【S-76】(えすななじゅうろく)
Sikorsky S-76
シコルスキー社の民間向け軽量双発ヘリコプター。
1975年に開発計画が公表され、1976年に試作が始まったためS-76の番号が与えられた。
防振機構や複合材製の胴体、前輪式の引き込み式ランディングギアなどを備えており、ベル222の対抗馬としての意味合いが強いと考えられる。
初飛行はベル222から半年遅れた1977年3月となったが、本機はキャビンが広いうえ、高度な計器飛行能力やチタニウム製のローターヘッドなど、UH-60譲りの技術を採り入れており信頼性が高く、高級中型ヘリコプターの市場で好評を博した。
民間向けということもあり、武骨な軍用ヘリコプターの多いシコルスキー社製品の中では、細くて流麗な機体である。
本機よりもやや大きめのキャビンを持つS-70が非常に高価であるため、民間市場ではシコルスキーを代表する機種となっている。
ビジネス用途の他、警察・消防・救難などではS-70を導入したいが予算の都合で代わりにS-76を購入するケースが多く、高級機でありながら「貧者のブラックホーク」と揶揄されることもある。
逆に本機をベースとした軍用型のH-76「イーグル」も提唱されたが、こちらは実現していない。
S-76B
スペックデータ
乗員 | 2名+12名 |
全長 | 16.0m |
主ローター直径 | 13.41m |
全高 | 4.414m |
回転円板面積 | 141.261㎡ |
空虚重量 | 3,177kg |
全備重量 | 5,306kg |
最大離陸重量 | 5,306kg |
エンジン | アリソン(現ロールス・ロイス plc)250-C30ターボシャフト×2基(S-76A) チュルボメカ アリエル1Sターボシャフト(700shp)×2基(S-76A+) P&W・C PT6B-36Aターボシャフト(960shp)×2基(S-76B) チュルボメカ アリエル 1S1ターボシャフト(725shp)×2基(S-76C) チュルボメカ アリエル2S1ターボシャフト(650shp)×2基(S-76C+) チュルボメカ アリエル2S2ターボシャフト×2基(S-76C++) |
超過禁止速度 | 155kts |
航続距離 | 345nm(30分・予備燃料) |
派生型
- S-76A:初期型。エンジンはアリソン250-C30双発。
- S-76A+:エンジンをアリエル1S双発に変更し、出力向上。
- S-76B:エンジンをP&W PT6B-36双発に変更し、出力向上。
- S-76C:エンジンをアリエル1S1双発にした上でトランスミッションを強化し、ペイロードや航続距離を向上。
- S-76C+:エンジンをFADEC装備のアリエル2S1双発にしたうえ、グラスコックピットを導入。
- S-76C++:エンジンをアリエル2S2双発にした上でトランスミッションをさらに強化。
- S-76D:エンジンをPW210S双発にし、ローターをRAH-66の技術を反映させた新型に変更。防氷装置も追加可能。
シコルスキー S-76
(Sikorsky S-76 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 09:13 UTC 版)
新潟県消防防災航空隊のS-76B
- 1 シコルスキー S-76とは
- 2 シコルスキー S-76の概要
- 3 概要
- 4 日本での採用
- 5 外部リンク
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