山口県 地形・地域

山口県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 15:23 UTC 版)

地形・地域

地形

南側を瀬戸内海広島湾伊予灘周防灘)、西側と北側を日本海響灘)と、三方をに囲まれ、その中央部を中国山地が横断している。中国山地に水源を発する河川として、一級水系佐波川および小瀬川二級水系錦川椹野川厚東川木屋川阿武川などがある。平野部が小さく、瀬戸内側の一部(主要河川の河口部並びに周南地区)を除けば山に囲まれた谷底平野が多く存在する。

気候

外海と内海の両方に面し、中央部に山地が横たわるという地理的条件上、同じ県内でも気候には大きな違いが見られる。気候の特徴的に「瀬戸内海沿岸地域」「内陸山間地域」「日本海沿岸地域」に大きく分けられるが、年平均気温が12~16度、年平均降水量が1,600~2,300mmと比較的温暖であり、風水害や地震も比較的少ない[4]。ただし、梅雨期は広島県と同様に梅雨前線と暖湿流の影響で大雨となりやすい上、急傾斜地崩壊危険箇所等の数も広島県に次いで全都道府県で2位[5] であり、表層に堆積した真砂土による土砂災害が発生しやすく、近年でも平成21年7月中国・九州北部豪雨平成25年7月28日の島根県と山口県の大雨で被害を受けている地域がある。

このように、同じ県内でも地域ごとの気象傾向に差があることもあり、天気予報を発表する際の一次細分区域は「西部」「中部」「東部」「北部」の4つに設定されている(元々は「東部」「西部」「北部」の3区分だったが、旧東部から中部が分割された)。2003年(平成15年)3月3日には気象に関する注警報・警報発表区域の細分化(二次細分区域の設定)が行われ、県内が7区域「西部」(豊田 / 下関・宇部)、「中部」(山口・防府 / 周南・北玖珂)、「東部」、「北部」(長門 / 萩・美祢)に細分化された。2007年(平成19年)3月1日には市町村合併を反映する形で二次細分区域が再編され、二次細分区域が8区域に再設定されている。

  • 現行の気象区分(2007年(平成19年)3月1日現在、カッコ内は二次細分区域)[6]
    • 山口県西部(下関 / 宇部・山陽小野田)
    • 山口県中部(山口・防府 / 周南・下松)
    • 山口県東部(岩国 / 柳井・光)
    • 山口県北部(長門 / 萩・美祢)

長らく県内の有人観測点は山口測候所・下関地方気象台の2箇所であったが、山口測候所は2010年10月1日を以て廃止され、現在は下関地方気象台のみとなっている。なお、下関地方気象台は福岡管区気象台の管轄であり、山口県は気象庁の予報区分では「九州北部地方(山口県含む)」として九州北部と同一の区域として扱われる。

自然公園

県内の国定公園指定地域である、秋吉台

地方区分

八地方区分では山口県は中国地方に区分されるが、関門海峡・周防灘を挟み近接する九州とともに「九州・山口地方」と称される場合もあり[7]、山口県知事は九州地方知事会中国地方知事会の両方に参加している[8][9]

中国地方として扱うもの

公的機関では、衆議院比例区(中国ブロック)、財務省中国財務局)、農林水産省(中国四国農政局)、NHKなどが山口県を中国地方に区分している。

民間では、ゆうちょ銀行(中国エリア)、NTTドコモエヌ・ティ・ティ・ドコモ中国)、全国高等学校総合体育大会<インターハイ>(中国大会)、選抜高等学校野球大会(中国・四国ブロック)などがある。

九州地方として扱うもの

公的機関では、気象庁福岡管区気象台、気象区分「九州北部」に山口県を含む)、税関門司税関)、水産庁(九州漁業調整事務所)などが山口県を九州地方と共通の区分に含む。

民間では、読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞の全国紙各社およびグループ会社が、西部本社(支社・本部)などの地域組織において九州地方とともに山口県を管轄区域としている。

