VVVFインバータ制御の実用化試験
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「東急6000系電車 (初代)」の記事における「VVVFインバータ制御の実用化試験」の解説
1984年6月、最初にB編成の先頭車デハ6202がVVVFインバータ制御へ改造され、制御装置は日立製作所製のもの(誘導電動機は165 kW)に、台車は東急車輌のTS-1003形へとそれぞれ交換された。この際、デハ6202とユニットを組むデハ6201は制御付随車代用として使用され、デハ6202の回生ブレーキと連動し、常用制動で空気ブレーキを停止寸前まで使用しない“遅れ込め制御”に対応する改造がなされた。 東横・田園都市・目蒲(当時)の各線で試運転を行った後、1984年(昭和59年)7月25日から9月18日まで大井町線で営業運転が行われた。これは直流1,500 V区間の高速電車としては日本初の営業運転であった。 当時、4,500 V耐圧のGTO素子は開発途上であり、2,500 V耐圧のものを2個直列に使用し理論上の定格電圧を5,000 Vまで上げるなど、未だ開発途上を伺わせる機器構成である。まだ安定性を欠くシステムゆえ、営業運転時は乗務員とは別に技術者が添乗したり、期間中不具合により長期に渡って営業を離脱したこともあった。 1985年3月にはデハ6302に東芝製(2,500 V耐圧×2)の、6002号には東洋製(4,500 V耐圧)の制御器が搭載され、同時に6202のGTO素子も4,500 V耐圧のものに交換されている。なお、この際交換された6302と6002の台車は8000系用のTS-807形であり、ボルスタレス台車ではない。また、いずれもユニットを組む6301と6001は6201同様付随車扱いとされ、ブレーキ遅れ込め制御も同様に対応する仕様となった。この現車試験中に6000系VVVFインバータ制御車は営業運転にも用いられており、度重なる編成変更を経て全車両をVVVFインバータ制御とした編成に組み直され、同年7月1日から11月頃まで再び大井町線で営業運転が実施された。 この現車試験結果は早速新製車9000系(日立製主制御器)や改造車7600系・7700系(ともに東洋製主制御器)に反映され、以後の新規製造車は8590系や8500系の増備車など一部を除きすべてVVVFインバータ制御・交流モーター車となった。ただし、東芝製の制御装置は、この時点では採用されず、東急においては1999年(平成11年)に落成した新3000系偶数編成以降で本格採用が開始された。その後これら3社の他にも、300系や2020系・6020系において三菱電機製の主制御器を採用している。 これらは、試験終了後の1986年(昭和61年)1月頃に休車となり、8090系後期型の投入の影響により玉突きで東横線から大井町線に転属された7000系に置き換えられてそのまま廃車された。
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