lofarとは? わかりやすく解説

LOFAR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/03 15:28 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
LOFAR
コア・ステーション1(CS-1)のLOFARプロトタイプアンテナ。
運用組織 ASTRON
設置場所 オランダドイツ他欧州各国
座標 北緯52度54分32秒 東経6度52分08秒 / 北緯52.90889度 東経6.86889度 / 52.90889; 6.86889座標: 北緯52度54分32秒 東経6度52分08秒 / 北緯52.90889度 東経6.86889度 / 52.90889; 6.86889
観測波長 30 - 1.3メートル (電波)
建設 2006年 –2012年  (2006年 –2012年 )
観測開始年 2009年
形式 ダイポールアンテナ・電波干渉計
口径 1000km以上
開口面積 1平方キロメートル
架台 固定式
ウェブサイト http://www.lofar.org
テンプレートを表示


LOFARは、LOw Frequency ARrayを意味する電波望遠鏡である。LOFARはオランダ天文学研究組織ASTRONによって建設がおこなわれており、ASTRON電波天文台によって運営される予定である。LOFARは多数の電波望遠鏡をひとつの巨大な電波望遠鏡として用いる電波干渉計であり、オランダの他に少なくとも5台の電波望遠鏡がドイツに、少なくとも1台の電波望遠鏡がイギリスフランススウェーデンに設置される予定である。また、ポーランドウクライナにも電波望遠鏡を設置し、総集光面積を1平方キロメートルにする構想も練られている、LOFARによって得られたデータの処理はフローニンゲン大学に設置されたスーパーコンピュータ ブルージーンPによって行われる。

技術的情報

96台のダイポールアンテナからなる直径60mのLOFARステーション(手前)とエフェルスベルク100m電波望遠鏡(奥)。双方とも、ドイツ・ボンにあるマックスプランク電波天文学研究所が運用する。

LOFARは250MHzよりも低周波な電波を用いた観測天文学において、既存のものを大幅に上回る感度を有する電波望遠鏡として計画された。天体観測に使われる電波干渉計は、パラボラアンテナダイポールアンテナなどを並べたものである。LOFARは既存の電波望遠鏡の多くの特徴を併せ持っている。特に、全方向ダイポールアンテナを1950年代に発展した開口合成の手法を用いてひとつの電波望遠鏡として機能させる。LOFARの設計は可動部がなく、安価に製作できるアンテナを用いている。観測する方向は電気的にアンテナ間で位相をずらすことによって行う。LOFARは一度に複数の方向を観測することができ、このため複数の観測者が一度にこの望遠鏡を使って観測することができる。

LOFARの各アンテナで得られた電気信号はデジタル化され、中央データ処理装置に送られたのちにソフトウェア上で合成され、電波写真が作成される。LOFARの建設コストの大半は電気回路のコストが占めるため、ムーアの法則にのっとれば次第に低価格になってきており、このために大規模な電波望遠鏡を建造することができるようになった。アンテナは単純な構造ではあるが、全部で1万台が必要になる。良質な電波写真を作製するために、LOFARのアンテナは直径1000キロメートルを超える範囲に展開される。LOFARの第一段階では、オランダ国内の36か所(ステーション)に6000台のアンテナが設置され、最大基線長は100キロメートルである。最初の試作機は2006年から試験運用が行われている。20のステーションが建設中であり、さらに16のステーションの建設が2010年に開始される。ドイツでは5つのステーション(ボン(エフェルスベルク)、Garching/Unterweilenbach、ポツダム、Tautenburg、Ju"lich)を建造するための予算が配分されている。エフェルスベルク電波望遠鏡の近くにあるステーションは2007年11月から運用が行われている。UnterweilenbachとTautenburgのステーションは建設中である。オランダとドイツのステーションを結んでの実験は2008年から行われている。イギリス、フランス、スウェーデンではそれぞれひとつのステーションを建造する予算が配分されている。データ転送には1ステーションあたり秒間数ギガビットが必要で、全体のデータ処理には数十テラフロップスの速度が必要である。

感度

LOFARの目的は、10 - 240MHzの周波数帯において、既存のケンブリッジカタログ、超大型干渉電波望遠鏡群巨大メートル波電波望遠鏡を用いた観測に比べて高い空間分解能と感度で宇宙を観測することである。LOFARは、さらに次の世代の電波望遠鏡であるスクエア・キロメートル・アレイが完成するまで、この周波数帯では最も感度の高い電波望遠鏡になる。

科学研究

低周波の電波で見ると、空には小さな明るい天体が目立つ。図は、銀経140° to 180°、銀緯-5° to 5°の銀河面。高感度観測によってLOFARはこの明るい天体の間にあると思われる暗い構造を描き出す。

