ “ひったくりにご用心!”. 福岡県警察. 2016年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ 「iPhoneひったくり 窃盗多発の背景」『読売新聞』読売新聞社、2013年11月22日。オリジナルの2016年6月4日時点におけるアーカイブ。2013年11月22日閲覧。
- ^ a b 「「泥棒!」叫んで77歳女性激走、ひったくり緊急逮捕」『読売新聞』読売新聞社、2004年10月15日。オリジナルの2004年10月17日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ “ひったくり被害にあわないために”. 警視庁 (2022年6月6日). 2025年8月1日閲覧。
- ^ 「ひったくり容疑の少年3人を逮捕 警視庁」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2012年4月6日。オリジナルの2025年8月1日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ 「ひったくりで免許取り消し 千葉の女性転倒死」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2011年7月28日。オリジナルの2025年8月1日時点におけるアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ a b “ひったくり”. 甲府市 (2014年9月16日). 2016年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月16日閲覧。
- ^ “(阪神南地域)ひったくり防止キャンペーン”. 兵庫県 (2011年4月1日). 2011年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年8月1日閲覧。
- ^ “ひったくり対策”. 松戸市 (2021年6月4日). 2025年8月1日閲覧。
- ^ 「もはや昭和の犯罪? 「大阪名物」ひったくり、なぜ急減」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年2月6日。オリジナルの2020年2月6日時点におけるアーカイブ。2020年2月6日閲覧。
関連項目
「引ったくり」の例文・使い方・用例・文例
- 引ったくりという犯罪
- 引ったくりのページへのリンク