豆 種類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 18:06 UTC 版)

種類

豆は植物分類学上はマメ科に属する植物の種子の事であり、マメ科には650属、18,000種があるが、ヒトが食用としているのは70-80ほどである[19][20]。マメ科の植物は熱帯から亜寒帯乾燥地帯から湿潤地帯、海抜ゼロメートル地帯から高山までと広い地域に分布している。形態も1年生草本植物から多年生木本植物まである[21]

作物の豆は国内外の食料の生産集計などで2つに分類されている。多くの豆は重量の約60%が炭水化物で、タンパク質を約25%含み、脂質の含有率はわずかで、主に食用にされる[22]。これらが「食用豆」である。もう1つの分類は、含油率が高い豆で搾油用の作物であり、「油糧作物」に含まれる。大豆はタンパク質を36%、炭水化物を30%、脂質を20%含んでおり、ラッカセイは50%が脂質、タンパク質が26%、炭水化物は16%で、この2つは油糧作物に分類されている。以降の節では、「食用豆豆類」と「油糧作物」に分類される大豆およびラッカセイは分けて記述する。

インゲンマメ
インゲンマメ属・インゲンマメ種
インゲンマメ(隠元豆)は純食用の豆類の中の最大生産品種で、多くの栽培種があり、大きさも大小、色も単色の白、黒、赤ほか、斑紋入りのものなど様々である[23]。原産地はラテンアメリカであり、スペイン語でFrijol(フリホル)と呼ばれるが、フリホルは現地語起源ではなく、学名になっているラテン語Phaseolusが起源で、古代西アジア原産の豆を示していた。インゲンマメは英語ではCommon Bean(一般の豆)とも呼ばれ、国際連合食糧農業機関(FAO)の集計では単にBeans, dryと表示されている[24]
インゲンマメ属・ベニバナインゲン種
ベニバナインゲン(紅花隠元、: Runner bean / scarlet runner bean)、白花豆、紫花豆
エンドウ
エンドウ属
エンドウ(豌豆、エンドウ豆とも[25]: Pea, dry)、青えんどう、赤えんどう。
キマメ
キマメ属
キマメ(木豆[26](英)Pigeon Pea) - 高さ1-3mの低木の種子である[27]。熱帯の豆でインドでダールに使われる。
ササゲ
ササゲ属
ササゲ(大角豆[28]: Cow pea, black-eyed pea)、赤いササゲはアズキによく似ている。関東以南で栽培されており、沖縄で作られている「黒小豆」はササゲである[29]
ジュウロクササゲ
バンバラマメ
アズキ(小豆、: Azuki bean)、大納言、タケアズキ(ツルアズキ)はアズキによく似たササゲ属の豆でタイ、ミャンマーなどから輸入されている[30]
緑豆(green gram)、スプラウトもやしとして広い地域で栽培されている。
ソラマメ
ソラマメ属
ソラマメ(空豆、: Broad bean, Fava bean
ダイズ属
大豆: Soybean: Soya bean)、青大豆、黒大豆(黒豆)、高タンパク・高脂質であり、主に搾油・飼料用に利用される。
ヒヨコマメ
ヒヨコマメ属(学名:Cicer、英名:chickpea、スペイン語名:garbanzo)
ヒヨコマメ。スペイン語名のガルパンゾという名前でもよく知られており、一説には輸入先としてスペイン語圏であるメキシコからの輸入が多かったからとされる。多湿を嫌うマメなので日本では生産はほとんどなく、輸入も950トンと少ない[30]
レンズマメ
ヒラマメ属(学名:Lens、英名lentil)
レンズマメ、ヒラ豆、レンティル(: Lentil
ラッカセイ属(学名:Arachis
ラッカセイ(落花生、南京豆)、高脂質であり油糧作物に分類されている。豆の中では比較的毒性が低く、乾煎りしたものでも中毒せずに食べられる。
フジマメ属
フジマメ
シカクマメ属
シカクマメ
ナタマメ属
ナタマメ
ルピナス属(学名:Lupinus
ルピナスの豆(lupin bean)は日本ではあまり知られていないが、栄養価が高く、ダイズアレルギーを回避する代替食材として欧米では人気があるという。食用とされるのは毒性が低い一部の種である。食用種であってもほかの豆と比べて毒性が強く、長時間水に晒すなどの毒抜き処理が必要とされる。
レンリソウ属(学名:Lathyrus
花を観賞するスイートピーの仲間である。グラスピーL. sativa、英名grass pea)が知られる。豆はほかの食用種と比べて毒性が強く、長時間水に晒すなどの適切な毒抜き処理をしないと中毒する。
クラスタマメ属
クラスタマメ
トビカズラ属
ハッショウマメ
ヤブマメ属
ヤブマメなどを山菜として消費。
ジャケツイバラ亜科 イナゴマメ属
イナゴマメキャロブ
ネムノキ亜科 パルキア属
ネジレフサマメノキ
ヒロハフサマメノキ
ネムノキ亜科 インガ属
インガ・エドゥリス

