NAG数値計算ライブラリとは? わかりやすく解説

NAG数値計算ライブラリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/21 13:47 UTC 版)

NAG ライブラリは、FortranC言語Java、などで使用可能な数値計算、統計解析用ライブラリであり、Numerical Algorithms Group(NAG社)により販売されている。

線型方程式、固有値問題、補間微積分、非線型方程式、微分方程式などの数学関数のほかに、相関係数共分散多変量解析乱数発生などの統計計算や金融工学に必要な関数を多く取り揃えている。WindowsLinuxSolarisHP-UXIBM AIXSGI IRIX, その他NEC富士通スーパーコンピュータなどのプラットフォームで動作する。英国 The Numerical Algorithms Group Ltd. が開発、日本国内では日本ニューメリカルアルゴリズムズグループ株式会社が販売、サポートを行なっている。 NAG数値計算ライブラリでは利用言語や環境などにより以下の5種類のライブラリが用意されている。

  1. 「NAG Fortran Library」:すでに40年以上の歴史を持ち1700以上の関数より構成される。(※最新バージョンMark24)
  2. 「NAG C Library」:C/C++言語の他、C#、VBA、Java等より利用可能(最新バージョン Mark24)
  3. 「NAG Library for SMP & Multicore」:(並列計算ライブラリとしてSMP環境用並列ライブラリ)(最新バージョンMark24)
  4. 「NAG Parallel Library」:(PCクラスタなどの分散メモリ環境用並列計算ライブラリ)

また各ライブラリのルーチンを組み込んだソフトウェアを販売できるコンポーネントライセンスも提供されている。

他のソフトウェアとの連携もはかられており、2007年には数式処理ソフトウエア Maple に NAG C library の使用を可能にするコネクター Maple-NAGConnector[1] が発売され、また MATLAB のための NAG Toolbox for MATLAB[2]や、グラフ作成・データ解析パッケージ Origin内蔵のOrigin C言語よりアクセス可能なNAGライブラリ[3]がある。

提供される関数

分類 関数
特殊関数
行列ベクトル操作
線型方程式
  • 一般連立線型方程式
  • 対称連立方程式
  • 三角連立方程式
  • 一般帯連立方程式
  • 対象帯連立方程式
  • LU分解
  • コレスキー分解
  • 疎行列連立方程式
  • 大規模スパース線型連立方程式ソルバー
固有値問題
特異値分解 (SVD)
最小二乗問題
高速フーリエ変換 (FFT)
畳み込み積分
曲線、曲面フィッティング、補間
  • エルミート補間
  • 1次元スプラインフィット
  • 2次元スプラインフィット
  • 修正シェパード法
  • チェビシェフ級数
最適化
  • 線型計画法 (LP)
  • 2次計画法 (QP)
  • 非線型最小二乗法
  • 非線型計画法
  • 一変量最小化
  • 拘束条件付き大規模スパース最適化問題
  • 拘束条件付き規模スパース二次計画問題 (QP)
非線型方程式
  • 多項式の根
  • 非線型方程式の根
  • 連立方程式の根
数値積分
  • 有限区間の数値積分
  • 無限区間の数値積分
  • 多次元積分
積分方程式
  • 線型フレッドホルム積分方程式
  • 非線型ヴォルテラ畳み込み方程式
  • アーベル型方程式
常微分方程式の数値解法
  • ルンゲクッタ法
  • 初期値問題
  • アダムス法
  • 後退差分方程式 (BDF)
  • 境界値問題
偏微分方程式
  • ヘルムホルツ方程式 (Helmholtz)
  • マルチグリッド
  • 楕円微分方程式
  • 放物型偏微分方程式
  • ブラックショールズ (Black Scholes) モデル
  • Bond
メッシュ生成
  • 反復法
  • Delaunay
  • Advancing-Front
オペレーションズリサーチ (OR)
  • 整数計画
  • 最短経路問題
統計分散関数 (偏差、確率)
乱数発生
一変量推定
回帰分析
多変量解析
一般化線型モデル (GLM)
分散分析 (ANOVA)
時系列分析
  • ARIMAモデルフィット
  • ARMAモデルフィット
  • 予測
  • 伝達関数
  • スペクトル解析
  • ACF
  • PACF
生存解析
  • カプランマイヤ推定値
  • コックス・ハザード・モデル
  • 危険集合
ノンパラメトリック統計
  • コックススチュアート検定
  • ウィルコクソン検定
  • ラン検定
  • マクネマー検定
  • マン・ホイットニー検定
  • フリードマン検定
  • クラスカルウォリス検定
  • コクランQ検定
  • コルモゴロフ・スミルノフ検定
  • ケンドールの合致係数
  • ケンドールの階数相関

脚注

  1. ^ Maple-NAGConnector 製品紹介ページ
  2. ^ NAG Toolbox for MATLAB 製品紹介ページ
  3. ^ OriginにおけるNAGライブラリ紹介ページ

関連項目

外部リンク


NAG 数値計算ライブラリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/09 09:55 UTC 版)

Numerical Algorithms Group」の記事における「NAG 数値計算ライブラリ」の解説

NAG数値計算ライブラリ は NAG の最も初期の、かつ最もよく知られ製品である。最初Algol 60Fortranライブラリである Mark 1 という名前で英 ICL 社のメインフレーム用の版が1971年リリースされた。その後 Fortran ライブラリ一部をベクトル・アーキテクチャ (Cray-1) に対応させたものが1983年リリースされた。C言語版 The NAG C Library, Mark 1 の開発1990年始まっている。2005年9月Fortran ライブラリMark21 が、同年11月C ライブラリMark 8リリースされている。

※この「NAG 数値計算ライブラリ」の解説は、「Numerical Algorithms Group」の解説の一部です。
「NAG 数値計算ライブラリ」を含む「Numerical Algorithms Group」の記事については、「Numerical Algorithms Group」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「NAG数値計算ライブラリ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「NAG数値計算ライブラリ」の関連用語

NAG数値計算ライブラリのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



NAG数値計算ライブラリのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのNAG数値計算ライブラリ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、WikipediaのNumerical Algorithms Group (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS