Epic Gamesによる提訴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 07:29 UTC 版)
「Epic Games対Apple訴訟」の記事における「Epic Gamesによる提訴」の解説
2020年8月13日、Epic Gamesは、iOSおよびAndroidを含むすべてのプラットフォームにおけるゲームアプリ『フォートナイト』をアップデートし、Epic Gamesから直接購入(課金)できる決済システム「Epic direct payment」を実装、このシステムを介して購入した場合の「V-Bucks」(ゲーム内通貨)の価格を20パーセント引き下げた。iOSおよびAndroidユーザーがAppleまたはGoogleのストアを通じて購入した場合、この割引は適用されず、Epic Gamesはこの割引について、AppleとGoogleによる30パーセントの収益分配により適用できないと述べている。その後数時間のうちに、AppleとGoogleの支払い方法を回避する手段が規約違反となり、両方のストアから『フォートナイト』が削除された。 Epic Gamesはすぐに、アメリカ合衆国カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所において反トラスト法(独占禁止法)違反および反競争的行為を理由に、AppleとGoogleに対して個別の訴訟を起こした。いずれの訴訟もオバマ政権時代に米国司法省の反トラスト法部門において責任者を務めていたクリスティン・バーニー(英語版)を弁護士として起用した。また、Epic GamesはAppleに対する訴訟の一環として、Appleが当時、IBMに挑戦するために使用していた広告「1984」をパロディにした「Nineteen Eighty-Fortnite」と題した動画をYouTubeやゲーム内などで公開した。 Appleに対する訴訟では、App Storeとその支払い方法に関して、反トラスト法違反行為であるとし、これらは連邦シャーマン法とカリフォルニア州のカートライト法に違反していると非難した。Googleに対する訴訟では、Googleの過去のスローガン「Don't Be Evil(邪悪になるな)」に異議を唱え、Google Playストアとその支払い方法に関して、Appleの場合と同様にシャーマン法とカートライト法に違反していると主張した。Epic Gamesは、いずれの場合も損害賠償を求めていないが、その代わりに「数億人の消費者と、数万人ものサードパーティーアプリ開発者に直接影響を与えるこれらの2つの主要市場における公正な競争を許可する差し止めによる救済」を求めた。この翌日、スウィーニーは自身のTwitterにおいて、「私たちは、スマートフォンを買った人が自分で選んだソースからアプリをインストールする自由、アプリのクリエイターが自分の好きなようにアプリを配布する自由、その両者が直接ビジネスをする自由を求めて戦っている。」「主に訴えたいことは『スマートフォンのメーカーは何をしてもいい』ということ。これはひどい考えだ。私たちには権利があり、それを否定するものから権利を守るために立ち向かう必要がある」とコメントした。 8月18日、AppleはEpic Gamesに対し、8月28日までにApp StoreとiOSおよびmacOS向けの開発者アカウントとツールへのアクセスを終了すると通達した。これによりEpic Gamesは、iOSおよびmacOS向けの開発ツールへのアクセスを失うと、同社の開発するゲームエンジン「Unreal Engine」の開発やサポートにも影響を与え、同ゲームエンジンを使用するすべての開発者にも影響を与えるとし、これを阻止するとともに、Appleによる『フォートナイト』の削除を差し止める要請を行った。差し止め要請に対しAppleは、アプリの削除に先立つ6月、Epic GamesがApp Store上で『フォートナイト』を運営するために、ユーザーが直接Epic Gamesに支払うことができるようにするための特別な取引を電子メールで打診していた。しかし、Appleがこれを認めなかったため、8月13日のアップデート前にEpic Gamesから連絡があり、App Storeの規約に違反するつもりであることを表明していたと述べている。さらに、この「緊急事態」はEpic Gamesによる自作自演だとしている。スウィーニーはこれに対し、電子メールではEpic Gamesだけでなく、すべてのiOS開発者にこの種の免除を拡大することをAppleに求めていたと述べている。 8月23日、Epic Gamesはマイクロソフトの支持を受け、Appleに対する回答を提出した。具体的には、Unreal Engineを使用しているすべての開発者に影響を与えるとして、開発ツールへのアクセスの継続を求める内容であった。マイクロソフトは「AppleのSDKやその他の開発ツールへのEpic Gamesのアクセス権を拒否した場合、Unreal EngineのiOSとmacOS上でのをサポートを妨げることになり、Unreal Engineだけでなく、Unreal Engineを使用してゲームを開発したことがある、もしくは開発中・開発する可能性のあるゲームクリエイターは、実質的に不利な立場に置かれることになる。」と述べた。
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