フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ
(EC 3.1.3.11 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/03/17 10:35 UTC 版)
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ | |
---|---|
![]() フルクトース-1,6-ビスホスファターゼとフルクトース-2,6-ビスリン酸の複合体。PDB 3FBP.
|
|
基本データ | |
略号 | FBP1 |
遺伝子コード | FBP |
Entrez | 2203 |
HUGO | 3606 |
OMIM | 229700 |
RefSeq | NM_000507 |
UniProt | P09467 |
他のデータ | |
EC番号 | 3.1.3.11 |
遺伝子座 | Chr. 9 q22.3 |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ | |
---|---|
![]() |
|
ウサギ肝臓のフルクトース-1,6-ビスホスファターゼの結晶構造 | |
基本データ | |
略号 | FBPase |
Pfam | PF00316 |
Pfam clan | CL0171 |
InterPro | IPR000146 |
PROSITE | PDOC00114 |
SCOP | 1frp |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ | |
---|---|
基本データ | |
略号 | FBPase_2 |
Pfam | PF06874 |
Pfam clan | CL0163 |
InterPro | IPR009164 |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ | |
---|---|
![]() |
|
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼの結晶構造 | |
基本データ | |
略号 | FBPase_3 |
Pfam | PF01950 |
InterPro | IPR002803 |
SCOP | 1umg |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(Fructose 1,6-bisphosphatase、FBPアーゼ、EC 3.1.3.11)は、同化過程の糖新生やカルビン回路でフルクトース-1,6-ビスリン酸をフルクトース-6-リン酸に変換する酵素である。FBPアーゼの触媒する反応は、解糖系におけるホスホフルクトキナーゼの逆反応である[1][2]。これらの酵素はどちらも一方向しか触媒できず、フルクトース-2,6-ビスリン酸等の代謝産物によって制御されるため、どちらか一方の活性が高くなると、もう一方の活性が低くなる。つまり、フルクトース-2,6-ビスリン酸はFBPアーゼをアロステリック阻害するが、ホスホフルクトキナーゼ-Iを活性化させる。フルクトース-1,6-ビスリン酸は多くの異なる代謝経路に関与し、ほぼ全ての生物で見られる。FBPアーゼは、触媒に金属イオン(Mg2+とMn2+)を必要とし、Li2+に強く阻害される[3]。
ブタのFBPアーゼのフォールディングは、イノシトール-1-ホスファターゼと相同である。イノシトールポリリン酸-1-ホスファターゼ、イノシトール-1-ホスファターゼ、FBPアーゼは、金属イオンに結合し触媒作用に関与していることが示されているAsp-Pro-Ile/Leu-Asp-Gly/Ser-Thr/Serのモチーフ配列を共有している。このモチーフは、菌類、細菌、酵母のイノシトール-1-ホスファターゼでも保存されている。これらのタンパク質は、イノシトールシグナル、糖新生、硫酸塩同化、そして恐らくキノン代謝等の様々な代謝経路に関与する。
3つの異なる種類のFBPアーゼのグループ(FBPアーゼI,II,III)が真核生物及び細菌で同定されている[4]。最近まで古細菌では発見されていなかったが、イノシトールモノホスファターゼの活性も持つ4つめの新しいグループのFBPアーゼ(FBPアーゼIV)が最近になって同定された[5]。
また、好熱性古細菌や超好熱性細菌Aquifex aeolicusでは、新しいグループのFBPアーゼ(FBPアーゼV)が発見された[6]。このグループのFBPアーゼは基質特異性が高く、これらの生物の真のFBPアーゼであることが示唆されている[6][7]。二次構造の研究により、FBPアーゼVは、通常の糖ホスファターゼが持つα-β-α-β-αの5層のサンドイッチ構造ではなく、新しいフォールディングであるα-β-β-αの4層構造を持っていることが明らかとなった[7]。触媒部位の側鎖と金属リガンドの配列は、他のFBPアーゼの機構として提案されていた3つの金属イオンによる触媒機構と一致することが発見された。
低GC含量のグラム陽性細菌であるフィルミクテス門の持つFBPアーゼは、他の生物の持つFBPアーゼと配列上の類似性がほとんどない。枯草菌の酵素はアデノシン一リン酸で阻害されるが、ホスホエノールピルビン酸によりこの阻害は解除され、またMn2+イオンに依存する[8][9]。この酵素を欠く変異体は、リンゴ酸やグリセロールのような糖新生成長基質でも生きることができる。
目次 |
関連項目
出典
- ^ Marcus F, Harrsch PB (May 1990). “Amino acid sequence of spinach chloroplast fructose-1,6-bisphosphatase”. Arch. Biochem. Biophys. 279 (1): 151-7. doi:10.1016/0003-9861(90)90475-E. PMID 2159755.