県域を分割または共通区域として扱うもの

公的機関では、以下の部局が山口県域を九州地方側と中国地方側に分割して区分している。

機関 九州地方側 中国地方側
国土交通省地方整備局 九州地方整備局(港湾空港部の所管事務) 中国地方整備局
下関市 左記以外の地域
国土交通省地方運輸局 九州運輸局(海事に関する事務) 中国運輸局
下関市、宇部市、山陽小野田市 左記以外の地域
国土交通省地方航空局 北九州空港事務所 岩国空港事務所
下関市、宇部市、山陽小野田市、長門市、美祢市 左記以外の地域
海上保安庁 第7管区海上保安本部 第6管区海上保安本部
下関市、宇部市、山陽小野田市、長門市、美祢市、萩市 左記以外の地域
防衛省 九州防衛局長崎防衛支局 中国四国防衛局
下関市 左記以外の地域

民間経済団体である九州経済連合会はかつて「九州・山口経済連合会」と称し、改称後も下関市や宇部市を中心に山口県に本社を置く企業や大学など21法人が加盟している[10][11]中国経済連合会と重複会員もおり、山口銀行は九州経済連合会と中国経済連合会の両方で副会長を務めている[12][13]

日本小型船舶検査機構は岩国市・柳井市・田布施町・平生町・上関町・和木町・周防大島町を広島支部が管轄し、それら以外の地域を福岡県北九州市・京築地域とともに下関支部が管轄している[14]

地域圏

山口県 地域区分図

地形は、県中央部が山地で沿岸・山あいに小規模な平野や盆地が分散している。海岸線は臨海工業が立地して、それぞれの工場地区ごとに労働力を引き寄せた。また、幹線交通網である国道2号山陽本線山陽自動車道も海岸線沿いに走っているため、物流・内陸工業の面でも労働力を引き寄せた。このような産業構造と分布をしているため、瀬戸内海側の都市への人口・物流・資本・情報の集中が発生している。

県庁所在地である山口市の県内他地域に対する求心力が低いこともあって、同市など県央地域よりも県外の地域との交流が深い自治体もある。県西部の下関市福岡県北九州市とともに関門都市圏の核都市となっており、宇部市山陽小野田市美祢市などが同都市圏に含まれるほか、県東部の岩国市和木町などは広島県広島市を核都市とする広島都市圏に含まれる。

都市圏

地域圏にはいくつかの区分方法があるが、一例として山口県による 8つの広域都市圏 がある[注釈 1]。下関広域都市圏と長門広域都市圏は、広域都市圏内で合併が進み、圏内1市となった。以下に記載する人口は、2024年5月1日現在。なお、山口県の総人口は1,286,248人[15]

地区 広域都市圏
(通称;読み)
構成市郡 圏域人口
(人)
岩柳 岩国広域都市圏
(岩国・玖珂地域;いわくに・くが-)
岩国市玖珂郡
(1市1町)
128,178
柳井広域都市圏
(柳井・大島地域;やない・おおしま-)
柳井市熊毛郡大島郡
(1市4町)
69,012
周南 周南広域都市圏
(周南地域;しゅうなん-)
周南市下松市光市
(3市)
234,685
山防 山口・防府広域都市圏
(県央地域)
山口市防府市
(2市)
302,666
厚狭 宇部・小野田広域都市圏
(宇部・美祢地域;うべ・みね-/厚狭地域;あさ-)
宇部市山陽小野田市美祢市
(3市)
235,644
豊関 下関広域都市圏
(豊関地域;ほうかん-)
下関市(1市) 242,152
長北 長門広域都市圏
(長門大津地域;ながと・おおつ-)
長門市(1市) 29,965
萩広域都市圏
(萩地域)
萩市阿武郡
(1市1町)
43,946
  • 基本的に旧郡単位で広域都市圏の線引きがなされている(かつては複数の広域都市圏にまたがる旧郡も存在した)。ここでいう広域都市圏は、基本的に地域圏であって都市圏ではない。
  • 気象予報の二次細分区域は上記の広域都市圏と微妙に異なる。詳細は気候の項を参照。

