IBMの80欄カードと文字コード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 04:53 UTC 版)
「パンチカード」の記事における「IBMの80欄カードと文字コード」の解説
1928年、IBMは縦長の長方形の穴を採用し、80欄で各欄に12のパンチ位置があり、1欄(コラム)で1文字を表す形式のカードを設計した。寸法は 187.325 mm × 82.55 mm(.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}7+3⁄8×3+1⁄4インチ)である。材質は厚さ178μm(0.007インチ)の滑らかな紙である。重ねると、143枚で1インチの厚さ(約56枚で1cm)となる。1964年、IBMは四隅を丸めた形に変更した。通常、2000枚が箱に収められた形か、連続帳票形式で販売された。連続帳票型のカードは、事前に番号とそれに対応する穴を開けた状態で販売されており、例えば小切手など厳密な文書管理が必要な用途に使われた。 1つの欄には数字の0から9に対応する部分と、カード上方のY-X-0ゾーン(12-11-0ゾーンとも呼ばれた)がある。数値のみを格納するだけなら各欄に1つだけ穴を開ければよい。数値の正負の符号は、最下位桁のY-Xゾーンで表し、正ならY、負ならXをパンチする。Y-Xゾーンは他にもマスターレコードであることを示すなど、様々な意味で使われた。カードの最上端にパンチ内容に対応した文字も印刷できる。また、81番目の爛もあり、これはプログラムなどの複雑なカードをカード穿孔機・カード読取機が処理する場合に、穿孔・読取誤り防止用のチェックディジットとして使われた。 ______________________________________________ /&-0123456789ABCDEFGHIJKLMNOPQR/STUVWXYZ Y / x xxxxxxxxx X| x xxxxxxxxx 0| x xxxxxxxxx 1| x x x x 2| x x x x 3| x x x x 4| x x x x 5| x x x x 6| x x x x 7| x x x x 8| x x x x 9| x x x x |________________________________________________ その後、1欄に複数の穴を開けることで英大文字と特殊記号を表現するようになった。英字は2カ所に穴を開け(Y-X-0ゾーンと数字1-9)、特殊記号は3カ所に穴を開ける(Y-X-0ゾーンと数字2-7と数字8)。一部の特殊記号は1穴または2穴で表される(EBCDICの "&" は12(Y)のみ、"-" は11(X)のみ、"/" は 0 + 1)。これにより、ゾーン [12, 11] と数字 [1-9] の組合せが何を表しているかはその欄の使いかたに依存するようになった。例えば、"12-1" という組合せは英字があるはずの欄では "A" を表し、符号付き数値があるはずの欄では正の符号つきの数字 "1" を表し、符号がないはずの位置の数字 "1" なら "12" は別の何らかの意味を持つ。EBCDICは1964年に導入され、最大6箇所に穴を開けるようになった(ゾーン [12,11,0,8,9] + 数字 [1-7])。IBMや他の製造業者は80欄カードに様々な文字コードを採用した。1969年のANSI規格では128種類の文字のパンチカード上のコードを定義しており、ホレリスコード(Hollerith Punched Card Code または Hollerith Card Code)と呼ばれる。 用途によってはバイナリ形式が使われ、それぞれの穴が1つのバイナリディジット(ビット)を表し、各欄(列)が単なるビットフィールドとして扱われ、任意の組合せで穴を開けられる。例えば704/709/7090/7094シリーズ科学技術コンピュータで使われた IBM 711 カード読取装置は欄(列)ではなく1行を36ビットワードを2つ格納したものと解釈した(72欄を使用し、8欄は無視する。無視する8欄をどこにするかは読取装置のプラグボードで変更可能だが、通常右端の8欄を無視する)。この無視される8欄(通常、73-80)をシーケンス番号を入れるのに使うことがあり、カードデックを落としたときなどにソートするのに使った。IBM 1130やSystem/360といったコンピュータでは全ての欄を使った。IBM 1402 カード読取/穿孔装置では、縦の1欄に2文字を格納するコラムバイナリというモードを使い、3欄(3行)で36ビットワードを表した。しかし、多くの古い穿孔装置は1欄に3穴までしか穿孔できず、バイナリカードを作ることはできなかった。 バイナリモードの冗談として、全部の位置に穴を開けたカードを作ることもでき、それを "lace card" と呼んだ。そのようなカードはカードとしての強度が足りず、機械の中で曲がったり詰まったりする。 80欄のカード形式は市場をほぼ独占し、他の業者も生産していたがIBMカードと呼ばれていた。 最もよく使われたのは IBM 5081 というフィールド分割されていない汎用のパンチカードである。その品番と形式は US Government Standard Form 5081 として採用され、他社もその番号を品名に採用していた。そのためユーザーにもその品番が知られていた。
※この「IBMの80欄カードと文字コード」の解説は、「パンチカード」の解説の一部です。
「IBMの80欄カードと文字コード」を含む「パンチカード」の記事については、「パンチカード」の概要を参照ください。
- IBMの80欄カードと文字コードのページへのリンク