- ^ Marcus F, Gontero B, Harrsch PB, Rittenhouse J (March 1986). “Amino acid sequence homology among fructose-1,6-bisphosphatases”. Biochem. Biophys. Res. Commun. 135 (2): 374-81. doi:10.1016/0006-291X(86)90005-7. PMID 3008716.
- ^ York JD, Ponder JW, Majerus PW (May 1995). “Definition of a metal-dependent/Li(+)-inhibited phosphomonoesterase protein family based upon a conserved three-dimensional core structure”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92 (11): 5149-53. doi:10.1073/pnas.92.11.5149. PMC 41866. PMID 7761465 .
- ^ Donahue JL, Bownas JL, Niehaus WG, Larson TJ (October 2000). “Purification and characterization of glpX-encoded fructose 1, 6-bisphosphatase, a new enzyme of the glycerol 3-phosphate regulon of Escherichia coli”. J. Bacteriol. 182 (19): 5624-7. PMC 111013. PMID 10986273 .
- ^ Stec B, Yang H, Johnson KA, Chen L, Roberts MF (November 2000). “MJ0109 is an enzyme that is both an inositol monophosphatase and the 'missing' archaeal fructose-1,6-bisphosphatase”. Nat. Struct. Biol. 7 (11): 1046-50. doi:10.1038/80968. PMID 11062561.
- ^ a b Rashid N, Imanaka H, Kanai T, Fukui T, Atomi H, Imanaka T (August 2002). “A novel candidate for the true fructose-1,6-bisphosphatase in archaea”. J. Biol. Chem. 277 (34): 30649-55. doi:10.1074/jbc.M202868200. PMID 12065581.
- ^ a b Nishimasu H, Fushinobu S, Shoun H, Wakagi T (June 2004). “The first crystal structure of the novel class of fructose-1,6-bisphosphatase present in thermophilic archaea”. Structure 12 (6): 949-59. doi:10.1016/j.str.2004.03.026. PMID 15274916.
- ^ Fujita Y, Freese E (June 1979). “Purification and properties of fructose-1,6-bisphosphatase of Bacillus subtilis”. J. Biol. Chem. 254 (12): 5340-9. PMID 221467.
- ^ Fujita Y, Yoshida K, Miwa Y, Yanai N, Nagakawa E, Kasahara Y (August 1998). “Identification and expression of the Bacillus subtilis fructose-1, 6-bisphosphatase gene (fbp)”. J. Bacteriol. 180 (16): 4309-13. PMC 107433. PMID 9696785 .
関連文献
- Berg, Jeremy Mark; John L. Tymoczko, Lubert Stryer (2002). “Glycolysis and Gluconeogenesis”. In Susan Moran (ed.). Biochemistry (5th Edition ed.). 41 Madison Avenue, New York, New York: W. H. Freeman and Company. ISBN 0-7167-3051-0 .
外部リンク
|
「EC 3.1.3.11」の例文・使い方・用例・文例
- いつもBOSCO TECHの商品をお引き立ていただき、ありがとうございます。
- BOSCO TECHは今後も製品の品質と革新に専心して参ります。そして、それこそがスマートフォンから薄型テレビまであらゆるものを保護する製品、MEGA GELでお伝えするものです。
- 例えばNECのブランドステートメント、「発明こそが推進力」は、この電子機器メーカーの最先端技術への絶え間ない探求姿勢を表している。
- OPEC加盟国はプライスバンド制により原油の生産量を調整している。
- EC 域内では 10 以上の通貨が流通している.
- OPECは、油の価格を上げた
- OPECは油を独占したがっている
- サウジアラビアの石油大臣で、OPECを設立した中心人物(1930年生まれ)
- 開発援助委員会という,OECDの下部機関
- ECU金貨という,ベルギーの金塊型金貨
- EC委員会という,欧州共同体の行政機関
- EC委員会という,欧州共同体の行政機関の会議
- OECD開発センターという,OECDの調査研究機関
- 欧州通貨基金という,EC内における金融機関
- 拡大ECという国際機関
- グリーンレートという,農産物についてのEC各国でのみ使用される通貨換算レート
- OECDという国際機関
- みどりのレートという,農産物についてEC各国で使用される通貨換算レート
- 情報電算機通信政策作業部会という,OECDの委員会
- OECD農業保護指数という,先進諸国の農業保護の度合いを示す指数
- EC 3.1.3.11のページへのリンク