自治体

基礎自治体は、以下の13市・4郡・6町がある(自治体コード順)。山口県では、町はすべて「ちょう」と読む。村は2006年(平成18年)3月20日本郷村の合併に伴って消滅している。


注釈

  1. ^ その起源は、平井龍県知事時代における『オクトピア構想』(オクト(8)とユートピア(理想郷)の造語)にあり、1987年(昭和62年)2月に策定された「第四次県政振興の長期展望」の中で具体化された。
  2. ^ 西部本部設立、かつ発売休止前までは、大阪本社(摂津市の工場)で製作した夕方18時締切の超早版を鉄道or航空輸送しており、多くのニュースは前々日の記事が掲載されていた。
  3. ^ 前述の通り、親会社である朝日新聞は印刷工場は同じだが、東部を含む全県で西部版を印刷している。
  4. ^ ここでは系列局がないFNN/FNSとTXN系のみをあげるが、直接受信やケーブルテレビを介して受信できる広島・山陰・福岡・さらに場所によっては愛媛・大分の放送局が受信できる地域も数多く存在する(主に岩国市・柳井市などの東部エリアは広島や愛媛、それ以外は福岡(主に北九州中継局のもの)の放送局が受信できるところが多い)
  5. ^ 例えば、「ゆめタウン」などを運営するイズミ(本社:広島市)は県内ほぼすべての店舗で広島の優勝セールを行ったが、同社が「九州圏」として位置づけている下関市内の4店舗ではソフトバンクのセールを実施した[41]。逆に、九州を中心に展開するサンリブ(本社:北九州市)はソフトバンクの優勝セールを行ったが、山口県内では広島と距離の近い下松市の店舗でのみ、広島の優勝セールを実施した[41]

