y=f(x)とは? わかりやすく解説

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関数 (数学)

(y=f(x) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/02 01:42 UTC 版)

数学における関数(かんすう、: function: fonction: Funktion: functie: functio函数とも書かれる)とは、かつてはある変数に依存して決まる値あるいはその対応を表す式のことであった。この言葉はゴットフリート・ライプニッツによって導入された。その後定義が一般化され、現代では集合に値をとる写像の一種であると理解されるものとなった。

名称表記の歴史

日本語としての関数はもともと「函数」(旧字体函數)と書いた。函数という語は中国語から輸入されたものであり、中国での初出は1859年に出版された李善蘭の『代微積拾級』といわれる。既にオランダを通じて西洋数学(特に微積分)を勉強していた神田孝平らが翻訳の際に参考にしたとされる[1][2]

微積分について日本語で書かれた最初の本、花井静校・福田半編『筆算微積入門』(1880年) では「函数」が用いられている[3][4]。それに続く長澤龜之助訳『微分学』(1881年)、岡本則録訳『査氏微分積分学』(1883年) のいずれも用語を『代微積拾級』、『微積遡源』(1874年) などによっている[4]。明治初期に東京數學會社で数学用語の日本語訳を検討する譯語會が毎月開催され、その結果が『東京數學會社雑誌』で逐次報告されている。この報告に function の訳語は第62号 (1884年) の「原數」[5]と第64号 (1884年) の「三角法函數」[6]の二種類が登場する。一方、同誌の本文では61号 (1884年) や63号 (1884年) で「函數」が用いられている[7]

「函」が漢字制限による当用漢字に含まれなかったことから、1950年代以降同音の「関」へと書き換えがすすめられた[8]。この他、「干数」案もあった[9]学習指導要領に「関数」が登場するのは中学校で1958年、高等学校で1960年であり、それまでは「函数」が用いられている[注釈 1]。「関数」表記は 1985 年頃までには日本の初等教育の段階でほぼ定着した[10]

「函数」の中国語における発音は(拼音: hánshù) であり、志賀浩二小松勇作によればこれはfunctionの音訳であるという[10][11]。一方、『代微積拾級』には「凡此變數中函彼變數則此爲彼之函數[12]とあり、これは変数を包む、含む式という意味で定義されていると解釈できる[2]。また変数に天、地などの文字を用いて「天 = 函(地)」という表記もある。片野善一郎によれば、「函」の字義はつつむ、つつみこむであるから、「天 = 函(地)」という表現は「天は地を函む」ようにみえ[3]、従属変数(の表現)に独立変数が容れられている[4]という意味であるという。

入力 x に対して、「ブラックボックス f」が f (x) を出力する

なお、現代の初等教育の場においてはしばしば関数をブラックボックスのたとえで説明することがある[4][13][14]。この説明では、「函」を「はこ」と読むことと関連付けて説明されることもあるが、「函数」の語の初出は1859年なのに対し、「ブラックボックス」の語の初出は1945年ごろとされることに注意を要する。

概要

素朴な定式化

二つの変数 xy があり、入力 x に対して、出力 y の値を決定する規則(x に特定の値を代入するごとに y の値が確定する)が与えられているとき、変数 y を「x独立変数 (independent variable) とする関数」或いは簡単に「x の関数」という。対応規則を明示するときは、適当な文字列(特に何か理由がなければ、function の頭文字から f が選ばれることが多い)を使って y = f (x) と書いて、x = a を代入したときに決まる関数の値を f (a) と表す。しかしここで、定数関数の例に示されるように、個々の y の値について対応する x の値が一つに決まるとは限らない事に注意しなければならない。この f (x) という表記法は18世紀の数学者レオンハルト・オイラーによるものである。オイラーは、変数や定数を組み合わせてできた数式のことを関数と定義していたが、コーシーは、上に述べたように y という変数を関数と定義した。

yx の関数であることの別の表現として、変数 y は変数 x従属するとも言い、y従属変数 (dependent variable) と言い表す。独立変数がとりうる値の全体(変域)を、この関数の定義域 (domain) といい、独立変数が定義域のあらゆる値をとるときに、従属変数がとりうる値(変域)を、この関数の値域 (range) という。

関数の終域は実数体

各年のアメリカにおける交通事故死者数を折れ線グラフで示した函数
同上(棒グラフ版)

与えられた函数

一次函数のグラフ
多項式函数(ここでは二次函数)のグラフ
二つの三角函数(正弦と余弦)のグラフ

実函数とは「実変数」「実数値」の函数、つまり実数全体の成す集合を終域とし実数からなる適当な区間を含む部分集合を定義域とする函数を言う。以下本節では、そのような函数を単に函数と呼ぶことにする。

数学及びその応用分野において最もよく扱われる函数はさらに適当な正則性条件(連続微分可能関数あるいは解析関数など)が課せられる。このような正則性があることによって、函数はそのグラフを用いてよく視覚化することができる。以下、適当な区間上で微分可能であるような函数だけを扱う。

函数は点ごとの演算が備わっている。つまり、函数 f, g に対して、それらの和・差・積を




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