GAO調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:13 UTC 版)
「石油食料交換プログラム」の記事における「GAO調査」の解説
2003年のイラク侵攻およびその後の連合軍の勝利ののち、GAO(アメリカ合衆国政府会計局General Accounting Office:2004年にアメリカ合衆国政府説明責任局en:Government Accountability Officeへと改名。略称は共通してGAO)は、消失したフセイン政権との間に結ばれた石油食料交換プログラムに関する契約を終わらせるとともにフセイン政権のメンバーの個人財産を追跡する任務を受けた。この中で、GAOはプログラムの脆弱性によってリベートをはじめとするサッダーム・フセインの収入が生まれていたことを発見した。 GAOの見積もりでは、サッダーム・フセイン政権の生み出した不正収入は101億ドルとなっている。このうち57億ドルが石油の密輸入によるもので、44億ドルが石油の不法な石油価格の割り増し、および石油産出者に課した追加金によるものである。汚職は、GAOが以前に予測していたよりもはるかに大規模であった。GAOが引用しているアメリカ国防総省の調査によれば、759の契約が石油食料交換プログラムを通して結ばれ、その半分近くが平均21%の割増料金であったという。661委員会とは違い、安保理の加盟国には契約を調査し、意に沿わない契約を停止させる権利があった。イギリスとアメリカは数百の石油食料交換契約の申し込みを解除したが、この理由は主に、輸出されるのが多用途技術の品目であるという理由だった。 以下は、GAOのレポートの概略からの引用である。 国連事務総長はイラクプログラム室(OIP)に、安保理はイラク経済制裁委員会にそれぞれ関連して、どちらも石油食料交換プログラムの監督責任がある。とはいえ、イラク政府はイラク石油の購入者・物資供給者に対して直接交渉を行っており、これがイラク不正な追加料金・賄賂徴収を可能にした主要な原因であったとも考えられる。 アメリカ一般会計局(General Accounting Office 現政府説明責任局)のジョセフ・A・クリストフが公聴会にて語ったところによれば、国連の監査役は石油食料交換プログラムの内部監査の公開を断っていたという。ベノン・セバン(英語版)はコフィー・アナンの支持のもと、石油食料交換プログラムに契約していた者に対して、GAOやアメリカ議会の調査団に対して資料を提出する前に、セバンに相談するよう求める手紙を書いていた。プログラムはその一部始終で、よりオープンにするべきという批判と、所有財を公開されることへの企業の不満との両方にさらされていた。 国連は、GAOからの内部監査機密情報へのアクセス要求をすべて断っている。 石油食料交換プログラムの複雑な問題を明らかにして「ニューヨーク・タイムズ」紙面で発表する試みとして、民主制諸国防衛財団, FDD)およびハドソン協会(en:Hudson Institute アメリカの非営利シンクタンク)の調査ジャーナリストクラウディア・ロゼットは、国連は石油食料交換プログラムの契約者それぞれの特定可能な詳細情報、支援取引に含まれる物資の量・質・価格、石油バイヤーの身元・秘密事項とされた正確な取引量などを管理していたことを発見した。ロゼットはデニス・ハリデーやベノン・セバンから激しい批判を浴びた。石油食料交換プログラムからオリンピックスタジアムの誘致に資金が流れているという点や、国連決議に沿った際に、様々な問題のどこに責任が生じるかなど、ロゼットの主張の多くは事実に反すると主張した。 アメリカ下院国際関係委員会が石油食料交換プログラムを調査した結果、元・イラク駐ヨルダン大使のサバー・ヤッセン(Sabah Yassen)からパレスチナの自爆テログループに大使、1万5千ドルから2万5千ドルの資金提供が行われていたことが分かった。2000年9月からイラク侵攻まで、イスラエルとの衝突で死傷者を出したパレスチナのグループ(イスラエルで自爆テロを行った117人もこれに含まれる)は3千5百万ドル以上を受け取っていた。この資金源は石油食料交換プログラムではないかと考えられている。
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