出典

  1. ^ 利用エリアにおける「隣接する都道府県」”. 2021年9月24日閲覧。
  2. ^ 山口県の概要”. 山口県 (2017年2月24日). 2020年10月2日閲覧。
  3. ^ https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a11000/kouhou/syoukai_sp.html
  4. ^ やまぐちを知ろう 【地勢・気候】”. ふるさと学習コンテンツ『知っちょる!?やまぐち』. 山口県教育委員会. 2018年8月21日閲覧。
  5. ^ 都道府県別土砂災害危険箇所
  6. ^ 予報細分区域 (PDF)
  7. ^ [1]
  8. ^ [2]
  9. ^ [3]
  10. ^ 山本栄一郎『山口「地理・地名・地図」の謎』実業之日本社〈じっぴコンパクト〉、2015年。ISBN 9784408455365 pp.112-113
  11. ^ [4]
  12. ^ [5]
  13. ^ [6]
  14. ^ [7]
  15. ^ 山口県統計分析課
  16. ^ 楊貴妃伝説”. 長門市公式サイト (2015年11月1日). 2023年7月4日閲覧。
  17. ^ 百科事典マイペディア『防長大一揆』 - コトバンク
  18. ^ 防長先賢堂と県立図書館が完成『大阪毎日新聞』昭和3年12月20日(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p707 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  19. ^ 日本の地域別将来推計人口 -平成 27(2015)~57(2045)年-
  20. ^ 令和元年度県民経済計算の概要 (PDF) - 内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部 2021年3月31日
  21. ^ https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a12500/kenmin/index.html
  22. ^ 山口県の地域経済分析 (PDF) - 経済産業省, p.54-97
  23. ^ 平成30年度市町民経済計算の概要 (PDF) - 山口県統計分析課2021年3月31日
  24. ^ 秋篠宮文仁小宮輝之『日本の家畜・家禽』 学習研究社 <フィールドベスト図鑑> 2009年、ISBN 978-4-05-403506-5 pp.66-67.
  25. ^ やまぐちを知ろう!農業編”. 2021年2月18日閲覧。
  26. ^ 平成30年生産農業所得統計”. 2020年4月20日閲覧。
  27. ^ 日本が商業捕鯨を再開 IWCから脱退、規制受けず BBC NEWS 2019年7月1日配信 2021年6月12日閲覧。
  28. ^ 平やまぐちを知ろう!水産業編”. 2021年2月18日閲覧。
  29. ^ 山口県の漁港”. 山口県. 2023年9月16日閲覧。
  30. ^ 令和3年経済センサス-活動調査(製造業)結果(山口県分 確報)” (2023年5月16日). 2023年9月16日閲覧。
  31. ^ 小学生向け補助教材『山口県の工業』(改訂版) (PDF) - 山口県商政課2019年5月23日
  32. ^ 沖の山コールセンター
  33. ^ 全日本空輸とコードシェア
  34. ^ 山口県の水道の現況”. 山口県都市計画課 (2023年7月3日). 2023年9月17日閲覧。
  35. ^ 下水道班・下水道処理人口普及状況”. 山口県都市計画課 (2023年1月20日). 2023年9月17日閲覧。
  36. ^ 下水道班・流域下水道”. 山口県都市計画課 (2023年3月31日). 2023年9月17日閲覧。
  37. ^ テレビ西日本がスマートニュースのチャンネルプラスに登場 より
  38. ^ スマートニュースでテレビ新広島のチャンネルが開設 より
  39. ^ 総務省発表資料「ケーブルテレビの現状」(平成23年6月) (PDF) では、日本全体のケーブルテレビ普及率48.8%に対し、山口県全体で56.7%としている。
  40. ^ 山口ケーブルビジョン(株)会社概要 より
  41. ^ a b c d 山口新聞』2018年10月31日朝刊一面1頁「プロ野球日本一へ広島・福岡決戦 “地元シリーズ”に山口県民ホクホク 小売店、地域分けて応援セール 観戦はどちらも行きやすく」(みなと山口合同新聞社 岩崎新)
  42. ^ 福岡北九州フェニックスが投手戦を制す 荒巻千尋が3勝目 - キタキュースタイル(2022年4月29日)2023年2月8日閲覧。
  43. ^ 球団名変更のお知らせ - 福岡北九州フェニックス(2022年9月15日)2023年2月8日閲覧。
  44. ^ 球団名変更のお知らせ - 北九州下関フェニックス(2023年2月1日)2023年2月8日閲覧。
  45. ^ 令和元年山口県の宿泊者及び観光客の動向について』(プレスリリース)山口県観光政策課、2020年6月30日https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a16200/doutai/202006290001.html2021年2月17日閲覧 
  46. ^ a b c 特集「妄想オーストラリアの旅」 山口県でオーストラリア気分を満喫!?(その1)”. 山口県庁 広報広聴課 (2012年). 2022年1月22日閲覧。
  47. ^ 特集「妄想オーストラリアの旅」 山口県でオーストラリア気分を満喫!?(その2)”. 山口県庁 広報広聴課 (2012年). 2022年1月22日閲覧。
  48. ^ 特集「妄想オーストラリアの旅」 山口県でオーストラリア気分を満喫!?(その3)”. 山口県庁 広報広聴課 (2012年). 2022年1月22日閲覧。
  49. ^ a b c 安藤健二 (2015年12月16日). “「山口県とオーストラリアは似てる」 県庁公式サイトが訴える10個の共通点とは?”. ハフィントン・ポスト. https://www.huffingtonpost.jp/2015/12/15/yamaguchi-australia_n_8815172.html 2022年1月29日閲覧。 
  50. ^ a b c 若松 真平 (2015年12月17日). “山口と豪州「似てる」と話題に 県庁HPが示す「10の理由」に驚き”. withnews. https://withnews.jp/article/f0151217001qq000000000000000W00o0401qq000012850A 2022年1月29日閲覧。 
  51. ^ 臼井 翼 (2015年12月21日). “【福島版】山口県より似てる!?妄想オーストラリアの旅”. 福島TRIP (株式会社ハタフル). https://www.fukushimatrip.com/4488 2022年1月29日閲覧。 






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