LOFARで得られる高い感度と空間分解能により、これまで不可能だった新たな天文学観測や地球観測が可能になる。

以下の表では、LOFARで観測ができる天体の赤方偏移

フローニンゲン大学計算センターのある'Zernikeborg'ビル, which houses the University of Groningen's computing center

2005年4月26日、LOFARのデータ処理のためにIBMのスーパーコンピューターBlue Gene/Lフローニンゲン大学数学センターに導入された。当時、このスーパーコンピューターはバルセロナのMareNostrumに次いでヨーロッパ第2位の計算速度を持っていた[3]

2006年の8月から9月にかけて、LOFARの最初のステーション(Core Station 1, 略称 CS1 北緯52度54分32秒 東経6度52分8秒 / 北緯52.90889度 東経6.86889度 / 52.90889; 6.86889)が試験機材によって構築された。ダイポールアンテナ96台が、アンテナ48台の中央クラスターと16台のクラスターの計4つに分けられている。それぞれのクラスターの大きさは100メートルであり、4つのクラスターは直径約500m内に配置されている。

2007年11月、オランダ国外の最初のLOFAR国際ステーション (Germany 1あるいはDE601)が、ドイツのエフェルスベルク100m電波望遠鏡の隣に設置され運用が始まった。また、LOFAR中心部の外縁に位置する初の本格ステーションCS302が2009年5月に完成し、2009年の終わりまでにオランダ国内に23のステーションが完成する予定である。[4].

関連項目

外部リンク

参考

  1. ^ LOFAR Science Case: Ultra High Energy Cosmic Rays
  2. ^ Galactic magnetic fields
  3. ^ TOP500 List - June 2005
  4. ^ Wise, M: LOFAR Technical Status: Introduction and Timelines, May 2009
  • LOFAR as a Probe of the Sources of Cosmological Reionisation. (preprint: astro-ph/0412080)
  • LOFAR, a new low frequency radio telescope. (preprint: astro-ph/0309537)
  • LOFAR: A new radio telescope for low frequency radio observations: Science and project status. (preprint: astro-ph/0307240)
  • LOFAR in Germany. (reprint from Advances in Radio Science: [1])
  • Das Square Kilometre Array (in German). (reprint from Sterne und Weltraum 9/2006: [2])

座標: 北緯52度54分31.55秒 東経6度52分08.18秒 / 北緯52.9087639度 東経6.8689389度 / 52.9087639; 6.8689389


LOFAR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 02:28 UTC 版)

SOSUS」の記事における「LOFAR」の解説

当時ベルリン封鎖などを通じて冷戦構造顕在化しつつあり、ソ連対す備え必要性叫ばれていたが、ソ連海軍ズールー型やウィスキー型など、UボートXXI型に範をとった水中高速潜の配備進めていたことから、対潜戦能力整備には高い優先度与えられた。この一環として1950年よりハートウェル計画発動された。この研究は、500ヘルツ以下という超低周波対象として、最低限20波長上のソナー・アレイを作り500ヘルツなら60メートル100ヘルツなら300メートル)、深海サウンドチャネル利用して長距離探知を行うもので、リアルタイムスペクトル分析を行うことも提言された。一方潜水艦開発グループからは、8分の1オクターブフィルター使用した潜水艦探知や、100ヘルツピークとして25ヘルツから200ヘルツという低周波潜水艦音響信号発見公表された。またベル研究所参加したジェジベル計画Project Jezebel)では、低周波音分析および記録low frequency analysis and recording, LOFAR)のためのパラメーター明らかにされ、分析幅1~0.5ヘルツのリアルタイム・スペクトル分析器が提案された。 1951年には、バハマ・エルーセラ島にハイドロフォンをつけたブイ6つ3つ水深12メートル2つ293メートル1つ305メートル)と、ハイドロフォン40個から構成される長さ305メートルのリニアアレイ1つ水深439メートル)が設置され1952年4月には、将官達の前でデモンストレーション成功させた。これを受けて全米研究評議会水中戦委員会はLOFARを潜水艦探知ブレークスルー宣言し海軍シーザー計画開始した。この計画では、長距離探知類別システム製造設置についてベル研究所契約締結し、この契約をもってシステム名SOSUS称されるようになった

※この「LOFAR」の解説は、「SOSUS」の解説の一部です。
「LOFAR」を含む「SOSUS」の記事については、「SOSUS」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「lofar」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「lofar」の関連用語











lofarのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



lofarのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのLOFAR (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、WikipediaのSOSUS (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS