"Windows NT"への路線変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 05:03 UTC 版)
「Microsoft Windows NT 3.1」の記事における「"Windows NT"への路線変更」の解説
1990年5月、マイクロソフトはMS-DOSベースの次期WindowsオペレーティングシステムであるWindows 3.0をリリースした。Windows 3.0の商業的成功はOS/2の友好関係に悪影響を与えた。IBMはマイクロソフトがOS/2を主力プラットフォームとして開発に注力することを望み、Windows関係のビジネスの展開には反対した。これらの噂から、ユーザーと開発者はWindowsとOS/2のどちらが採用されるかはっきりしない状態にあった。(APIレベルで互いに互換性がなかったことが状況を悪化させた。)1990年8月、Windows 3.0の人気を受けて、NT OS/2の開発チームはWindows APIの32ビット拡張版 (Win32) を使用したオペレーティングシステムを作り直すことにした。Win32はWindowsで使われる16ビットAPIと親和性のある構造に整備されており、開発者がWindows用の既存のソフトウェアを互換性を維持したまま新しいプラットフォームに移植しやすくなった。NT 3.1のアーキテクチャがWindows風にシフトしたように、シェルもOS/2のプレゼンテーションマネージャーからWindowsのプログラムマネージャに変更された。 これらの変更により、NTは当初予定していたCOMDEX 1990では発表されなかった。この時点では人々もIBMもNT OS/2がWindows NTに替えられたことを認知していなかった。IBMとマイクロソフトはOS/2を共同開発する代わりに主要バージョンを交互に開発することで合意したにもかかわらず、1991年1月、IBMはマイクロソフトのWindows NT計画を知り、OS/2の友好関係を突如打ち切った。元々の計画通り、IBMは単独でOS/2 2.0を開発し、それ以降のバージョンではマイクロソフトと関わることはなかった。 1991年10月、COMDEXでWindows NTが初めて公に披露された。Windows NTのリリースと同時にそれに対応したソフトウェアを供給できるよう、マイクロソフトは出席者の一部の開発者に32ビットソフトウェア開発キットを配布した。デモンストレーションは好意的に受け取られた。PC Magazine誌はWindows NTを「オペレーティングシステムの現代的革新」としたが、それと同時に、後方互換性が最終リリースまで維持されないかもしれない、と指摘した。1992年3月、マイクロソフトはWindows 3.1にWindows NTプログラムと部分的な互換性を持たせるWin32sをリリースした。 1992年6月のWin32 Professional Developers Conference(英語版)にて、Windows NTがx86とMIPSプロセッサで動作するデモンストレーションを行うと同時に、Windows NTのベータ版と更新された開発キットがリリースされた。また同時に、マイクロソフトはWindows NT用のSQL Serverの新バージョンを発表した。(UnixベンダーからはUnixシステムの市場シェアに影響を与えるキラーアプリになると恐れられた。)NTのメモリ使用量が増加したという課題も挙がった。当時の多くのコンピュータが4MBのRAMを搭載していた中、NTは16MBが推奨されていた。当時のRAMは高価であったため、その厳しいシステム要件はWindows NTの販売や普及に影響すると考えられた。ページングなどの手法によってメモリ使用量を削減する試みが行われた。 1992年10月、マイクロソフトはNTのパブリックベータビルドを公開し、数ヶ月後にCOMDEXにてWindows NT用のサードパーティ製ソフトウェアを中心にプレゼンテーションを行った。NTの最終プレリリース版は1993年3月にリリースされ、それと同時にサーバー版のWindows NT with LAN Managerについても公表された。安定性とパフォーマンスが向上したにもかかわらず、NT 3.1は未完成の状態でリリースされるか、1993年より後にもつれ込むのではという懸念が依然残っていた。
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