ジェジベル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 08:32 UTC 版)
ジェジベル(Jezebel)戦術は、捜索海域に一定間隔でDIFARソノブイを敷設し、上空を飛行しつつそれをモニターして、潜水艦が発したと思われる音響信号を捉えることで位置を局限化するものであり、捜索の原理そのものは簡単である。 これを実用化するためには、海中の音響を微小単位で周波数分析する技術の開発が必要であった。海中に敷設したソノブイからの音響を、極めて低い周波数帯で連続して周波数分析し、表示装置に時間経過とともに描かれる分析結果の特性を解析することよって、潜水艦を探知するのである。またこの戦術では、数理統計学的な考え方が基礎になっており、潜水艦の位置を、ピンポイントではなく存在する確率50%の海域として求める位置局限の方法を採っていた。信頼確度が高ければ、存在可能海域は小さな円形に、低ければ大きな円形になり、戦術の経過図を見ると大小の円が間欠的に連なって潜水艦の航跡を示しているのが分かる。 対潜哨戒機における究極の対潜戦術として期待されてきたが、十分な効果をもって実施するには、音響信号処理および捜索理論の持続的な開発・改良が必要であった。アメリカ海軍ではP-3Aより本格的に導入しており、海上自衛隊でも、1966年にP2V-7対潜哨戒機6機をハワイに派遣した際に、P-3A用のウェポンシステムトレーナーとジェジベル訓練装置による訓練を受けて、ジェジベル戦術導入の幕開けとなった。またP-2Jでは改良型のジェジベル装置が搭載されており、1970年代中盤には、「対潜作戦は航空集団に任せよ」というほどに自信を持ち始めていた。これを受けて護衛艦隊でも、昭和51年度末より艦艇近傍でジェジベル戦術を展開する"Closed Jezebel Operation"の検討に着手し、固定翼機によるソノブイ戦術との連携を模索したが、後に方針を転換して、艦載ヘリコプターによるソノブイ戦術が導入されることになった。
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