マメ科の植物であるが、「種子(豆)」以外が利用されるもの。ヒカマ(クズイモ属)、ローズウッド紫檀ツルサイカチ属)、ハギ属)、レンゲゲンゲ属)、フジ属)、クズクズ属)、クローバーアルファルファシャジクソウ属)、 アラビアガムアカシア属)、タマリンドタマリンド属)、ホドイモ(ホドイモ属)、ミズオジギソウ(ミズオジギソウ属)、ルイボス(アスパラトゥス属)、チョウマメ(チョウマメ属)、カンゾウカンゾウ属)など。

マメ科以外の植物の種子で通常豆と呼ばれるもの。コーヒー豆アカネ科)、カカオ豆アオイ科)、メキシコトビマメトウダイグサ科)など。


注釈

  1. ^ FAOの集計では生産に関しては2013-7時点で2011年分まで情報があるが、用途などの情報が含まれているCommodity BalanceやFood Supplyの情報は2009年度分までである。
  2. ^ FAOの2009年度の集計によると、豆類の供給サイドでの廃棄率は3.3%、大豆やラッカセイを含む油糧作物の廃棄率は3.6%であった。

出典

  1. ^ a b kotobank - デジタル大辞泉 「豆」
  2. ^ 写真でわかる園芸用語集 「胚乳」
  3. ^ 写真でわかる園芸用語集 「莢果(きょうか)」
  4. ^ 写真でわかる園芸用語集 「裂開果(れっかいか)」
  5. ^ 写真でわかる園芸用語集 「節果(せつか)」
  6. ^ 楽天 「「種 アルファルファの検索結果」
  7. ^ 朝日新聞・どらく 「タマリンド」
  8. ^ BBC Mundo (西語)El frihol se origino en Mesoamerica
  9. ^ en:Peanut#Historyより。
  10. ^ Dillehay, Tom D.. “Earliest-known evidence of peanut, cotton and squash farming found”. 2007年6月29日閲覧。
  11. ^ 豆類協会 「豆の通ってきた道」
  12. ^ 豆類協会 「大豆」
  13. ^ 国際マメ年について (IYP 2016)”. FAO駐日連絡事務所. 2016年12月7日閲覧。
  14. ^ キッコーマン 「大豆の歴史」
  15. ^ グリコ 「大豆のおはなし」
  16. ^ 豆類協会 「豆の通ってきた道」
  17. ^ 滋賀県湖北農業農村振興事務所 「滋賀県長浜市における小豆の生産振興について」
  18. ^ 豆類協会 「豆の日本への伝来の歴史」 (PDF)
  19. ^ a b 農林水産省 「特集2 雑豆(1)」
  20. ^ 農林水産省 「豆のこと、もっと知りたい。」
  21. ^ 豆類協会 「Q&A 豆の種類について」
  22. ^ 豆類協会 「豆の主な栄養素」
  23. ^ weblio - 日本豆類基金協会 「いんげんまめ」
  24. ^ 国際連合食糧農業機関(FAO) Classifications Production/Crops/ item code=176 Beans, dry
  25. ^ kotobank - デジタル大辞泉 「豌豆豆」
  26. ^ 跡見学園女子大学 「きまめ」
  27. ^ kotobank - 世界大百科事典 「キマメ」
  28. ^ 「ささげ」
  29. ^ 豆類協会 「ささげ」
  30. ^ a b c d e f g 豆類協会 「海外からの輸入」
  31. ^ 農林水産省 「豆のこと、もっと知りたい。」
  32. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 国際連合食糧農業機関(FAO) FAOSTAT Food and agriculture data
  33. ^ 国際連合食糧農業機関(FAO) Classifications Food Supply/Crops Primary Equivalent/ item code=2555 Soybeans
  34. ^ 豆類協会 「国内生産」
  35. ^ 永らく最大の生産国であった米国は7倍、ブラジル497倍、アルゼンチン約5万倍、パラグアイ5018倍などが急増、インドも2522倍
  36. ^ 大生産国ではあるが国内需要を満たせておらず、総交易量の約6割を輸入。
  37. ^ 1961年と81年はソ連の数値
  38. ^ 1961年と81年はソ連に含まれる
