『解明される意識』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 15:32 UTC 版)
「ダニエル・デネット」の記事における「『解明される意識』」の解説
ヘテロ現象学 (Heterophenomenology) 他者の内省報告を観察データとして認める「ヘテロ現象学」(Heterophenomenology)を掲げ、行動主義に陥ることなく、観察可能なデータから第三者の立場を通して主観的意識の問題を扱えるとする。デネットは、意識(心)と物理的・神経的なプロセス(身体、脳)を異なる次元のものとして考えてきた、心身二元論というデカルト以来の哲学的伝統を覆そうとしているのである。 多元的草稿モデル(Multiple Drafts Model)とカルテジアン劇場批判 意識をつかさどる中央処理装置「カルテジアン劇場」(Cartesian Theater)の存在を否定し、それに代わるものとして意識の「多元的草稿理論」(Multiple Drafts Theory)モデルを提唱している。意識とは「カルテジアン劇場」のような中央処理装置をもたない、空間的・時間的に並列した複数のプロセスから織り出され構成されるものだとデネットは論じる(意識のパンデモニアム・モデル)。以上のようなプロセスを経て構成される意識を、デネットは「物語的重力の中心」(Center of Narrative Grativity)と呼んでいる。 デネットは、人間の思考プロセスはコンピュータ(ジョン・フォン・ノイマン・マシーン)によってシミュレートすることが原理的に可能なものだと考える。したがって彼はチューリング・テストの意義を認めている。 クオリア批判 クオリアのような、第一者によって主観的にしか接近できない概念を、意識の科学的な解明には障害となるものだとデネットは批判している。 自然主義 デネットは自身の方法論的立場を物理主義あるいは自然主義と呼んでいる。デネットの自然主義的アプローチに対しては、ジョン・サール、デイヴィッド・チャルマーズやトマス・ネーゲルらが、意識の本質的な主観性に迫ることができないと反論している。
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