CRISPRCas9とは? わかりやすく解説

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Cas9

(CRISPRCas9 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/16 06:46 UTC 版)

CRISPR/Cas9のたとえを現した図。

CRISPR-Cas9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats / CRISPR associated proteins)とはゲノム編集技術。DNA鎖の特定の塩基配列を認識したCas9によりゲノム配列が編集される。

概要

CRISPR-Cas9はDNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができるゲノム編集技術でCRISPR-Casシステムは、遺伝的内容と構造の違いに基づいて、3つの主要なタイプ(タイプI、タイプII、およびタイプIII)と12のサブタイプに分けられる。駆使することにより遺伝子を編集できる。現在では他にも複数のゲノム編集技術が開発されている。

経緯

CRISPR配列は1987年に石野良純によって大腸菌のゲノム上に発見され[1][2][3]、1989年以降、フランシスコ・モヒカによって、この配列が微生物の免疫機能と結びついていることが解明され、「CRISPR」と命名された。また、2000年代にフランス出身でデンマークの微生物学者ロドルフ・バラングー(Rodolphe Barrangou)によりCas9酵素の機能が発見された。

この研究を基礎として、2012年にゲノム編集技術がジェニファー・ダウドナエマニュエル・シャルパンティエの2人によって開発され、この業績に対して2020年ノーベル化学賞が授与される。

脚注

参考文献

  • Ran, F. Ann, et al. "Genome engineering using the CRISPR-Cas9 system." Nature protocols 8.11 (2013): 2281-2308.
  • Doudna, Jennifer A., and Emmanuelle Charpentier. "The new frontier of genome engineering with CRISPR-Cas9." Science 346.6213 (2014).
  • Hsu, Patrick D., Eric S. Lander, and Feng Zhang. "Development and applications of CRISPR-Cas9 for genome engineering." Cell 157.6 (2014): 1262-1278.
  • Kleinstiver, Benjamin P., et al. "Engineered CRISPR-Cas9 nucleases with altered PAM specificities." Nature 523.7561 (2015): 481-485.
  • 山本 卓(協力)「ねらった遺伝子を書きかえる「ゲノム編集」とは?」『Newton』、株式会社ニュートンプレス、2015年7月、124-131頁、ISSN 02860651 
  • Jiang, Fuguo, and Jennifer A. Doudna. "CRISPR–Cas9 structures and mechanisms." Annual review of biophysics 46 (2017): 505-529.

関連項目

外部リンク


CRISPR-Cas9

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 03:55 UTC 版)

エマニュエル・シャルパンティエ」の記事における「CRISPR-Cas9」の解説

シャルパンティエは、「CRISPR-Cas9」と呼ばれる細菌性免疫システム分子メカニズム解読し、それをゲノム編集用のツール転用するというノーベル賞受賞した研究で最もよく知られている。特に、彼女はCRISPR-Cas9の機能において極めて重要な非コードRNA成熟のための新しメカニズム発見した具体的には、tracrRNA(英語版)と呼ばれる分子RNAがcrRNA(英語版)の成熟不可欠であることを示したウイーン大学RNA分子調整機能研究していたシャルパンティエCRISPR関心持ち2009年に「化膿連鎖球菌ゲノム内のCas9という酵素タンパク質2つRNA酵素がこの細菌免疫システム重要な役割果たしている」という仮説立てた。そして2011年微生物に関する国際会議開かれたプエルトリコカフェで、ジェニファー・ダウドナ研究仲間を介して偶然出会った石畳旧市街散策しながらゲノム編集の話をしているうちに、シャルパンティエ共同研究提案したことで研究開始された。 シャルパンティエ研究室は、Cas9使用して任意のDNA配列切断できることを示した。彼女達開発した方法は、Cas9簡単に作成できる合成ガイドRNA分子組み合わせ含んでいた。合成ガイドRNAがcrRNAとtracrRNAのキメラであるがゆえに、この発見はCRISPR-Cas9テクノロジー使用してゲノム編集比較容易にできること示した。現在では世界中研究者この方法を利用し植物動物細胞株DNA配列編集している。CRISPRは、科学者遺伝子編集して健康や病気におけるそれら役割探り第一世代遺伝子治療よりも安全で効果的であることが証明されることを期待して遺伝子治療開発することを可能にすることで、遺伝学革命もたらした2013年、Shaun FoyおよびRodger Novakとともにベンチャー企業CRISPR TherapeuticsおよびERS Genomics共同設立した

※この「CRISPR-Cas9」の解説は、「エマニュエル・シャルパンティエ」の解説の一部です。
「CRISPR-Cas9」を含む「エマニュエル・シャルパンティエ」の記事については、「エマニュエル・シャルパンティエ」の概要を参照ください。

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