神戸製鋼所
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社訓
KOBELCOの3つの約束
神戸製鋼グループの社会に対する約束事であり、グループで共有する価値観。
- 信頼される技術、製品、サービスを提供します。
- 社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます。
- たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します。
KOBELCOの6つの誓い
神戸製鋼グループに属する全社員がKOBELCOの3つの約束を果たすための誓い。
- 高い倫理観とプロ意識の徹底
- 優れた製品・サービスの提供
- 働きやすい職場環境の実現
- 地域社会との共生
- 環境への貢献
- ステークホルダーの尊重
人材育成
優秀な社員を兵庫県尼崎市の産業技術短期大学(1962年一般社団法人日本鉄鋼連盟が設立)に派遣して、人材育成を行っている。具体的には、「製造現場における知識創造と人材の多機能育成政策・綿密な能力開発策のひとつとして、企業内選抜を経て中堅技術者への昇進に結びつく産業技術短期大学への派遣を行う政策の実行」であり、このような人材育成形態(教育訓練形態)を「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング・OFF-JT」という。
ブランド名の由来
グループブランドである「KOBELCO」の由来は、神戸の製鋼所を表す「KOBE STEEL」、会社を表す「LCO」(Limited COmpany) からなる造語である。
不祥事
政治的問題
1969年10月、東亜相互企業株式会社[注釈 2]から、福島県西郷村小田倉[注釈 3]の、馬場坂と黒森の両地区合わせて82万m²を購入した[注釈 4]。市場地価は坪単価850円から2000円で、この価格で東亜相互企業も買収していたが、神戸製鋼に対する売値は坪あたり12000円という高値であった[注釈 5]。警視庁が恐喝等の疑いで捜査するも、神戸製鋼側は「工業用地として買った」と言い張り、事件は立証されなかった[注釈 6]。神戸製鋼所の本社のある神戸の暴力団は、事件を知り大挙上京した[11]。
大気汚染問題
- 加古川製鉄所(2003年8月〜2006年5月)
- 神戸製鉄所(2003年8月〜2006年5月)
- 大気汚染防止法に定める基準値を超過していることを知りつつ放置
- 自家発電用ボイラ(窒素酸化物2時間)。
- 鉄鋼生産関連設備(窒素酸化物20時間(均熱炉・加熱炉の3炉))。
- 大気汚染防止法などの基準値超過の際、記録の中止、廃棄、データ改竄を行う
- 大気汚染防止法に定める基準値を超過していることを知りつつ放置
- 両製鉄所の測定システムは、基準値を超える窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を測定した場合、炉の稼働停止を意味する「欠測」の信号を神戸、加古川両市に送るようプログラミングしていた。
橋梁談合事件
2005年(平成17年)発覚の橋梁談合事件に加わっていたことが判明している。
- この事件を黙認し会社に損害を与えたとして、株主の一人が、株主代表訴訟を神戸地裁に起こしたが、2010年(平成22年)2月10日に、コンプライアンス委員会の設置などを条件に、同社との間で和解が成立[12]。
選挙資金の肩代わり
加古川・高砂両製鉄所と長府製造所が、加古川・高砂・下関各市の市議会議員計5人(現役社員3人、OB2人。いずれも労働組合が推薦)の後援会に対し、選挙事務所設営費や人件費などの選挙資金を肩代わりしていたことが発覚。政治資金規正法に違反する疑いがある。この事態を受け、当時の同社の水越浩士会長と犬伏泰夫社長が、2009年(平成21年)3月末を以って引責辞任した[13]。
所得隠しの発覚
- 同社が大阪国税局から税務調査を受け、2008年(平成20年)3月期までの7年間に亘り、約29億1,000万円(うちグループ会社分は約9億8,000万円)の申告漏れを指摘されたことが、2009年(平成21年)9月18日に判明した。うち約4億円については、先述の選挙資金の肩代わり分を経費と偽ったり、製品や半製品を廃棄処分扱いとした経理処理を行うなど、意図的な所得隠しと認定された[14][15]。
- 同社は2011年にも同国税局からの税務調査で、約16億9,000万円の申告漏れ(うち9億1,000万円は意図的な所得隠し)を指摘された[16]。
