3DCGにおけるアンチエイリアシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 10:08 UTC 版)
「アンチエイリアス」の記事における「3DCGにおけるアンチエイリアシング」の解説
3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) において、通常ポリゴンベースのレンダリング(ラスタライズ)を行なっただけではトライアングルプリミティブのエッジがそのままジャギーとなってしまい、特に低解像度の場合はエッジの目立つ画像となってしまうため、高品位な画像を作成するためにアンチエイリアシング処理が多用されている。プロダクション用途の3DCGソフトウェアでは、通例レンダリング時にアンチエイリアスの技法や品質レベルを選択することができる。また、ゲームやシミュレーターなどのリアルタイム環境でのアンチエイリアシングは、品質とパフォーマンスを両立させるために各種のアンチエイリアシング技術が提案・開発され続けている。リアルタイム環境用途の場合、従来はグラフィックスハードウェアの固定機能やドライバーの固有機能として提供されるものが多かったが、プログラマブルシェーダー対応のハードウェアが登場してからは、FXAAやSMAA/CMAAなど、シェーダーを活用してポストエフェクト処理としてソフトウェア実装することが可能な技法も出現している。 スーパーサンプリング (Super-Sample Anti-Aliasing, SSAA) 表示する画像解像度より高解像度に描画しておき、描画終了時に高解像度画像を表示解像度に変換(ダウンサンプル)してから表示する。その際、高解像度画像のピクセルを平均化して表示解像度画像が生成される。高品質な画像を生成できる反面、アンチエイリアスのレベルnに応じて、演算負荷およびリソース消費量がnの2乗で増大していくため、非常に負荷が高くなる。 マルチサンプリング (Multi-Sample Anti-Aliasing, MSAA) スーパーサンプリングのように表示解像度より高解像度で描画するが、その際に各ピクセルにおけるカラー値生成処理(シェーディング、陰影計算)は表示解像度分の演算で済ませ、代わりに深度値(奥行き情報)を高解像度で記録しておき、最終的に深度値の差を参照しながらダウンサンプリングする方式。3DCGの場合、ジャギーが目立つのはオブジェクト(ポリゴン)のエッジである場合が多いことに着目して、オブジェクト内部の陰影計算は表示解像度で端折り、なるべくパフォーマンスを落とさないようにする。MSAAは代表的なグラフィックスAPIであるDirect3DおよびOpenGLの双方で標準化されており、対応するハードウェアも多い。欠点として、明確な奥行き情報の差がないポリゴン内部のジャギーは取り除くことができないため、テクスチャ(カラーマップやアルファマップ)のジャギーには対応できない。また、ディファードレンダリングのようなGバッファを利用する技術との相性が悪い 。 Fragment Anti-Aliasing, FAA Matrox Parheliaに導入された技術。シーン内のエッジ部分を検出し、その近辺にのみアンチエイリアスを行なう。 Custom Filter Anti-Aliasing, CFAA ATI Radeon HD 2000シリーズ以降においてドライバーレベルで実装されている、テントフィルター (tent filter) を使った重み付き隣接サンプリング技法 。 Fast Approximate Anti-Aliasing, FXAA NVIDIAが考案したポストエフェクト技法。表示解像度において、ピクセル色を周囲と比較して輝度差を調べ、輝度差があるピクセルの色は周囲と混ぜ合わせる。プログラマブルシェーダーを活用して明示的にソフトウェア実装することができるほか、NVIDIA GeForceやNVIDIA Quadroではグラフィックスドライバー側でFXAAを自動的に強制適用するオプションも存在する。低負荷であり、またMSAAと違ってテクスチャ内部のジャギーにも対応できることなどが特徴。 TXAA MSAAの欠点を克服する技術として、NVIDIAが開発した。TXAAに対応するNVIDIAハードウェアと、対応するタイトル(ゲームソフトウェア)の組み合わせのみで利用可能。 Enhanced Sub-pixel Morphological Anti-Aliasing, SMAA Crytekが開発した、サブピクセルでのエッジ検出を利用したアンチエイリアス技術 。プログラマブルシェーダーを活用したポストエフェクト技法として実装されている。 Conservative Morphological Anti-Aliasing, CMAA インテルが考案した、エッジ検出ベースのポストエフェクト系アンチエイリアス技術。Intelグラフィックスハードウェアではドライバー側でCMAAを自動的に強制適用するオプションも存在する。
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