無罪 「無罪」と「無実」

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無罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 01:51 UTC 版)

「無罪」と「無実」

「無罪」と類似する概念に「無実」がある。「無罪」の本来的な用法は、犯罪について構成要件該当性・違法性・有責性の観点から証明が認められないという司法判断であるのに対し、「無実」は司法判断ないしは裁判制度などに制約されない絶対的な真実として「事実がない」ということを指す、との使い分けが一般的である。無罪判決が出ても、構成要件該当性・違法性・有責性の観点から犯罪の証明が認められないだけで、反社会的行為を行ったと認定されることはある。その意味では、無実と無罪は近似する概念ではあるが必ずしもイコールではない。歴史的な経緯もあって一般的には「罪がないのに罪を犯したとされること(冤罪)」を、「無実の罪」と称することも少なくない[7]

not proven

スコットランドの裁判では判決が3通りある。conviction(有罪)、not guilty(無罪)の2つは日本やその他の国々と同じだが、この他にnot proven(証拠不十分)というものがあり、not guiltyと同様に被告は釈放となる。著名な事件ではマドレイン・スミス(Madeleine Smith)による愛人毒殺事件の裁判でnot provenの判決が下されている。

灰色無罪

疑わしいにもかかわらず証拠不十分などのために言い渡される無罪判決は、灰色無罪と俗称される[8][9][10][11]。灰色無罪は、真犯人の判明やDNA鑑定などで証明された完全無罪とは本質的に異なるが、法律の上で両者を区別する規定はない。

灰色無罪の例

完全無罪の例

参照

[脚注の使い方]

  1. ^ a b 三井誠、酒巻匡『入門刑事手続法 第6版』有斐閣、2014年、227頁
  2. ^ a b c d 『歴史学事典 9 法と秩序』弘文堂、2002年、363頁
  3. ^ a b c d e f g 『歴史学事典 9 法と秩序』弘文堂、2002年、364頁
  4. ^ a b 渡辺直行『刑事手続法 補訂版』成文堂、2011年、337頁
  5. ^ a b c 三井誠、酒巻匡『入門刑事手続法 第6版』有斐閣、2014年、232頁
  6. ^ 渡辺直行『刑事手続法 補訂版』成文堂、2011年、350頁
  7. ^ 広辞苑大辞林
  8. ^ 『法学研究』第49巻p.50(慶應義塾大学法学部法学研究会、1976年)
  9. ^ 菊田幸一『死刑廃止・日本の証言』(三一書房、1993年)p.52
  10. ^ 野村二郎『日本の検察』(日本評論社、1977年)p.69
  11. ^ 松下竜一『松下竜一その仕事』(河出書房新社、1999年)p.102
  12. ^ 久保田誠一『グレイゾーン―O.J.シンプソン裁判で読むアメリカ』(文藝春秋、1997年)
  13. ^ 『諸君』1996年第28巻21頁
  14. ^ 『架橋』2008年3月号、平山咲子「北方事件・たった一人の支援 ― 田崎以公夫さんのライフ・ヒストリー ―」30頁
  15. ^ 『文藝春秋』1996年第74巻338-344頁
  16. ^ 『道新today』2001年7月号「城丸君事件無罪なら恵庭OL事件は真っ白だ」
  17. ^ 『週刊FLASH』2014年11月25日号
  18. ^ 『赤旗』2012年4月29日付「陸山会事件判決 識者の声 黒に近い灰色判断」
  19. ^ 『再審通信』第100号、笹森学「菅家さんに「完全無罪」─足利事件に再審無罪判決」
  20. ^ a b 犯罪事件研究倶楽部『日本凶悪犯罪大全 SPECIAL』
  21. ^ 公開シンポジウム 「志布志事件とメディア」―なぜ「架空の事件」を見抜けなかったのか―
  22. ^ 朝日ジャーナル』1988年、第30巻、第13~18号95頁
  23. ^ 北日本新聞』1988年2月10日朝刊一面1頁「M死刑 ○○被告は無罪 富山・長野連続誘拐殺人に判決 単独犯行、共謀ない 自白の信用性否定 M側控訴」(北日本新聞社)
  24. ^ 『北日本新聞』1992年4月1日朝刊一面1頁「富山・長野連続誘拐殺人控訴審 ○○被告無罪 M被告は死刑 名高裁金沢支部 1審支持、共謀否定 単独犯行と認める M被告きょう上告」(北日本新聞社)
  25. ^ 『北日本新聞』1992年4月15日朝刊第一社会面25頁「富山・長野連続誘拐殺人 ○○さんの無罪確定 事件発生から12年」(北日本新聞社)


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