- 同社は、製造設備の入れ替え費用などを巡り約11億9,000万円(うち約1億4,000万円は意図的な所得隠し)を同国税局から指摘されていたことを、2013年6月に明らかにしている[17]。
- 2023/7/10 神戸製鋼16・2億円申告漏れ 大阪国税局指摘。鉄鋼大手の神戸製鋼所(神戸市中央区)は10日、同社とグループ会社が大阪国税局の税務調査を受け、令和3年3月期までの4年間で計約16億2千万円の申告漏れを指摘されたと発表した。約6億2千万円については「仮装・隠蔽を伴う所得隠し」と認定された。 重加算税を含む追徴税額は約1億円。同社は同日全額納付し、「一部に見解の相違はあったが、最終的に更正通知を受け入れ、全額納付した。今後は適正な納税に努める」としている。また同社グループ会社では、元役員が架空の工事を発注し、支払った代金を自己に還流していたことが発覚しており、その一部が所得隠しと認定されたとみられる。(産経デジタル)
公害の発生
ばね用鋼材の強度を改竄
同社のグループ会社である神鋼鋼線ステンレスが、2007年4月から2016年5月にかけ製造したばね用の鋼材のうち、7,400トン中55.6トンについて、強度が日本工業規格を満たさないにもかかわらずJISマーク表示をしていたことが、2016年6月9日に明らかになった[18]。
アルミ製品データ改竄
2017年10月8日、アルミニウム、銅、鉄粉などに関し性能データの改竄や顧客に了解を得ない特採が常態化していたことが発覚した。製品は航空機、自動車、鉄道などで幅広く使用されており、三菱重工業、川崎重工業、IHI、SUBARUなどでデータが改竄された素材を使用した製品が販売されていたことが判明した[19][20]。
影響は海外の取引先にも及び、2017年10月17日の世界鉄鋼協会年次総会でも話題となった。世界鉄鋼協会会長の進藤孝生は「データ改竄が起きた原因や影響の分析が必要だ」とした[21]。
この問題に関し、松井巖弁護士(元福岡高等検察庁検事長)を委員長とする外部調査委員会が設置され、その後社内品質ガバナンス再構築検討委員会や品質問題調査委員会における検討結果と併せて、2018年3月6日に「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」と題する最終報告書が発表された[22][23]。要旨は以下の通り。
事実関係
- 一、不適合製品の納入先は2017年10月26日に公表した延べ525社に加え、同日設置した外部調査委員会の調査で新たに延べ163社が判明した。
- 一、顧客仕様を満たさない検査結果について、満たす数値に改竄する行為、測定したかのように試験結果を捏造する行為などが確認された。
- 一、アルミニウム・銅事業部門では、役員2人が工場勤務当時に不適切行為の存在を認識しており、ほかの役員1人も2017年4月に認識した。過去の役員2人は役員就任以前に直接関与していた。
- 一、アルミ・銅事業部門の真岡製造所では遅くとも1970年代から不適切行為が行われていた。
- 一、アルミ・銅事業部門のグループ会社では、実測データなどを記録した「トクサイリスト」を参照して顧客仕様を満たす検査結果を証明書に記入していた。
原因分析
- 一、本社の収益評価に偏った経営姿勢に従い、各事業部門は工程能力を十分に検証することなく受注するといった生産至上主義に陥った。経営陣が抜本的な対応を行わず、事業部門内の監査も行き届いていなかった。
- 一、人事異動がほとんど存在しない閉鎖的な組織、顧客仕様を逸脱しても一定程度なら出荷しても構わないといった誤った考え方が動機となり、不適切行為を継続させる要因となった。
- 一、改竄、捏造を可能とする検査プロセス、単独かつ固定化した業務体制、順守が困難な社内規格の設定があった。
再発防止策
- 一、社外取締役を3分の1以上とする。会長職を廃止して、社外取締役の中から議長を選出し、任意の諮問機関である指名・報酬委員会を設置する。コンプライアンスと品質を総括する取締役をそれぞれ配置する。
- 一、品質保証人材を全社共通の専門人材と位置づけ、事業部門・事業所間を横断したローテーションや育成を行う。
- 一、試験・検査記録の自動化を進め、データ入力の1人作業をできるだけなくす。新規受注時の承認プロセスを見直す。
おわりに
- 一、コンプライアンス体制のみならず、組織風土や役員・社員の意識の面で根深い問題を抱えている。信頼を失ったことは痛恨の極みで、不退転の決意で再発防止に努める。