  39. ^ 1961年の生産量は米国、中国、インドネシアに次ぐ量であった。
  40. ^ 「白いんげん豆の摂取による健康被害事例について」
  41. ^ 健康食品管理士認定協会 「白いんげん豆食中毒事件」
  42. ^ 英語版のen:Glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency#Signs and symptomsの記述ではFavismとG6PDの関連は are not well understoodとある。
  43. ^ 医歯薬出版株式会社 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」
  44. ^ Bloomberg Appetite for Meat in China Means Agriculture Imports, FAO Says
  45. ^ 農林水産省 「大豆をめぐる最近の動向について H22-1」
  46. ^ 「野菜350g」は本当にカラダにいいの…?食生活のウソホント”. FRIDAYデジタル (2020年7月16日). 2020年11月27日閲覧。
  47. ^ Godman, Heidi (2021年12月1日). “Harvard study: Healthy diet associated with lower COVID-19 risk and severity” (英語). Harvard Health. 2021年12月5日閲覧。
  48. ^ 吉川雅之、薬用食物の糖尿病予防成分 『化学と生物』 2002年 40巻 3号 p.172-178, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172
  49. ^ 豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性、齋藤優介ほか、日本食品科学工学会誌、Vol.54(2007) No.12
  50. ^ アメリカ合衆国農務省(USDA) Nutrient data laboratory
  51. ^ Harold McGee 2008, pp. 471–476.
  52. ^ 楽天レシピ 「金時豆の甘煮」
  53. ^ allrecipes.com Boston Baked Beans
  54. ^ kotobank 「pea soup」
  55. ^ 豆類協会 「豆の戻し方」
  56. ^ コスモポリタン_(雑誌) 「栄養満点!レンズ豆の美味しい使い方とおすすめレシピ」
  57. ^ エジプト大使館 「エジプト料理」
  58. ^ kotobank - 平凡社世界大百科事典 「高杯∥高坏」
  59. ^ goo辞書 - 小学館デジタル大辞泉 「坏」
  60. ^ 裘錫圭 1988, p. 116.
  61. ^ 張世超 1996, pp. 1167–8.
  62. ^ 季旭昇 2014, pp. 404–5.
  63. ^ 林志強等 2017, p. 58.
  64. ^ 裘錫圭 1988, pp. 246–7.






豆と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「豆」に関係したコラム

  • CFDのココア取引とは

    ココアは、カカオから作られる食品です。チョコレートもカカオから作られます。カカオの生産は、赤道の南緯20度、および、北緯20度以内の高温多湿な地域で栽培されます。カカオの主な生産地域は西アフリカや...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「豆」の関連用語


2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||


6
94% |||||



9
92% |||||

10
92% |||||

豆のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



豆のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの豆 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS