A/D改修
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1954年から1955年にかけて、各艦隊司令官はレーダーピケット艦の整備が火急の要であると認識するようになっていた。イギリス海軍では、1940年代後半に一度艦隊航空管制護衛艦(Fleet Aircraft Direction Escort, FADE)としてレーダーピケット艦の整備を計画したものの断念した経緯があったが、これらの要請に応えて検討を再開することとなった。FADEの検討では専用艦の新造は困難とされており、既存の艦を改装することとなった。前期バトル級は設計上の不都合が指摘されたことから、1955-65年度の中期計画では、ウェポン級と後期バトル級が改装対象として選定された。後期バトル級の改修は「エジンコート」「アイシン」「バローサ」「コラナ」の4隻を対象として、1958年より着手された。 この改修はFADEと同様に、単なるレーダーピケット艦ではなく、地上基地や航空母艦から来援する戦闘機に対する航空管制をも目的としたものであり、航空管制(Aircraft Detection, A/D)艦と称された。改修内容は下記のようなものであった。 レーダーの強化 - 早期警戒用の965P型レーダー(AKE-2アンテナ)、高角測定用の277Q型レーダーの搭載 指揮統制能力の強化 - 戦闘指揮所(AIO)の機能強化 自衛防空能力の強化 - シーキャットGWS.22個艦防空ミサイルの搭載 送電規格変更、電源容量の拡張 - 新搭載の電子機器にあわせて、従来の直流送電に替えて、新しい標準である440ボルト/60ヘルツの三相交流に変更、また出力100キロワットのディーゼル発電機を200キロワットの発電機2基に換装 探信儀の更新 これらのバーターとして、艦首の2連装4.5インチ砲塔×2基と艦尾のスキッド対潜迫撃砲を除く兵装は全て撤去された。 なお、同時に改修されたウェポン級や、その代替となったリアンダー級フリゲートでは、レーダーピケット艦の必須装備である965型レーダーは搭載されたものの、航空管制用の諸装備は搭載されなかったことから、A/D改修を受けた後期バトル級4隻は「唯一の本物の艦隊ピケット艦」とも評される。
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