2018年7月19日、東京地方検察庁特別捜査部は、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で法人としての神戸製鋼所を起訴した。法人とともに書類送検された工場の担当者4人はいずれも不起訴処分とした[24]。2019年3月13日、立川簡易裁判所は神戸製鋼所に対し罰金1億円を言い渡した[25]。
参考文献
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 |
- 『メイド・イン・ジャパン-日本製造業変革への指針-』(ダイヤモンド社、1994年)
- 『産業技術短期大学大学案内2011』(産業技術短期大学、2010年)
- 『産業技術短期大学五十年のあゆみ』(学校法人鉄鋼学園 産業技術短期大学、2012.4.25)
ほか
注釈
- ^ 神戸製鋼所が25%の株式を保有。
- ^ 社長は町井久之。会長には児玉誉士夫が就いた。
- ^ 那須白河高原。通称「台上開拓地」。1962年に反あたり5万円で国有地を払い下げて77戸の開拓者を入植させていた。このとき、営農資金が融資された。やがて返済に困った入植者から、反あたり12万円前後で東亜相互企業が買い上げていった。
- ^ 東亜相互企業から小田倉の土地を買った企業は、神戸製鋼の他に、ロッテ、住友建設、住友不動産、東海興業、日商岩井、野村住宅産業などがある。
- ^ 神戸製鋼は購入のために日本不動産銀行から15億円の融資を受けていた。
- ^ この土地は一部切り売りした後も1974年時点で51万m²を活用しないまま放置していた。
出典
- ^ 四半期報告書(第166期第2四半期)
- ^ 田中彰「六大企業集団の無機能化 : ポストバブル期における企業間ネットワークのオーガナイジング」、『同志社商学』64巻5号、同志社大学商学会、doi:10.14988/pa.2017.0000013201、NAID 110009605659 pp. 330-351
- ^ “メンバー会社一覧”. みどり会. 株式会社みどり会. 2024年3月19日閲覧。
- ^ a b c “神鋼 神戸の高炉31日停止 製鉄の火燃やし59年”. 神戸新聞. (2017年10月31日) 2017年10月31日閲覧。
- ^ 黒川勇熊 - コトバンク
- ^ 永安晋次郎 - コトバンク
- ^ 田宮嘉右衛門 - コトバンク
- ^ 浅田長平 - コトバンク
- ^ 『1940年6月14日官報』、商工大臣藤原銀次郎。
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、131頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ 竹森久朝 『見えざる政府-児玉誉士夫とその黒の人脈』 白石書店 1976年 P150-157
- ^ 神戸製鋼株主訴訟が和解 橋梁談合、コンプラ委も設置 産経新聞 2010年2月10日
- ^ 神戸製鋼が選挙資金肩代わり 地方選2700万円 社長と会長辞任へ 産経新聞 2009年2月10日
- ^ 所得隠し:神鋼が7年間で4億円、申告漏れは29億円 毎日新聞 2009年9月19日
- ^ 神戸製鋼グループで29億円申告漏れ 産経新聞 2009年9月18日
- ^ . 神戸製鋼:9億円所得隠し 大阪国税局指摘 毎日新聞 2011年7月16日
- ^ 神戸製鋼所、11億9千万円申告漏れ…国税指摘 読売新聞 2013年6月28日
- ^ 神戸製鋼グループ会社、バネ用鋼材の強度改ざん 読売新聞 2016年6月9日
- ^ MSNマネー - 神戸鋼株が連日の大幅安、鉄粉などでもデータ改ざんか-影響懸念 (2)
- ^ 日本経済新聞 - 神戸製鋼副社長「改ざん、10年近く前から」 一問一答 管理職も把握、組織ぐるみ認める 2017/10/8 18:23
- ^ 「新日鉄住金社長「できることあればする」 神鋼問題」日本経済新聞2017/10/17 23:00 [有料会員限定]
- ^ “神戸製鋼 最終報告書の要旨”. 毎日新聞. 毎日新聞社 (2018年3月6日). 2018年3月6日閲覧。
- ^ 『当社グループにおける不適切行為に関するご報告』(プレスリリース)神戸製鋼所、2018年3月6日 。2018年3月6日閲覧。
- ^ “データ改ざん、神鋼を起訴 担当者4人は不起訴 東京地検特捜部”. 神戸新聞 (2018年7月19日). 2022年1月10日閲覧。
- ^ “データ改ざんで神戸製鋼に罰金1億円判決”. 朝日新聞 (2019年3月13日). 2022年1月10日閲覧。
- ^ 阪神甲子園球場マウンド広告に神戸製鋼所が初協賛
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