Mk_33_3インチ砲とは? わかりやすく解説

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Mk 33 3インチ砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/10 02:00 UTC 版)

Mk.33 3インチ砲
種類 艦砲
原開発国 アメリカ合衆国
運用史
配備期間 1948年 - 現在
関連戦争・紛争 ベトナム戦争
諸元
重量 14.3~14.7 t[1]
銃身 50口径長

口径 3インチ (76 mm)
仰角
  • -15°/+85°
  • 俯仰速度: 24°/s
旋回角
  • 714°
  • 旋回速度: 30°/s
  • 発射速度 45発/分 (砲身ごと)
    初速 823 m/s[2]
    最大射程 12,000 m[2]
    テンプレートを表示

    Mk.33 3インチ連装速射砲は、アメリカ海軍艦砲システム。また日本製鋼所でのライセンス生産モデルは、海上自衛隊68式50口径3in連装速射砲として制式化された[2][注 1]

    来歴

    第二次世界大戦後期のアメリカ海軍軍艦が搭載した対空兵器は、艦種にかかわらず、遠距離用として38口径12.7cm砲(方位盤はMk.37)、中距離用として56口径40mm機銃(方位盤はMk.51)、近距離での最終防御用として70口径20mm機銃(照準器はMk.14)の3種類に統一されており、部隊の縦深的な防空網が構築されていた[3]

    しかし日本軍の航空攻撃は苛烈極まりないものであり、特に大戦末期の特別攻撃(特攻)やロケット特攻機(桜花)に対しては、この防空システムでも万全ではなかった。この問題への対策の一環として、近接信管を使用できる中口径速射砲で56口径40mm機銃を代替することになり、1944年末よりノーザン・ポンプ社によって開発が開始された。原型砲が完成したのは1945年9月となり、第二次世界大戦には間に合わなかったが、1948年に制式化され[4]、各種艦艇の個艦防空手段として広く採用された[5]。まずMk.27が実用化されたのち、改良型のMk.33が広く普及することになった。また単装型のMk.34もある[1]

    設計

    前方からの写真 (空母ワスプ」搭載砲)
     
    後方からの写真(ドック型輸送揚陸艦「オースティン」搭載砲)

    本砲システムは、新型のMk.22砲を連装砲架と組み合わせている。Mk.22砲は、先行するMk.21砲と同様の50口径76mm砲だが、自動装填装置の導入により発射速度を飛躍的に向上させた[5][6]。なお砲身命数は2,050発であった[1]

    本砲は垂直鎖栓式の尾栓を採用しているが、その尾栓機構後部、砲尾両側にはロータリー式の自動装填機構を有している。砲側の給弾手は、2名ずつが左右両側に配置されており、砲架の後部に設置された回転式弾倉から弾薬を取り出し、自動装填機構に給弾する。装填された弾薬は左右交互に、砲の中心線上にある運弾樋上に落とされ、薬室内に装填される[5]。ただし給弾は人力であり、砲システム全体としては半自動砲となった。理論上の最大発射速度は毎分45発であったが、これを維持できるかは給弾手の技量と体力に依存していた[6]

    連装のMk.33砲の運用には、合計で11名の砲員を必要とする。その内訳は、砲台長1名、砲操縦手2名、装填手4名、給弾手4名である。また、砲側照準射撃を行なう場合にはさらに照準手1名を必要とし、このうち、給弾手4名以外は砲架上に配置される。給弾手は甲板上に配置され、弾薬庫や揚弾筒から弾薬を取り出し、砲架の後部に設置された回転式弾倉に装填する[5]。使用する砲弾完全弾薬筒方式で、重量は約11キログラムであった[2]

    砲架の旋回や砲の俯仰にはアンプリダイン英語版を採用した。元来は砲塔方式ではなく露天砲架方式であるが、砲および砲員を風浪より保護するために防盾を設置していることが多い。海上自衛隊においては、後部開放式と、全周密閉式の二種が使用された[5]

    運用

    アメリカ海軍や海上自衛隊、カナダ海軍など、各国で広く採用された[7]。海上自衛隊では68式50口径3インチ連装速射砲として制式化され、ライセンス生産も行われた[7]。また、みねぐも型護衛艦2番艦「なつぐも」からは、従来のアメリカ製に代わり国産のGFCS-1射撃管制装置の管制を受けるようになった[7]。2019年に、Mk 33を搭載していたポルトガル海軍ジョアン・コーチニョ級コルベット退役したことで、Mk 33/34はすべて退役した[7]

    採用艦艇

    Mk 33

    Mk 34

    脚注

    注釈

    1. ^ 制式化以前のモデルは「57式」と称された。
    2. ^ a b DDE改装時に後日装備
    3. ^ a b 後日装備

    出典

    1. ^ a b c Friedman 1997.
    2. ^ a b c d e 防衛庁 1968.
    3. ^ 香田 2015, pp. 78–81.
    4. ^ 香田 2015, p. 40.
    5. ^ a b c d e 梅野 2007, pp. 126–131.
    6. ^ a b 多田 2015.
    7. ^ a b c d Tomohiro Tada「世界の艦載兵器 第10回 艦載砲その1」『世界の艦船 2020年10月号(通巻第933集)』海人社、2020年9月15日、200-201頁。 

    参考文献

    関連項目


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