2015年ギリシャ国民投票
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 22:22 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動2015年ギリシャ国民投票 | ||||||||||||||||||||||
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欧州委員会、欧州中央銀行、国際通貨基金が2015年6月25日のユーロ圏財務相会合に提出した支援計画を受け入れるべきか[1] | ||||||||||||||||||||||
開催地 | ![]() | |||||||||||||||||||||
開催日 | 2015年7月5日 | |||||||||||||||||||||
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2015年ギリシャ国民投票(にせんじゅうごねんギリシャこくみんとうひょう、ギリシア語: Ελληνικό δημοψήφισμα του 2015)は、2015年7月5日、国際債権団によるギリシャへの金融支援の条件をめぐって実施された国民投票である[4][1]。反対61.31%、賛成38.69%の大差で、歳出削減策を伴う金融支援案の受け入れを拒否する民意が示された。
概説
6月25日、ユーロ圏財務相会合において、欧州委員会(EC)・欧州中央銀行(ECB)・国際通貨基金(IMF)の3者がギリシャ財政の改革案を提示した[5]。6月26日、ギリシャの首相アレクシス・ツィプラスは、国際債権団が提示した歳出削減策を拒否し、最新の支援条件をめぐって7月5日に国民投票を実施すると表明した[6][1]。6月28日未明、定数300人のギリシャ議会で採決の結果、賛成178、反対120で国民投票実施が決まった[7]。6月29日、ギリシャ政府は、国際債権団の要求の受け入れについて「ノー」か「イエス」かで端的に問う内容の国民投票の質問文案を公表した[5]。
投票できるのはギリシャ国内在住の18歳以上の有権者800万人余りで、投票率40%以上で成立し、賛成・反対いずれか1票でも上回った方が投票結果となるとされた[8]。
ギリシャにおける国民投票は、1920年・1924年・1935年・1946年・1968年・1973年・1974年にも実施された。直近では、1974年12月8日、立憲君主制を廃止し大統領共和制へ移行する案について、約70%の有権者が賛成票を投じた[1]。
脚注
- ^ a b c d “ギリシャ国民投票、早わかりQ&A”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2015年6月30日) 2015年7月1日閲覧。
- ^ 開票結果、ギリシャ内務省(英語)
- ^ 県別開票結果地図は、『ガーディアン』紙開票速報による
- ^ “ギリシャ議会、金融支援の条件めぐる国民投票実施を承認”. AFP. (2015年6月28日) 2015年6月30日閲覧。
- ^ a b “ギリシャ国民投票、改革案受け入れイエスかノーかの二者択一に”. ロイター. (2015年6月30日) 2015年6月30日閲覧。
- ^ “ユーロ圏財務相、悪影響の抑制策に重点-ギリシャ国民投票へ”. ブルームバーグ. (2015年6月28日) 2015年6月30日閲覧。
- ^ “ギリシャ国民投票承認、デフォルト恐れ増す”. 読売新聞. (2015年6月29日) 2015年7月5日閲覧。
- ^ “ギリシャ国民投票 有権者の選択に注目”. NHKニュース. (2015年7月5日) 2015年7月5日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 公式ウェブサイト(ギリシア語)(英語)
2015年ギリシャ国民投票
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/11 08:47 UTC 版)
「ギリシャのユーロ圏離脱」の記事における「2015年ギリシャ国民投票」の解説
ギリシャ政府は2015年の6月30日までに約16億ユーロのローンをIMFに返済しなければならない。IMFや欧州連合は、ギリシャ政府に190億ユーロの金融支援をする交換条件として緊縮財政プログラムをギリシャに受け入れるよう要求している。ギリシャ政府側は、緊縮財政プログラムを免除するよう要求し続け、EUとギリシャとの交渉が継続している。IMFらが求める財政緊縮プログラムは、既に過去5年にわたって苦しんできているギリシャ国民にとって屈辱的なものであるとアレクシス・ツィプラスは述べた。 2015年1月の総選挙でSyrizaが反緊縮を掲げて選挙に勝ち、政権について以来、Syrizaのリーダーであるチプラス率いるギリシャ側とEU側の間で折衷案も含め難しい交渉が続いていた。チプラス政権は、EU側が要求する財政緊縮案をギリシャ側が受け入れるかどうかについての国民投票を2015年7月5日に開くことを決定した。この国民投票でYesに投票すればEU案を受け入れ、Noに投票すればEU案を拒絶することになる。Yesを選択すればEUから約155億ユーロの金融支援が受けられ、そのうちの18億ユーロは即座に使用できる。だがYesを選択した場合はEUがギリシャに求める緊縮財政政策を施行しなければならない。チプラス自身は、明確にNoに投票する。チプラスは、EUがギリシャに課そうとする財政緊縮プログラムを屈辱的なものと形容した。今回の国民投票では、終わり無き屈辱的な緊縮財政政策を受け入れるかどうかをギリシャの主権と尊厳をもって決めるのだとチプラスは述べた。アンゲラ・メルケルは、EU案は極めて寛大なオファーであると述べた。 チプラスがEUの緊縮案を国民投票に持ち込むと宣言した後、ギリシャを除くユーロ圏各国は怒り驚き、交渉を即座に中断した。その国民投票でNo側が勝利すればチプラスの影響力が強くなるだろうとチプラスは信じていた。だがユーロ圏首脳らの予測シナリオでは、資本規制でギリシャ国民の預金引き出し額に上限が課されればギリシャ国民とりわけ年金受給者が恐怖に陥り、最終的には国民投票でYes側が勝つというものだった。実際メルケルも、国民投票の結果を待ってギリシャとの交渉を再開するという姿勢であった。フランス財務大臣ミシェル・サピンは、もし国民投票でNoが勝利すればギリシャのユーロ圏離脱への大きなきっかけとなると述べた。イタリア首相マッテオ・レンツィは、その国民投票をユーロかドラクマかの選択だと述べた。 ギリシャは以前にも類似した交渉術をとったことがある。2011年のパパンドレウ政権において、金融支援案を国民投票にかけ、それに対してニコラ・サルコジがパパンドレウを狂人と呼んだ。アンゲラ・メルケルは、ゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウに向かってギリシャはユーロ圏に残りたいのかそうでないのかと問い詰めた。結局パパンドレウはドイツに屈し、しばらくして首相を辞任した。 2015年7月5日の国民投票の結果、投票者の約61.3%がNo側に、約38.7%がYes側に投票した。これでEU側がギリシャに求める緊縮財政施行を拒絶したことになり、No側に票を投じた有権者らはアテネで歓喜した。チプラスは、ギリシャ国民は欧州の民主主義と協調性のために投票したのだと述べ、国民投票翌日にギリシャがEUとの交渉を再開し、ギリシャの金融安定を再構築することが最優先だと語った 。 ギリシャ議会の野党らはその国民投票の意義が不明確だと不満を述べた。ギリシャ元首相アントニス・サマラスは、国民投票でYes側に投票するよう訴えていたが、国民投票の結果をうけて新民主主義党の代表を辞任した。EU高官は、その国民投票は既にEU側との交渉のテーブルに乗っていない事案について適用されるものであったと指摘した。 ギリシャへの対応をめぐり強硬路線を崩さないドイツに対し、フランスはギリシャ国民投票の後にやや柔軟路線に切り替えた 。フランスの経済財政産業大臣をつとめるエマニュエル・マクロンは、ヴェルサイユ条約を再現するべきではないと述べ、ピケティに同調した。ギリシャ国民投票の結果をうけ、ドイツ副首相ジグマール・ガブリエルは、ツィプラスがギリシャと欧州との最後の架け橋を壊したと述べた。
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