三省堂 大辞林 |
きん 1 【琴】
→箏(そう)
こと 1 【琴/▼箏】
→箏(そう)
(2)琴(きん)・箏の和訓。古代以来の用法。広く琴・箏と同類の弦楽器(長胴チター属)をさす語(須磨琴(すまごと)・大正琴(たいしようごと)など)としても用いられる。
(3)原義では弦楽器全般の称。古代には、きんのこと(琴)・そうのこと(箏)・びわのこと(琵琶)・やまとごと(和琴)・くだらごと(百済琴)・しらぎごと(新羅琴)などと呼び分けた。
音楽用語辞典 |
琴
物語要素事典 |
琴
★1.琴は神を招く道具である。
『古事記』中巻 仲哀天皇が熊曽を討とうとして、筑紫の香椎宮で神託を請う。闇の中で天皇が琴を弾くと、神が神功皇后にかかって「西方に国があり、種々の珍宝が多い。その国を帰服させよう」と告げる。しかし仲哀天皇は「西方には海が見えるだけだ。いつわりをする神だ」と言い、琴を弾くのをやめる→〔神がかり〕2。
★2.琴の奇瑞。
『うつほ物語』 天女が俊蔭に名琴南風・波斯風を与えた。南風・波斯風は、さまざまな不思議を起こした。俊蔭女が南風を弾くと山が崩れ、恐ろしい武士たち四~五百人が埋もれ死んだ(「俊蔭」)。紅葉の賀の夜、俊蔭女の子・仲忠が南風を弾くと天変が起こり、天女が降りて舞った(「吹上」下)。七夕の夜、尚侍(ないしのかみ)となった俊蔭女が波斯風を弾くと天変が起こり、夢に父・俊蔭の霊が現れた。八月十五夜に尚侍が南風および波斯風を弾くと、さまざまな天変とともに、大地が揺れ池水が溢れた(「楼の上」下)。
『サムエル記』上・第16章 サウル王は神の心に背いたため、神から来る悪霊にしばしば苦しめられた。羊飼いの少年ダビデが召し出され、サウル王の傍らで竪琴をかなでた。すると悪霊はサウル王から離れ、サウル王は気分が良くなった。
『列子』「湯問」第5 琴の名手師文が春の季節に秋の曲を弾くと、涼風が吹き草木が実を結ぶ。秋に春の曲を弾くと、温風が吹き草木に花が咲く。夏に冬の曲を弾くと、霜雪が降り川も池も凍る。冬に夏の曲を弾くと、太陽が照り氷が溶ける。四季の弦を一度にかなでると、南風が吹き瑞雲が起こり、甘露が降り泉が湧く。
『三国志演義』第95回 僅かの兵しかいない城に、司馬仲達の魏軍が攻め寄せる。諸葛孔明は城門を開き、櫓上で平然と琴を弾く。これを見た司馬仲達は、「伏兵があるのであろう」と恐れて、退却する。
『壇浦兜軍記』3段目「琴責め」 遊女阿古屋の「景清の行方を知らぬ」という言葉が本当かどうか見極めるため、畠山重忠は阿古屋に琴などを弾かせる。心に偽りがあれば、その音色が乱れるからである。音色に乱れはなく、阿古屋は釈放される。
『封神演義』第18回 殷の国に幽閉された西伯姫昌が琴を弾き、大弦の音に「殺声」の響きを聞き取って驚く。彼は卦を立てて、息子伯邑考が紂王と妲妃のために殺されたことを知る。
『アルゴナウティカ』(アポロニオス)第4歌 金羊毛を手に入れたイアソンの一行は、アルゴ船で帰途につく。セイレンたちの住む島に近づくと、彼女たちの歌声が一行を誘い、船は島へ引き寄せられそうになる。オルペウスのかき鳴らす竪琴の音がセイレンたちの歌声を圧倒し、船は無事航海を続ける〔*『ギリシア神話』(アポロドロス)第1巻第10章に類話〕。
『変身物語』(オヴィディウス)巻11 オルペウス(オルフェウス)につれなくされた女たちが怒り、杖や石を投げつけるが、彼の歌声と琴の音によって、杖も石もオルペウスの足もとに落ちる。女たちは楽器を鳴らし叫び声をあげてオルペウスの音楽をかき消し、石・枝・土などを投げて彼を殺す。
『ギリシア神話』(アポロドロス)第3巻第10章 ヘルメスは生まれてすぐアポロンの牝牛を盗んだあと、草を食う亀を見つけてこれを清め、牝牛のガットを亀の甲羅に張って竪琴を作り出した〔*『ヘルメスへの讃歌』では、羊からとった七本の弦を張った、と記す〕。
『うつほ物語』「俊蔭」 釈迦が成道した日、天稚御子(あめわかみこ)が天から下り、三年かけて谷を掘った。天女が谷に木を植え、長年月を経て、木は天に届くほどに大きくなった。阿修羅がその木を伐っているところへ、日本から清原俊蔭が訪れた。阿修羅が木を割り削り、天稚御子がそこから琴を三十作って、清原俊蔭に与えた。
★6b.船から琴を作る。
『古事記』下巻 仁徳天皇の代、大樹を切って「枯野(からの)」という船を作った。船足が速く、淡路島の清水を運び、難波の高津の宮にある仁徳天皇の飲料として、奉った。船が破損した後、船材で塩を焼き、焼け残りの木で琴を作った。琴の音は七里に響き渡った。
『日本書紀』巻10応神天皇31年8月 応神天皇が、老朽の官船「枯野」の名を後世に伝えたいと考え、船材を薪として塩を焼かせた。五百籠の塩が得られたが、焼け残って燃えない薪があった。帝は不思議に思い、その薪で琴を作らせた。琴の音は美しく、遠方まで響いた。
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琴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/01 23:31 UTC 版)
琴(きん、こと)とは、日本の伝統楽器。日本で「こと」と呼ばれる楽器は(1)琴、(2)箏、(3)和琴 (わごん)、 (4) 一絃琴 (須磨琴)、 (5) 二絃琴 (八雲琴) がある。前二者は古くから混用、誤用があったが、「箏」の字が常用漢字に含まれなかったために、さらに混用が進んでいる。区別が必要な場合は、それぞれ(1)「琴(きん)のこと」、(2)「箏(そう)のこと」と呼ばれる。(2)「箏」では柱(じ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのに対し、(1)「琴」は弦を押さえる場所で音程を決めるという特徴を持つ(和琴は柱を使う)。指にはめた爪(ピック)または指(あるいは手の爪)で弦を弾いて音を出す。
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琴
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