《土筆》の正しい読み方
「土筆」の正しい読み方
「土筆」は主に「つくし」と読む語。漢語的に「どひつ」と読んだり、つくしの異称である「つくづくし」「つくしんぼ」を土筆の読みとして当てたりする場合もあるが、一般的には「つくし」と読むと捉えて差し支えない。「つちふで」や「どふで」「つちひつ」などとは読まない。「土筆」の意味解説
「土筆(つくし)」は、スギナの胞子茎である。早春に生え、食用にされることもある。毛筆に似た形をしており、土から生えた筆という意味で「土筆」の字が当てられる。「土筆(どひつ)」は、いわゆる焼き筆の別名として用いられることある。
「つくづくし」は特に狂言の演目として知られる。
なぜ「土筆」と読むのか・理由
「土筆」と書いて「つくし」と読むようになった背景は諸説ある。(1)スギナに付いて生えてくることから「付く子(つくし)」と名付けられ、転じて現在の「つくし」になった。(2)狂言「歌争(うたあらそい)」の別名「つくづくし」を略したもので、地面から突き出る「突く」と掛けている。(3)突き出る形が船舶の航路を示すために用いる杭「澪標(みおつくし)」に類似していたことから。「土筆」という漢字は、筆が地面に立っているように見えるという発想に由来するものであり、「つくし」という呼称(読み方)とは別個に成立・定着したといえる。
「土筆」の類義語・用例・例文
「スギナ」「つくしんぼ」「つくづくし」などは「土筆」の異称でありほぼ同義語である。「つくしんぼ」は、「土筆」のうしろに「んぼ」「ん坊」と付けて「土筆んぼ」「土筆ん坊」とすることもある。「つくづくし」は読み方だけではなく、類義語としても挙げられる。「土筆」は、主に名詞として使われることがほとんどである。
用例
・碧梧桐一家の人が赤羽へ土筆取りに行くので、妹も一所に行くことになった時には予まで嬉しい心持がした。(正岡子規「病牀苦語 」より)
・下るべき水は眼の前にまだ緩く流れて碧油の趣をなす。岸は開いて、里の子の摘む土筆も生える。舟子は舟を渚に寄せて客を待つ。(夏目漱石「虞美人草」より)
・土筆ん坊が二人連で頭を擡げるやうに、偉い主人は屹度秀れた家来を連れて出るものなのだ。熊本の名君細川霊感公の家来に堀勝名が居たのも恰どそれである。(薄田泣菫「茶話:03 大正六(一九一七)年 」より)
例文
・家族と一緒に土筆を採りに行く予定だ。
・暖かくなってきたので野原に行ってみると、土筆があちこちに生えていました。
・まるで土筆のようにニョキニョキと頭を出した。
「土筆」の英語用例・例文
「土筆」は英語で「horsetail」「field horsetail」「fertile shoot of horsetail」と言う。複数形では「horsetails」「field horsetails」「fertile shoot of horsetails」である。厳密には「土筆」ではなく植物の「スギナ」「トクサ」のことを指している。「horsetail」は「馬のしっぽ」という意味も含まれている。これは馬の尻尾と土筆の形が似ていることが理由である。用例・例文
・I and my children will go to pick horsetails next Sunday.(来週の日曜日に私と子どもたちで土筆採りに出かける予定である。)
・This plant is called a field horsetail.(この植物は土筆と呼びます。)
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